日本からフランス、そしてフランスから再び日本へ vol.2 パトリス・ジュリアンさん
毎日の生活のどんな些細な場面でも、自分が好きなもの、気持ちがいいこと、美しいと感じるものは何かと自分自身に問いかけ、ひとつひとつ意識を持って選択していく――それが、パトリスさんが実践する毎日の生活をアートにする方法、つまり“アール・ド・ヴィーブル”です。
「小さなことに気をつければ、おのずと大きなところに意識は広がっていきます。例えばサンドイッチひとつ買うにしても、コンビニではなく美味しいブーランジェリーまで足を運ぶ。そうすると、お皿はどうしよう、飲み物は、グラスは……と気になる範囲は広がっていく。だから、小さなことは大事。おろそかにしてはいけない。どんなにたわいのないことでも、人生というのはチョイスの連続であり、積み重ね。生活のディテールひとつひとつに意識を持てば、今目の前にあることは当たり前じゃなく、一期一会の奇跡。そのありがたさに『ああ美味しい』『ああ美しい』と、喜びを感じることできる。大きな幸せは簡単には手に入らないけど、小さな喜びなら毎日見つけられるでしょ? ああ、今日も元気、それだって喜びです。それを積み重ねていけば、日々の生活は確実に豊かなものになる。そして、いつか大きな幸せとなって戻ってきます」
今、ここにはない大きな幸せを追い求めるのではなく、小さな喜びにフォーカスをして、今、ここにある場所を楽しく豊かなものにする。それができるかできないかは自分次第です。まずは今、自分の身の回りに当たり前にあるものや、日々何げなくしていることに、改めて意識を持ってみる。それだったら、今すぐにでも始められそうな気がします。
『暮らしのおへそ』vol.21より text:和田紀子 photo:馬場わかな
Profile
パトリス・ジュリアン
1952年モロッコ生まれのフランス人。1988年にフランス大使館文化担当官として来日。東京日仏学院副院長を経て、複数のレストランのオーナーシェフを務めた後、「パトリス・ジュリアン・ライフスタイルデザインオフィス」を設立。2010年よりフランスに一時帰国していたが、2014年2月、4年半ぶりに再来日。日本を拠点に活動を再開した。www.patricejulien.com
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