【建築家とつくるvol.5】穏やかな光に包まれる家
連載「大人の住まい替え」では、これからの暮らしを見つめ直した先輩方の住まいをご紹介します。今週お届けするテーマは「建築家とつくる住まい」。新鮮なアイデアと意図あるデザイン力に富んだ建築家がつくる住まいは、他にはない独自の仕掛けや工夫が多数。マンツーマンで作り上げるからこそできる、自由な発想でこだわり満載の家ばかりですよ。
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無類の建築好きなFさんの場合
本日は、テレビ番組『渡辺篤史の建もの探訪』の録画を数年分ストックするほどの建築好きというFさんの住まいです。最初から住みたい家のイメージを明確に持ち、自分たちのテイストに合う建築家を探していた中で出会ったのが、今回設計を担当した建築家・菰田真志さん、晶さん夫妻でした。Fさんと菰田さんが一緒につくり上げた「穏やかな光に包まれる家」は、いったいどんな住まいなのでしょうか。
家の中心に、念願だった土間を設置
具体的なイメージを持って家づくりをはじめたFさんが最も叶えたかったのは、趣味である自転車を安全に置けて、インテリアのように飾ることができる土間。念願の土間は家の中心に配置され、白い壁と無垢材の床が絶妙にマッチする、実にモダンな空間となりました。
家全体に光を行き渡らせる、インナーバルコニー
Fさんが購入した土地は北側道路で、南側は境界から30cmのところに隣の建物が建っているため、採光が取りにくいという問題がありました。これを解決するために菰田さんは屋上バルコニーを設置し、高窓から光を採り、1階まで通すというアイデアを考案。2階部分にはインナーバルコニーを設け、床をレッドウッドのスノコにすることで、上からの光を1階にまで通そうと考えたのです。
1階全体を明るく照らす土間
インナーバルコニーからは燦々と光が差し込み、土間の白壁に反射することで1階全体を明るく照らしています。さらに開けた東西にも大きな窓を設置し、隣家がある東側は半透明のフロストガラスの窓、西側はブラインドを付け、プライバシーを確保しながら採光を確保することに見事成功しました。
土間と床板の間に、隠れた収納スペース
1階の土間から靴を脱いで上がった先にあるのは、段差で空間にメリハリを付けたフリースペース。床の木材には樺桜が使われています。土間と床板の間が収納となっているのも、菰田さんのアイデアです。
光を通す、こだわりのらせん階段
1階と2階をつなぐのは、Fさんと菰田さんがこだわり抜いて完成させたらせん階段。2階からの光を遮らないようにつくられました。2階にはお風呂やトイレ、洗面所の水回りと、和室とリビングダイニングの生活空間が集められています。
階下が透けて見えるスノコのインナーバルコニーを、最初のころFさんの娘さんは怖がったそうですが、今ではすっかり慣れてひと安心。今ではFさん邸の素敵なワンポイントとなっています。
一緒につくり上げたこだわりの家が完成
今回の家づくりを振り返って、菰田さんは……
「屋上につくったバルコニーとリビングとの関係、光を階下まで落とすインナーバルコニーをつくるといった提案を気に入ってもらえたことで、プランもより明確になり、満足いただける家が完成しました」
Fさんが実際住み始めてみてわかったことは、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせとても快適ということ。「今は2階のリビングにいる時間が最も多く、一家団欒の場となっています。休日には趣味の自転車を土間でメンテナンスをして楽しい時間を満喫でき、本当に大満足の家となりました」
インテリア好きのFさん夫婦は、フリッツ・ハンセンのイスを窓の高さに合わせて購入されるなど素敵に住みこなしています。建築家のセンスと住み手のセンスが相乗効果を生み、まさにこだわりの住まいが完成したのでした。
居住者構成: 夫婦+子供1人
敷地面積: 110.62㎡
延床面積:99.81㎡
建築事務所:菰田建築設計事務所
撮影:新 良太
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