「うっすら不調」のセルフお手当てにはお灸が最適!?【前編】
沼津の雑貨店「hal」店主・後藤由紀子さんが、その道の専門家に教わりながら、大人の知恵やワザを身につけ自身をアップデートしていく連載企画「専門家の力をお借りします」。今回のテーマは「お灸でセルフケア」です。
「すぐやる課」をスローガンに、「出張hal」で全国を飛び回り、本を書いたりYouTubeやSNSを発信したりと、とにかくフットワークが軽い後藤さん。でも実は、夜ぐっすり眠れなかったり、夕方になると体が重だるかったり(「私も!」という方、多いと思います)、なんとなく体調がすぐれない状態が長らく続いているのだそう。
そんな「うっすら不調」には、自分でできる天然ケアとして「お灸」がいいらしいという情報を聞きつけ、今回、後藤さんと一緒に「せんねん灸ショールーム 銀座」を訪ねてみました。
お灸は「よもぎ」の葉で
できている!?
お灸といっても、何をどうすればいいのかわからない……。そんなお灸ビギナーさんもやさしく迎えてくれる「せんねん灸ショールーム 銀座」。コスメショップみたいな明るい店内に、様々な種類のお灸がずらっと並び、専門のスタッフさんがお灸のいろはを丁寧に教えてくれます。
「熱いの大丈夫かなあ~。注射も嫌いだし、私怖がりなんです……」と最初は不安そうだった後藤さん。でも、火を使わないお灸やアロマの香りのお灸を見つけて、「ソフトなタイプもあるんですね~」とハードルが徐々に下がってきたようです。
そんな中、スタッフの市倉愛実さんが「実際に試してみませんか?」とやさしく声をかけてくれました。
市倉さんがまず見せてくれたのはこちら。「お灸に使う『もぐさ』は、よもぎの葉から作られているんです」
「原料がよもぎということは、草餅やよもぎ団子と親戚なのですね」と、ますますハードル下がり中の後藤さんです。
一番右が、よもぎの葉を乾燥させたもの。これを砕いて茎などを取り除く作業を繰り返すと、どんどん精製され、最後、葉の裏の綿毛だけが残ってふかふかに。それが一番左の状態です。このような精製度の高いもぐさは、乾燥したよもぎから1/200ほどしか取れないのだそう。
温熱レベル1の
お灸からトライ
そんな高品質なもぐさを、簡単にお灸できる形にしたのが「せんねん灸」。香りや煙の有無などいろいろな種類がありますが、まず選ぶのが温熱レベルです。5段階の中から、後藤さんは迷わず「レベル1」をチョイス。
使うお灸が決まったら、次はお灸を置く場所を確認します。親指と人差し指の骨が交わったところから、やや人差し指寄りのへこみのところがそのポイントです。
そしていよいよ、お灸を体験! せんねん灸は、丸い台座の上に筒状のもぐさがついているので、台座の後ろのシールをはがして指先につけた状態で、もぐさ部分に火をつけるとスムーズです。
火がついて煙が出てきたら、反対の手で台座の横を持って指先からはがし、さきほど確認したポイントに置きます。
シールでくっつくので、ずり落ちたりすることもなく安心。1分くらいすると、じんわり温かくなってきます。
後藤さん(以下、後):「心地いい温かさですね」
市倉さん(以下、市):「温かく感じている間は、そのままお灸を続けてくださいね」
2~3分して煙が落ち着いてくると……
後:「いま、かなり熱くなってきています!」
市:「熱いと感じたら、すぐに外してください。温かい感覚が続いているようなら、熱が引くまでそのまま置いて、それから外しましょう」
後:「思ったよりも簡単ですね。しかも体全体に血が巡って、なんだかすっきりした感じがします」
違う形のお灸にもトライ
お灸が気に入った様子の後藤さん。他にもいろいろな種類を試せると聞いて、ショールームで一番人気だという「火を使わないお灸」もトライさせてもらうことに。
市:「首や腰などを押してみて、軽い痛みを感じるところに貼るのがおすすめです。心地よい温かさが3時間ほど続き、温熱効果を体感できます」
後:「マッサージ屋さんではすごく肩が凝っていると言われるんですが、自覚症状はあまりないんです。でもこれを貼っていると肩のこわばりがやわらぐのを感じるので、やっぱり相当凝っているんですね~(笑)。平たい形で手軽なシール貼りだから、仕事中にも使えそう」
そして今回、もうひとつお試ししたのが樽のようなフォルムの器具。「これは何ですか!?」と後藤さんも興味津々です。
市:「棒温灸というもので、自分で温熱の強弱や時間を調節できるんです」
後:「ちょっと上級者向きですね。でもぜひ体験してみたいです」
さっそく市倉さんに準備してもらいます。
市:「本体に棒状のもぐさを差し込み、火をつけたら下に安全具をはめ、体に当てる仕組みです。どの部位にも当てやすいので、お灸に慣れてくると、こちらを選ぶ方も多いですよ」
体のあちこちに当てて温熱を楽しむ後藤さんは、すっかりお灸マスターの風情。
後:「頭の上もじんわり温まって心地いいです~」
市:「私のおすすめは耳です。ぜひ当ててみてください」
後:「ほわ~。耳を温めるのって想像以上にリラックスできますね。体がポカポカしてきます」
痛いのも熱いのも苦手な後藤さんでしたが、心配ご無用! すっかりお灸のトリコになってしまいました。
後:「もっと我慢できないくらいほどの熱さなんじゃないかな? と最初はひるんでいましたが、お灸のじわーっと温まる感じ、クセになりますね」
家事の合間や束の間のリラックスタイムなどに、5分ほどでさっと気軽に「お手当て」できるのが魅力のお灸。このショールームの上階には「お灸ルーム」があり、鍼灸師の方がお灸の使い方、ツボの探し方、症状ごとのお灸のコツなどをレクチャーしてくれる教室を開催しています。次なるステップへ進むため、【後編】では後藤さんもこの教室に参加してみることに。どうぞお楽しみに!
text:鈴木麻子
photo:岡 利恵子
→【後編】へ続きます
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1Fのショールームにはせんねん灸の全ラインナップが並ぶ。無料のお灸体験も随時受付。3Fのお灸ルームでは、予約制で鍼灸師による治療や教室を実施。
東京都中央区銀座5-10-9 銀座YKビル1F
TEL:03-6228-5981
定休:月曜(月曜が祝日のときは営業)
営業時間:11:00〜19:00
https://www.sennenq.co.jp
http://okyu-room.jp
Instagram「@sennenq_ginza」
Profile
後藤由紀子
静岡県・沼津で器と雑貨の店「hal(ハル)」を営む。最近は「出張hal」として日本各地で期間限定の出店も。二人の子供は社会人となり、子育てもひと段落。暮らしの工夫や気づきを綴った飾らないエッセイも好評。2月に『別冊天然生活 後藤由紀子さん 50代からはじめる日々の備え』(扶桑社)を発売予定。
Instagram「@gotoyukikodesu」
YouTube「後藤由紀子と申します」
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