自分の本当の状態に気付く呼吸レッスン vol.1

からだ修行
2018.11.19

今月の先生:アマミヤアンナさん(呼吸ラボラトリー)


生きている限り、どんな人も必ずしている「呼吸」。その「呼吸」が変わっていくと、身体はもちろん、心にも大変化が?! 今回は「暮らしとおしゃれの編集室」編集部員も参加した、「からだ修行」拡大版です!

photo:砂原 文 text:田中のり子

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今回の先生・アマミヤアンナさん、実はもともと「暮らしとおしゃれの編集部」に在籍していた編集者。ロングセラー『冷えとりガールのスタイルブック』の担当者でもありました。その後、服部みれいさんが編集長をつとめる『マーマーマガジン』編集部を経て、現在はフリーランスで編集・ライター業をしながら、「呼吸ラボラトリー」という呼吸の教室を主宰されています。

2018年12月より、東京・原宿のイベントスペース「VACANT」にて、新しい呼吸のクラスをスタートするということで、「暮らしとおしゃれの編集室」の梅田さん・森さん・木村さん、それからフォトグラファーの砂原文さんと一緒に、ひと足お先に体験してきました。呼吸のレッスンを受けたことのある人、まったく初めての人、普段お疲れがたまっているであろう面々が、一同に会してみました。

誰もが普段休みなく行っている呼吸。でもそれを「レッスン」するとは、一体どういうことなのでしょう? 深呼吸の練習? そんなこんなの疑問が頭に浮かびつつ、なごやかにレッスンはスタート。まずは黒板に、「呼吸」という文字を書きつけます。

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「呼吸の『呼』は吐く、『吸』は吸うと読みますので、文字通り、吐いて、吸うという順番で呼吸をしていきます。特に『吐く』ということを練習していきます。息を吐くときにお腹を少しへこませて、吐いたらお腹の力を抜く。やることは、ただそれだけです。軟式のテニスボールを手で軽く押さえると、少しへこみますよね。手の力を抜くと自然に元の形に戻る。自分のお腹の動きをそんなふうにイメージしながら呼吸をしていきます。人の身体は吐くとゆるみ、吸うと緊張につながるようにできているんですよね

吐く量と吸う量が1:1でバランスがとれていると、身体が上手く機能して、気持ちよく循環するそう。ところがどうしても私たちの普段の生活は、パソコンに向かったりスマホをいじったり、満員電車に揺られたりと緊張が高くなる場面が多く、「吸う」ことが優位になりがちです。なので、この呼吸レッスンでは、「吐いて、ゆるむ」ことを重点的に行い、習慣として身につけ、日常で活かすことを目指しているそうです。

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「ポイントは3つ。ひとつ目は、鼻を使って呼吸をします。鼻から吐いて、鼻から入れる。ふたつ目は、お腹を使います。お腹といっても胃袋のほうではなく、下腹。下腹全体を使うお腹の呼吸と、丹田(たんでん)という場所を意識する呼吸の2つを練習します。3つ目は気持ちよく吐く。何で気持ちよく……というのを強調するかというと、『鼻から吐いて~』『力を抜いて~』など言うと、みんなついつい頑張っちゃうんですよね。頑張ることに慣れているから。そうなると、身体が“気持ちいい=ゆるむ”状態にならない。『うまく吐けない…』『なんだかお腹が動かない…』など、できないことにフォーカスして自分をジャッジしたりせずに、『そういうものなんだな~』と受け入れること。そして、気持ちいいなと思う瞬間が訪れたら、すかさずキャッチして、その状態をできるだけキープしてみてください

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そんなお話を伺ったあと、まずは一同、仰向けに。「頭のてっぺんから、両足の指先まで、全身の力を抜きます」というアマミヤさんの声に合わせて、どんどん脱力していきます。こちら、私がヨガ教室で体験している「シャバーアーサナ(死体のポーズ)」とよく似ています。そして声のガイドに合わせ、右半身と左半身の違い、上半身と下半身の感じ、身体の温かいところ冷たいところなど、身体の細部や内側をていねいに観察していきます。

いきなり寝っころがるのには「最初から?」と少し驚きましたが、アマミヤさんの言う「脱力」するのには、とてもよい感じ。何せ重たい上半身を支える必要がなく、周りの人を気にすることもなく。参加者たちは自然に目をつむり、それぞれスッと、自分の世界に入っていきました。

鼻での呼吸を意識したあと、呼吸が胸まで入っているか、お腹まで届いているか、背中で呼吸しているかを確認しながら、徐々にお腹(下腹部)への呼吸へと入っていきます。「え? 背中?」と思いがちですが、きちんと肺を感じて呼吸すると、肺は背中側にもふわっとふくらんで、空気の出し入れをしていることに気付きます。「そういや最近、こんな背中側まで感じられるような呼吸をしていたかな?」なんてことを考えながら、呼吸に没頭していきました。

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「お腹の呼吸は、鼻から息を吐きながら、下腹を少しへこませる。息を吐ききったらお腹の力を抜く。すると鼻から息が入ってきます。息を『吸う』のではなく、『入ってくる』という感覚に慣れてください」

しばらくみんなで呼吸を合わせたあと、「次からは自分のペースで」と、アマミヤさんの声。呼吸を合わせていると、どこか「合わせるのに頑張っちゃう自分」がチラホラしてしまいます。けれども呼吸は、自分のペースに入ってからが実は本番。息を吐く、お腹の力を抜く、吐く、力を抜く。この単純な動きに集中していくのが、どんどん気持ちよくなっていきました。

「次に丹田の呼吸です。丹田はおへその下9㎝ほどのところです。さっきは下腹全体で呼吸をしましたが、今度は丹田1点に的をしぼって、より精妙に、呼吸をしていきます。」

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からだ修行をしていると、何度となく登場する「丹田」の存在! 東洋医学ではおなじみ、「気」が集まる場所、エネルギーセンターと言われている場所です。今までふわっと下腹全体で息をしていたのを、今度はよりシャープに、丹田にフォーカス。「たくさん息を吐こうとしたり、無理にお腹をへこませようとしないでください」というアマミヤさんの声にしたがって、呼吸を続けていきます。

続けるにつれ、とにかく心地よいのは、アマミヤさんの声。凛として、落ち着いて、それでいてほどよい距離感で寄り添ってくれるような澄んだ声。その声のガイドにしたがって、普段は両胸あたりで止まっていた呼吸が、どんどん下へ下へと、深まっていくのを感じていきます。

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丹田での呼吸をしばらく続けたあとは、いよいよ起き上がって、あぐらで座りながらの呼吸へ。まずは基本の姿勢の練習です。ここで気を付けるべきは、「仙骨」という、骨盤の後方上部にある逆三角形の骨。あぐらで座ったら、仙骨が後ろに倒れないように骨盤をすっと立てて、ラクに座り続けられる姿勢を探ります

「仙骨が立っているのを確認したら、そこから背筋をピン! と張るというのではなく、仙骨の上に上体をラクにのっける感じ。丹田と仙骨を両手で挟み、肩や胸に力が入らないポイントはどこか探ってみるといいですね。」

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椎骨(ついこつ)、いわゆる背骨は、全部で24個。姿勢を整えるときは、仙骨から椎骨を1個1個積み上げ、頭のてっぺんを超えて、どんどん天のほうに伸びていくイメージを持つ。続いて仙骨から下、地球の中心に向かって伸びて伸びて、しっかりつながるイメージも。天と地へのびる力の真ん中に、すっと肩の力の抜けた自分がいる。どうやらそれが、自分にとっての無理のない自然な姿勢のよう。
ここから再び、お腹の呼吸、丹田の呼吸を順番にしていきます。

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ちなみに、床に直接座ってあぐらの姿勢をキープするのは難しいため、用意されたブランケットをお尻の下に敷いて、骨盤を前傾させる姿勢をとりました。座布団やクッション、ヨガブロックを使ってもよいそうです。

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なお、股関節が固くてあぐらで座るのも少し苦痛な人は、ブランケットに馬乗りになるような感じで、ブランケットを足で挟んで正座すると、ラクなのだとか。ご年配の方などは、椅子に座って行うこともあるそうです。


→vol.2へ続きます

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Profile

アマミヤアンナ

「呼吸ラボラトリー」「手編み靴下amine」主宰、編集者。いくつかの出版社を経て、2011年秋『マーマーマガジン』編集部へ。2014年春、加藤俊朗さんの「Katoメソッドリーダークラス」を卒業し、講師としてレッスンをスタート。2015年春にフリーランスとなり、さまざまに活動している。現在は、呼吸ラボラトリーによる連続クラス(全3回)と不定期の単発クラスを開催。12月からは、原宿・VACANTでも新しい呼吸クラスもスタートする。
「呼吸ラボラトリー」http://kokyulaboratory.com/
「amine」http://www.amine-teami.com
「VACANT」https://www.vacant.vc/

 

田中のり子

Noriko Tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』(エクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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