夢中になればなんだってできる Vol.3 「goenº」主宰 森本千絵さん
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子どもが生まれてから
もっと仕事がしたくなった
森本さんは、子どもが生まれたことで、
仕事への向き合い方がこれまでとはまったく変わってしまったと言います。
「これまで以上に仕事として全うしたい、
たくさん仕事をしたいと思うようになりました。
娘が生まれてわかったのは、
これまでは相手の思いを代弁する仕事とは言いつつも、
公私混同をして、
仕事に個人的な感情をいっぱい入れてしまっていたんだなあということ。
やはりどこかで自分の作品だと思っていた部分があって、
何かを残したいと思っていたんです。
でも今は、そういう個人的な感情はすべて娘に向かっているので、
仕事は仕事として純粋に向き合える。
仕事で何かを残したいなんてまったく思いません。
残したいものがあるとすれば、
娘の未来にとって必要なもの、大切なもの。それだけです」
仕事はあくまで「広告主のもの」であり、
「自分のもの」ではないと森本さんは言います。
もし個人的なものがあるとするならば、
それは家と会社と子どもくらいだと。
「描いた絵も人にあげてしまいます。
そうやって外付けハードディスクに分散していけば、
自分はどんどん身軽になっていけるし、自由になれる
。私はもう何もいらない。執着がなくなりましたね」
“自分らしさ”なんてない。
あるのは“その時期らしさ”
私たちは、“自分らしさ”というものを
確立しなくてはと思いがちです。
けれど、森本さんにとって“自分らしさ”などはどうでもよく、
あるのは“その時期らしさ”だけだと笑います。
その時その時、目の前のことにただひたすら夢中になる。
そうすれば、おのずと道は開ける。
それが森本さんのおへそです。
みんな何かをやりたいと思いながら、
できないと諦める。
でも、実は、誰も森本さんほどの「夢中になりっぷり」に
至っていないのかも。
あれこれ考える前に、自分の全身全霊で夢中になってみる。
そんなふうに誰かに自分を明け渡してみたら、
そこに何かが見つかるのかもしれません。
text:和田紀子 photo:枦木功
『暮らしのおへそ』Vol.22より
Profile
森本千絵
武蔵野美術大学卒業後、博報堂を経て、2007年に「goenº」設立。企業広告をはじめ、ミュージシャンのアートワーク、本の装丁、映画などの美術、空間やイベントのディレクションなど、多岐に渡って活躍。東京ADCグランプリや伊丹十三賞、日本建築学会賞など多数受賞。1児の母。http://www.goen-goen.co.jp/
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。