建築家とつくる、おこもり空間がある家

大人の住まい替え
2019.07.23

連載「大人の住まい替え」では、これからの暮らしを見つめ直した先輩方の住まいをご紹介します。今週お届けするテーマは「建築家とつくる住まい」。新鮮なアイデアと意図あるデザイン力に富んだ建築家がつくる住まいは、他にはない独自の仕掛けや工夫が多数。マンツーマンで作り上げるからこそできる、自由な発想でこだわり満載の家ばかりですよ。


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自然豊かな里山で暮らすTさんの場合

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今回ご紹介するのは、里山の広大な敷地を代々住み継ぐTさんの住まい。Tさんは自然と一緒に暮らす豊かさを大事にしながら、この先も土地を守っていきたいという想いを強く持っています。今回の住み替えでは、長年の夢だった“階段のある暮らし”を実現しつつ、周りの景観をじゃましないような家を作ることが課題でした。それを叶えたのが建築家・野崎亮一さんが設計を手がけた「おこもり空間がある家」です。長年の夢を実現した家ができるまでには、どのような物語があったのでしょうか。

里山の風情になじむ、平屋のような2階建て

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「野崎さんが最初に提案してくれたのは、昔ながらの立派な平屋で伸び伸びと暮らすことでしたが、私は小さいころから階段のある家に憧れていて、どうにか実現できないかと相談しました」

2階建てになることで懸念されたのは、周りの里山の風情に馴染むかどうか。代々住み継いできた土地だからこそ、Tさんもその点を一番不安に感じていました。

そこで野崎さんが考えたのは、外見は大屋根の格式ある形で平屋に見えるけれど、実は2階建ての家。2階は広い小屋裏のような空間となりました。平屋建てと同じ高さなので里山の景観を損なわずに、Tさんの夢であった階段のある暮らしを実現することができました。


屋根が壁となった、おこもり空間

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勾配が45°という急角度の屋根が、そのまま2階の壁になっています。窓がほぼないので、外が悪天候で荒れていても全く気になりません。

「まるで屋根に守られているかのように感じるスペースになりました。窓がない2階に光を取り入れるために、1階からの光を吹き抜けで通し、天井に反射させています。だから真っ白な天井となっているのです」と野崎さんは話します。

こうしてTさんの希望の2階建ての住まいが叶えられました。野崎さんの細かなヒアリングによって、他にもたくさんの理想が実現していきますよ。

「どういう毎日を過ごしたいか」をまず考える

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家づくりをスタートするときに大まかに考えるポイントは、居室は何部屋欲しいか、LDKはどういうカタチ、広さ、繋がりにしたいか、納戸やウォークインクロゼット、土間など収納はどれぐらい欲しいか……などなど、たくさんありますよね。ところが、野崎さんはそのヒアリングをあまり重要視していなかったといいます。

「何部屋、何帖欲しいかということは、今回のような環境にとっては本質ではないと思いました。なので、この場所でどういう生活をしたいか、ということを中心に伺いました。そうしてわかったTさん夫妻が望む条件は“日中は明るく、夜は夜なりの暗さを楽しみたい”でした」


生活スペースを外側にまとめた、効率的な家事導線

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さらに、ヒアリングを進める中で、共働きのTさん夫婦が生活しやすいように家事効率を高める動線づくりが重要だと野崎さんは気づきました。

「生活スペースを建物内の外周に持ってくることで導線をスムーズにし、暮らしやすい間取りを作りました。具体的には、ダイニング・キッチン・リビングや、奥様がお花を生けたり・ピアノを演奏したりと趣味の時間を楽しめるアトリエは、外側へ。お風呂はゆっくり入らないというTさんの生活スタイルから、お風呂、トイレなどのサニタリーは、建物の中央部へと集めました」

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玄関から上がってすぐの場所には、広いウォークインクローゼットや、階段下スペースを有効に利用してコートクロークも設置されました。そして、2階への採光に重要なリビングの窓をはじめ、1階の窓はできる限り大きくしたおかげで、日中は常に明るい外の光を浴びながら暮らすことができます。


会話からもヒントを得て、理想を超えた住まいが完成


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野崎さんが家づくりで大事にしていたことは、施主であるTさんとしっかり話しながらヒアリングを行うことだったそう。

「デザイン面ではまず、SNSの実例写真を一緒に見ながら、気になる写真を選んでもらいました。それが、自然素材と白いプレーンな空間が好きといった、夫婦の好みをより深く知る助けになったと思います」

また、ライフスタイルをとことんイメージすることを心がけたという野崎さん。夫妻とのなにげない会話も、設計のヒントになります。たとえば『この間野菜をもらってね……』という話を聞いて、野菜をストックする場所があったら便利だろうと、すかさず設計図に反映。そういった暮らしの快適さに寄り添う家をとことん追求した野崎さんの提案に、Tさんご夫婦も大満足。建築家・野崎さんとの家づくりで、理想を超えた住まいが完成したのでした。

 

■間取り図

1F

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2F
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居住者構成:夫婦
敷地面積:964.56㎡
延床面積:151.64㎡
建築事務所:のざき設計室
撮影:Sasakura Yohei

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