【内田彩仍さんvol.3】これからの幸せのために一番大事にしてこなかった眠りを一番大切に
今週は内田彩仍さんの新刊『変えること変わらないこと』からおすすめコンテンツを毎日ご紹介しています。
眠れない夜は、本を開いて。音楽を聴きながら、やわらかな照明の下で読んでいると、知らないうちに眠りに落ちていきます。
若い頃はどんなことにも一生懸命で、仕事が忙しくても家事も目一杯頑張って、仕事が溜まっていても夫が休みの日には一緒に休み、夜中に仕事をする、そんな毎日を送っていました。私は家族が一番大切で、でも仕事も好きだから、どんなに忙しくてもどちらも手を抜かない、と意気込んでいたような気がします。
そういう生活をしていると、二十四時間では時間が足りず、必然的に削れるのは睡眠時間。眠るべき時間が別の何かにどんどん費やされて、忙しい時期は三時間ほどしか寝ない日が週に数日あるような日々が、二、三年続いていたのです。そんなある日、疲労からか血管に炎症が起き、両足首に八か所、下肢潰瘍ができてしまいました。免疫抑制に作用する抗がん剤治療をしたり、障害組織の再生と炎症の沈静化を促す高気圧酸素治療を取り入れたり。完治するまでの二年ほどは、歩くことも大変で、まわりの方にもたくさん助けてもらいました。
ただ、そんな時期でも、幼い頃から病気慣れしている私は、幼少期に決めた「自分のことは自分で幸せにしよう」という思いを貫くべく、したいことはなんとかしようとしていました。辛い日々も、そんなに暗くならずに過ごすことができ、寝ずに頑張っていた日々を今は懐かしく思っています。
とはいえ、五十歳になった頃から、本当に疲れやすくなって、無理が利かなくなりました。と同時に、ベッドの上で、うーんと伸びをしながら大の字になって眠りに落ちる瞬間の気持ちよさも知るように。そこで、これからのことも考えて、きちんと睡眠と向き合うことにしました。
夜になるとたまに襲ってくる、ちょっとした不安。これが頭をよぎる日は、どうしても寝つきが悪くなります。ある日、温めた牛乳で作ったココアを飲んだら、すんなり眠ることができました。それがいい体験として頭の片隅に残っているようで、ゆっくりココアを飲みながら心地のよい音楽を聴いていると、自然と心が穏やかになり、眠りを誘ってくれるように。
また、寝具も肌触りよく感じるものを使うようにしています。冬に使っているのは、無印良品のファイバーの毛布とクッションカバー。低反発クッションに、ふわふわのファイバーベロアのカバーをかけて、足の疲れが取れるよう膝下に敷いて寝ています。よく眠ると疲れがリセットされて、翌朝、一日を気持ちよくスタートできるから、この先が幸せな未来になるよう、眠りを大事にしていきたいと思います。
テレビが三十分後に切れるようにタイマーをセットし、YouTubeで静かなジャズを流して。夜中に喉が渇いた時のため、コップ一杯の水を用意しておきます。
今日はなかなか眠れそうにないと思った日は、私の“眠りスイッチ”になっているホットココアを飲んでから寝室へ。ほんのりとした甘みに、気持ちも体も緩みます。
photo:大森今日子
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Profile
内田彩仍
福岡県に夫と愛猫と暮らす。丁寧な暮らしぶり、センスある着こなしが雑誌などで人気を集める。主な著書に『いとおしむ暮らし』『家時間』『幸せな心持ち』『変えること変わらないこと』(主婦と生活社)などがある。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。