想像力次第で何通りにも使える、海外の美術館にも認められたスツール【天童木工】
※Come home! webに掲載された記事を転載しています
#07
ムライスツール・マッシュルームスツール
デザインコンクールから生まれたふたつのスツール
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「ムライスツール」と「マッシュルームスツール」は、どちらもデザインコンペから誕生しました。
1961年に日本では民間初となるデザインコンペ「第1回天童木工家具デザインコンクール」を開催。審査員長に剣持勇氏を迎え、審査員には丹下健三氏、豊口克平氏、渡辺力氏、長大作氏など錚々たる面々が名を連ね、当時は業界中の注目を集めたデザインコンペだったそうです。
コンクールの審査風景
多くの応募作品の中から、金賞を受賞したのは建築家・山口文象氏による座卓。成形合板を立体的に用いた座卓で、天板の周囲を水滴の波紋を想わせるようなカーブが縁取っています。美しい造形でしたが、集成材を用いた天板は狂いが生じ易く水平を保つことが難しかったことなどの理由から商品化は見送られました。
ご紹介するスツールのひとつ、「マッシュルームスツール」は佳作を受賞した作品で、こちらも試作品の製作まで進んだものの、技術上の問題から発売は見送られることとなりました。
一方の「ムライスツール」も佳作を受賞した作品ですが、こちらは当初から審査員たちに人気が高く、構造上も理にかなっており、試作から製品化までの流れが非常にスムーズに進みました。発売から60年以上経た現在まで販売を続ける、当社を代表するロングセラーアイテムのひとつとなっています。
左から:座卓(山口文象氏)、ムライスツール(田辺麗子)、マッシュルームスツール(ヤマナカグループ)
世界に認められたムライスツール
「ムライ」とはデザイナーの田辺麗子氏の旧姓から名づけられています。ドイツの家具専門誌に紹介されたことをきっかけに、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクションに選定され、近年ではヴィトラデザインミュージアムのコレクションにも選定されています。
同じ形をした3枚の成形合板のパーツを、金具を使わずに組み合わせたシンプルで美しい造形は、高度な職人技術によって実現しています。チーク材の美しい木目が中心で合わさるなど、材料の選定や細部の仕上げにもこだわりが行き届いています。
どの面を下にしても上面が水平になるため安定感があり、スツールとして、椅子やサイドテーブル、マガジンラックとして使用できるほか、更には積み重ねて棚のように使う人もいます。使い手の想像力を刺激するスツールと言えるかもしれません。
この記事を書いている私も愛用者のひとりですが、普段は子どものおもちゃ箱や絵本を中に置いています。紙相撲やトランプゲームなども合いそうですね。
40年の時を経て完成した幻のスツール
「マッシュルームスツール」は山中康廣氏、曽原厚之助氏、山中阿美子氏の3人からなる、ヤマナカグループがデザインしました。前述のとおり、当時は技術的な問題から製作は見送られましたが、長い時を経てコンピュータによる支援技術が確立し、型の製作から加工まで、複雑な形状が実現可能になったことから、2003年に発売が実現。40年以上を経て誕生したモダンデザインです。
同形の3枚の成形合板をねじるように組み合わせたフォルムは他に類を見ないユニークさがあり、その独特な造形はオブジェとしても魅力あるかたちをしています。表面に見える木目は選りすぐりの3種類。複雑な形状がより際立つよう、天童木工の職人がこだわり抜いたチーク材、クス材、ナラ材を使用しています。
2009年、フランスのパリで開催された展示会に出展したことがきっかけで、フランス・パリ装飾美術館のパーマネントコレクションに選定されました。和洋どちらの暮らしにも調和するスツールです。
ムライスツール(S-5026TK-NT)
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000234/
材料:チーク(ナチュラル)
サイズ:W450 D434 H360 SH360(mm)
■田辺麗子
1934 年東京都生まれ。
1957年 女子美術大学卒業後、藤森健次設計事務所・松田平田設計を経る。
1961年 剣持勇や丹下健三らが審査員を務めた第一回天童木工家具デザインコンクールで「ムライスツール」が入賞。
1967年 同製品がニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクションに選定される。
マッシュルームスツール
S-7297KS-ST
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000363/
材料:クス玉杢(ST色)
サイズ:W454 D456 H385 SH385(mm)
S-7297TK-NT
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000365/
材料:チーク(ナチュラル)
サイズ:W454 D456 H385 SH385(mm)
S-7297NA-NT
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000362/
材料:ナラ板目(ナチュラル)
サイズ:W454 D456 H385 SH385(mm)
S-7297NA-AG
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000364/
材料:ナラ板目(アッシュグレー色)
サイズ:W454 D456 H385 SH385(mm)
■ヤマナカグループ
山中康廣氏・曾原厚之助氏・山中阿美子氏の3人からなるグループ。
1960年 第1回天童木工家具デザインコンクールで発表した「マッシュルームスツール」が入賞。
2009年 同製品がパリ装飾美術館のパーマネントコレクションに選定される。
1940年に山形県天童市で創業。無垢材よりも強く、軽く自由な形に成形できる「成形合板」を日本でいち早く実用化し、デザイナーや建築家といったクリエイター達との協同によって多くの名作と呼ばれるロングセラー家具を生み出してきました。その実績は一般家庭から、企業の上級エリア、中央官庁まで多岐にわたります。熟練の職人技と豊かなデザインは確かな品質と快適な暮らしをお届けいたします。
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