ワタナベマキさん 近頃変わったこと【前編】

ワタナベマキさん 近頃の話
2024.01.29

料理家としてテレビや雑誌の撮影をこなしつつ、家族のためにおいしいごはんを作り、日々暮らす部屋をきれいに整える。休みなく、毎日くるくると立ち回るワタナベマキさんですが、実はどっこい、スーパーウーマンなんかじゃありません。失敗や後悔は山ほど。凹むこともあるし、代わりに新たなアイデアやアイテムを見つけてウキッとすることも……。そんなワタナベさんの「近頃」をお届けする不定期連載。ゆるゆるっとお伝えしていきたいと思いまーす。

 


 

01
老眼鏡が
欠かせなくなりました

これまでも、メガネは何本か持っていたワタナベさん。しかしそれは、あくまでファッションアイテム。実はすべて伊達メガネだったのです。


「メガネはコーディネートのアクセントになっていいな、なんて悠長な気分で手にしていたアイテムで、『老眼鏡にするのはまだ先』と思っていたのですが、あるとき、包丁の刃先がぼんやりと見えていることにハッとして。『これはもう、かけるしかない』と観念しました。今や、料理をするときもスマホの画面を見るときも必須で、老眼鏡が手元にないと『ない!ない!』と大騒ぎ。ちなみに同世代の友人からは『マキさんのスマホの文字、うちの70代の母より大きい表示設定になってる!』と笑われています」


持っているのは、全部で3本。家にいるときや仕事のときは、細めの軽いものを。お出かけでおしゃれのアクセントにしたいときは、太めのフレームで存在感があるものを、と使い分けています。購入したのは、これまでのおしゃれ用と同じく神奈川・たまプラーザのメガネ店「ローカル」で。「むむ、いよいよ老眼か……」という、ちょっとテンションが下がるアイテムだからこそ、お気に入りの店で、お気に入りのものをと考えたのです。

「お店にはいろいろなフレームが並んでいるから、つい目移り。これも歳を重ねたからこそ楽しめる、新しいおしゃれの扉なのかもしれないな、なんて前向きに考えています」



近くを見るときは必須だけれど、遠くを見るときなどは必要のない老眼鏡。無意識にポイッと置きっぱなしにして、家の中で迷子になることもしょっちゅう。
「首から下げられるメガネチェーンがほしいな、と思っているところです。着こなしをじゃましない、さりげなくアクセントになってくれるようなものを探しています」

そんな中、旅先の韓国でかわいいチェーン付きの老眼鏡を見つけたのですが……



「ツルがないから手で持たなければならなかったんです。スマホはほぼ操作できません(笑)」

 


02
朝のカルダモンウォーターで
体を整えて

2023年から学び始めた、アーユルヴェーダ。マッサージのほうではなく、体と食べ物の関係についての講座を受けています。

「先生はスリランカの方。3〜5人の少人数のグループで、通訳さんに訳してもらいながらのレッスンです。体質などに関する特殊な用語を覚えるのが大変だけれど、今までなんとなくしかわかっていなかったスパイスの効能などもしっかりと理解できるようになりました。もともとずっと興味を抱いていたことなので、レッスンがとても楽しくて。風邪をひいたときの対処法、手荒れを改善したいときに飲むもの、体を冷やさないために摂るものなど、いろいろな知識が自分の中に積み重なっていく感覚が、学生時代に戻ったようで新鮮です」



さっそく日常的に取り入れているのが、カルダモン水。1カップの水に対し、軽くつぶしたカルダモン1粒を一晩つけておくだけ。少し温めて毎朝飲むことで免疫を高め、体を穏やかに整えてくれます。



健康管理に気を配りたいこの時期、もうひとつのお助けアイテムが、抗菌作用が高いと言われているはちみつ。メキシコの乾燥地帯でたくましく育つ“メスキーテ”という木の花の花粉を多く含んだはちみつを、出かける前にひとさじ。ビタミンや酵素を補っています。

 



03
ふんわり袖から
シュッと袖に移行中


コーディネートにメガネが欠かせなくなってから、ファッションそのものに対する気持ちも少しずつ変わってきたというワタナベさん。
「そんなに数はいらないなあと思うようになって、お気に入りだったものも何着か手放しました。あっさり手放せたのは、ここ2〜3年で服の好みが徐々に変わってきたからだと思います」

一番の大きな変化は、“袖”。これまではふんわりした袖の服が好きで、料理の仕事のときでもクルクルと腕まくりして着用していました。ただ、洗い物をしているときにズルッと下がり濡れてしまって慌てることも。



「近頃は、動きにストレスのないことが最優先。全体はふんわりしているけれど、袖はシュッとタイトなものを選ぶことが増えました」
よく着ているのは「OTO」の切り替えシャツ。見頃はタイプライター生地でパリッとしているのに、袖はストレッチの効いたカットソー素材というところがお気に入りです。



袖をキュッと上げるだけで、きちんと留まってくれるので、料理のときも洗い物のときもノンストレス!

 



04
運転中のアウターは
ベストがベスト



料理撮影のための買い出しは、いつも大量。おのずと、車で出かけることになります。
「行き先はスーパーやデパートなど屋内ですし、ほぼ、外を歩くことはありません。そんなわけで、厚手のウールのコートなどはすっかり出番が少なくなってしまいました。代わりに増えているのがベスト。腕周りがすっきりしているので運転がしやすいし、屋内でもほどよい暖かさなのがいいんです」



中央は「ALWEL」、左右は「saqui」のもの。

 

もこもこだったり、スポーティーだったり、改めて見ると雰囲気もいろいろ。何よりコーディネートのアクセントになってくれるので、つい、手に取ってしまいます。最近お気に入りの「OTO」のシャツと合わせるのが定番です。

 



05
メニュー監修のアイデアは
日々のごはん作りから


2023年の秋に大分・別府にオープンした、暮らすように滞在できるアートホテル「HAJIMARI Beppu」。縁あって、1階スペースで営業する「喫茶ゆあみ」のスープメニューを監修することに。


「実際に別府を訪れて食材を味わい、その素晴らしさをできるだけシンプルに味わえるものを、とあれこれ考えました。結果、出来上がったのは、私自身が家族のために作っているような、体にじんわり染み込むスープ。とびきりおいしい大分の食材で作ったスープは、ここでしか味わえない特別な一皿になりました」



いくつか試作した中からメニュー入りしたのは、大分名物の干し椎茸や、気が巡るとされるウコンなどを使った、薬膳を意識したスープ。



自宅の食卓でも季節のスープは定番です。この日は、飲む血液(!)の異名を持つ、栄養満点のビーツをポタージュに。


ポタージュに添えたのは、ナッツ入りの鶏ハム、れんこんのグリル、ケイパーとアンチョビをアクセントにしたにんじんのサラダ。どれもごくごくシンプルだからこそ、しみじみと素材のおいしさを味わえる料理ばかりです。

 

明日は【後編】をお届けします。お楽しみに!

 

text:福山雅美

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Profile

ワタナベマキ

Maki Watanabe

グラフィックデザイナーを経て、「サルビア給食室」として料理家の活動をスタート。独立後は、雑誌やテレビなど活躍の場を広げ、レシピ本も多数出版。
instagram「@maki_watanabe

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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