マエダサチコさん【後編】目標を立てないからこそ面白いものに出会える

仕事の壁、暮らしの壁
2018.07.11

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幼いころから熱中し続けたキャンドル。それが、仕事になるとは思ってもみませんでした。「作ること自体に興味があっただけなので、以前は、できあがった作品は友人にあげていたんです。私きっと、職人タイプなんですよね」

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そんなマエダさんが、キャンドルの販売や教室を始めたきっかけは、「店に置かせてほしい」と声をかけられたり、「作り方を教えてほしい」と頼まれたりしたから。「もともと、自分が『こうしたい、こうなりたい』という目標を掲げないタイプなんです。自分の意思だけで方向性を決めるのではなく、誰かから言われたことで行動や形が決まることがあっても、面白い気がして。それに、キャンドル作りって実は大変だから、“自分のため”だと正直、面倒でやりたくないっていうことも多いんですよ(笑)。でも、“誰かのため”なら、そこに責任が生じるから、きちんと行動に移せるんですよね」


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キャンドル作りに関しても、似ているところがあります。アイデアは、どんどん出てくる。けれど、自分から出たアイデアは、しょせん想像している範囲内のものでしかない気がして、興味が薄れてしまう。そこで、まわりの人に「どんなキャンドルが欲しい?」と聞いてみるのです。特に、キャンドルをよく知らない人からの意見は貴重。技術的な限界を知らない人が発する、思わぬ方向から飛んできた球を捕まえに走るのが、楽しいと言います。

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「何かを望んだり目標を立てたりすると、無意識にそこに向かって道筋を作ってしまう。そして、その道以外を見なくなってしまう気がするんです。だから、いつもふわふわしていたい。そんな状態のほうが、いろいろなことを受け入れられるし、想像もしなかったことができるかもしれない。ふと思いついたことや、誰かからの面白そうな誘い。そんなものに寄り道できる余裕を持っていたいんです」

自分が、どこに向かっていくのかわからないほうが、可能性がより広がるし、何より、自分がドキドキして楽しい。自由で軽やかに構えているからこそ、マエダさんは新しいことに対しても、ためらいなく「面白そう」と向かっていけるのかもしれません。

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<マエダサチコさんのこれまでの歩み>

22歳 オンラインでキャンドルを販売
24歳 大阪で教室を開く
25歳 結婚
29歳 夫の転勤で東京へ。駒沢で教室「Candle.vida」を開く
31歳 教室を麻布に移転。初の著書『Vida=Feliz キャンドルづくりの本』(雄鶏社)を出版
33歳 アシスタントが8人になり、教室を法人化
34歳 表参道に2つ目の教室を開く
36歳 教室をまとめて自由が丘に移転
38歳 キャンドル講師を育成するスクールを始める
42歳 教室を駒沢に移転。生花と組み合わせたキャンドルの教室を始める


text:福山雅美 photo:砂原文

→より詳しく読みたい方は、ナチュリラ別冊『幸せに暮らすくふう』をご覧くださいね

Profile

マエダサチコ

Sachiko Maeda

キャンドル教室「Candle.vida」主宰。独創性のある作品で注目される。2013年にアートキャンドル協会を設立。キャンドルの花器と生花と組み合わせる「ワックスコーディネーター」の教室が話題に。2018年8月に、ア―トキャンドルの制作技術をまとめた著書を出版予定。
http://www.candlevida.com/
Instagram「@candle.vida.maeda

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