広さを手放し都心で小さく暮らす かみて理恵子さん

暮らしのおへそ
2024.02.13

好評発売中の「暮らしのおへそ Vol.37」より一部を抜粋してお届けします

 

夫婦ふたり暮らしに必要なのは
広さではなく便利な立地。
リタイア後を見据えて
千葉・浦安の2LDK88㎡から
銀座から歩いて10分弱の
東京・築地の1LDK46㎡へ。
約2分の1にダウンサイジングしたことで
自分にとって今、何が大切かということに
おのずと向き合えるようになりました。



最寄りの東銀座駅から歩いて3分、銀座駅まででも10分弱。「都心暮らしの最大のメリットは交通費がかからないこと。徒歩や自転車圏内に美術館が充実していて、たまに新宿で飲んでタクシーで帰っても、大した金額にはなりません」

 

ストールをさらりと羽織り、デニム姿で待ち合わせ場所の歌舞伎座前に颯爽と現れた、かみて理恵子さん。いかにもこの界隈に住んでいます! といった佇まいです。現在、かみてさんが夫の和巳さんとふたりで暮らすのは、歌舞伎座から徒歩5分の1LDK46㎡のコンパクトマンション。以前は、千葉県浦安市にある2LDK88㎡のマンションに約15年住んでいたといいます。

「最初のマンションを購入したのは結婚5年目でバブル末期。これから家族が増えるかもしれないし、都内で狭くて高い家に暮らすより、広さを優先。でも、都内で忙しく働き、週に一度はお酒を飲んで終電を逃し、タクシーで1万円弱かけて帰宅する生活。夫が定年後の生活を考えはじめたタイミングで、交通機関や医療や公共施設が整った都心で暮らしたほうがよいのでは? という結論に至ったんです」

引っ越したのは今から20年前。和巳さんは50歳、かみてさんが41歳のときでした。和巳さんは会社員、かみてさんも管理職として現役バリバリ。

「定年後に移住や住み替えを考える方もいらっしゃいますが、体力や気力が十分あるうちに、引っ越しという大仕事を済ませたことは大正解でした」


立地、駅近、眺望を優先して選んだマンションは、玄関から入って右がリビング&ダイニング、左がベッドルームのシンプルな1LDK。テレビボードはドイツのシステム収納家具「ip20」でオーダーした。ソファとテーブルは「アルフレックス」。「一生ものとして会社員時代に買ったもので、ソファは3年前に張り替えました」

 

とはいえ、広さが半分になったことで、かなりのものを処分しなくてはいけなかったのでは?

「結局、なんとなく持っていたものが大半。引っ越しに当たり、これって本当に好き? 本当に必要? とひとつひとつのものと向き合い、かなり厳選しました。それでも備え付けの家具では収納しきれないことは一目瞭然。入居するときに部屋にぴったりの造作家具をオーダーし、収納スペースを最大限確保しました。それでも入りきらないものは、しばらくトランクルームに預けていましたね。何しろ片づけが本当に苦手でしたから(笑)」

コンパクトな今の住まいはすっきり整い、収納・片づけのプロであるかみてさんが、もともとは片づけられない人だったと聞いて驚きました。

「引っ越した当初は、仕事が忙しくて全然片づいていなかったんです。でも、50歳で会社を辞めて時間ができ、片づけを始めたら楽しくなっちゃって」

友人にすすめられてライフオーガナイズを学んで片づけが習慣化すると、「片づけなくては」と毎日頭にあった強迫観念から解放され、気持ちがラクになり、視野も広がったといいます。

「ライフオーガナイズは、片づけ術だけでなく、頭や心を整理し、人生の優先順位をつけ、根拠のない不安や心配を手放す方法を教えてくれましたね」


大好きな歌舞伎に徒歩で通う
歌舞伎座まで歩いて5分。引っ越した当初はうれしさのあまり月に2~ 3回通っていたが、最近は2~3か月に一度ほど。「好きな十五代目片岡仁左衛門さんが出演するときに足を運びます」

 

text:和田紀子 photo:有賀 傑

 


『暮らしのおへそ Vol.37』より一部抜粋

 

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Profile

かみて理恵子

Rieko Kamite

東京都出身。青山学院女子短期大学家政学科を卒業後、アパレル、IT企業に25 年間勤務。退職をきっかけにライフオーガナイズと出合い、資格を取得。2015 年に「収めるしくみ研究所」を設立。ライフオーガナイザー® としてセミナーやコンサルティングを行うかたわら、ウェルビーイング講座も開催している。https://osamerulab.com/

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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