デンマーク “生協” の家具部門「FDBモブラー」の「J80チェア」
~halutaの北欧アイテムvol.20~
突然ですがみなさん「CO-OP(生活協同組合)」ってご存知ですか。単に「生協」とも呼ばれる、一般市民の生活レベルの向上をめざし、さまざまな事業を行う組織のことです。1900年代中頃のデンマークにも「FDB(デンマーク協同組合連合会)」という、同じような目的を持つ組織がありました。
1942年、ここに家具部門「FDBモブラー」が新しく設立。その監修を務めたのが、デンマーク近代家具を作ったコーア・クリントさん。そして初代主任を務めることになったのが、ボーエ・モーエンセンさんでした。さらにそこに、ハンス・ウェグナーさんやアルネ・ヤコブセンさんなどもプロジェクトに参加。
今となってはキラ星のように輝くスターデザイナーの彼らがこぞって、民衆のために「機能的かつ、良質な家具を、できるだけ手頃な値段で」という、まさに無茶ぶりとも言えるミッションのもと、おびただしい数の名作家具をデザイン。それが、現在のデンマークにおける、モダンデザイン家具の模範となったのです。なんだかいい話。
その後、1980年代には一部生産を中止、工房を縮小していたのですが、2013年、ついに当時のデザインを引き継ぎ、大々的な復刻生産が決定。俄然注目を集めてます。
中でも今回ご紹介したいのは、4代目主任であるヨーエン・ベックマークさんデザインによる、J80のオリジナルです。
これを見て、何が気付かれましたか? そう、vol.2で紹介したボーエ・モーエンセンのJ39チェアと似ていますね。
すっぽりとお尻を包み込むようにフィットする、ペーパーコードによる座面はそのままに、背もたれの部分が、細いスポーク(背棒)を付けた、合理的な仕様になっています。また脚まわりをふくむ全体としても小作りで、すっきりとした、扱いやすい印象です。
ちなみにこちらは復刻したJ80。halutaでは、ヴィンテージとともにこちらの現行品も取り扱っています。これから時を経て、飴色になっていく過程を自分で感じられる楽しみもあります。
halutaではJ80のほか、復刻したFDBモブラー製品をいくつかご用意しております。気になった方は、ぜひそちらもご覧くださいね。
主にデンマークから仕入れたヴィンテージの北欧家具、雑貨を扱う。「今日のひとしな」コラム執筆は、ウェブブック「haluta365」編集長・山村光春さん。
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