無意識を信頼する vol.2 医師・稲葉俊郎さん

暮らしのおへそ
2019.01.15

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人間の体は調和と不調和の間を
行ったり来たりしながら常に変化する場。

医療の本質は、体の調和を取り戻し
その人を健康にしたり元気にすること。

それをサポートするには、西洋医学だけでなく、
いろんな選択肢があると思います。

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意識と無意識をつなげることが
体を整えることにつながる

「人間は起きて、寝るということを繰り返していますよね。起きているときは、常に外の情報を受け取っている時間。それが意識の領域。寝ているときは外の情報をシャットダウンして純粋に内側の世界に向いている時間。それが無意識の領域で、自分の生命そのものの世界。つまり自分を支える場所であり、いのちの世界です。意識と無意識がうまくつながることが大事で、その時間を増やすことが体や心の調和や健康につながるのだと思います」

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1本の紐をゆるっと巻くだけで、体本来のニュートラルな状態を維持する「ヒモトレ」を実践中。

とはいえ、多くの人は意識と無意識が分断し、体が求めているものと真逆のことをしていたりするといいます。

「みんな無意識が求めているものにふたをして、外側の情報に熱心になり過ぎているんです。だから、心と体のバランスを崩してしまう。たとえば、子どもって意味もなく走ったりしますよね。あの光景って、すごく美しいと思うんです。体の欲求のまま、無意識がやりたいように動いている。大人にもそういう衝動はあるはずで、でも『こうあらねばならない』といったものに縛られてできなかったりする。だからこそ、大人には自分の体が求めていることができる場、時間をあえて設定する必要があるのかもしれません。踊りの時間、お能の時間というふうに」

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スリッパ代わりに愛用する長さ約10㎝の「足半(あしなか)」は「足の骨が整い、骨盤や仙骨も整う気がします」

実は稲葉さんは、3年ほど前からお能を習っているのだそうです。

「お能では『立つ』『歩く』という基本的な動作がとても大事です。でも、ふだんはそれを私たちは無意識にやっています。自動操縦でやっていたことを、あえて『型』にはめてマニュアル操縦にすることで、自分の無意識の体に再接続することができる。そうして体を整えることが、意識と無意識をつなげ、心を整えることにもつながっている。お能に限らず、茶道や華道など『道』における体の使い方や在り方を学ぶことは、自分の体を知るいいきっかけになります。自分の体を知ることが、心と体の調和を保つうえで大切なこと。自分が生活しているなかで、何がいちばん心地よくて、ハッピーなのか。その感覚を大切に、そこをホームポジションとして、常に戻っていけばいい。健康って、誰かに与えられて決めるものではなく自分自身が決めるもの。ひとりひとりが主体的に自分の体と関わっていくことが何より大事です」

 

→vol.3につづきます

暮らしのおへそ Vol.26」より photo:馬場わかな text:和田紀子

Profile

稲葉俊郎

Toshiro Inaba

医師、東京大学医学部付属病院循環器内科助教。医学博士。西洋医学だけでなく、伝統医療、代替医療、民間医療も広く修め、伝統芸能、芸術、民俗学、農業など、あらゆる分野と医療との接点を模索している。著書に『いのちを呼びさますもの ひとのこころとからだ』(アノニマスタジオ)がある。https://www.toshiroinaba.com/

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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