【自分を癒す部屋リノベvol.3】森に住んでいるような心地よさがある住まい

大人の住まい替え
2019.10.03

連載「大人の住まい替え」では、これからの暮らしを見つめ直した先輩方の住まいをご紹介します。今週お届けするテーマは「自分を癒す部屋リノベ」。お気に入りの景色をいつでも眺められる場所をつくったり、家族それぞれの時間を大事にできる工夫があったり。“自分たちにとって最高に心地いい”をとことん考えて完成した住まいには、その人ならではの暮らしのこだわりがたっぷり詰まっていました。

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Sさん夫妻の場合
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本日はご紹介するのは、Sさん夫妻の「森に住んでいるような心地よさがある住まい」。吹き抜けやルーフバルコニーがあることで、光と風が通り抜け一日中とても気持ちよく、マンションの一室とは思えないくらい生き生きと植物が育っています。大きな木が印象的なLDKは、Sさん夫妻のこだわりがぎゅっと詰まった場所となりました。


都心で緑あふれる暮らしがしたい
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「通勤に便利だけど、自然豊かな暮らしがしたい」と思っていたSさん夫妻は、都心の中古マンションを購入してリノベーションをすることに。きっかけとなったのは、会社の同僚にリノベーション経験者がいて、その個性的な間取りと抜群のかっこよさに魅了されたことでした。

物件の決め手は、風が吹き抜ける心地よい空間
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リノベーションをすると決めてから物件購入までにかかった時間は、なんと約2か月。非常にスピーディーに進みました。物件の決め手は、メゾネットと吹き抜け、そしてルーフバルコニーがあったこと。ネットでたまたま見つけた時点で、Sさん夫妻の期待度は既に高かったといいます。

「実際に内見をしてみて、吹き抜け空間とそこにはめられたガラスブロックの雰囲気に、一目惚れしました。予算よりも多少高かったのですが、こんな物件はこの先探してもなかなか出てこない! と即決したんです」

家の顔となる、大きな木と照明
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吹き抜け部分には、設計担当者の提案で大きな木を置くことに。部屋に入った時に視線が木に集まることで広さを感じられることから、縦にも横にも伸びインパクト抜群の「シマトネリコ」が選ばれました。

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吹き抜けの近くにある大きな丸い照明は、彫刻家イサムノグチのAKARIシリーズ。普通の住宅ではなかなか置けない大きさを思い切って選びました。

「ガラスブロックや、空間の切り取り方がカクカクしていて、全体的に四角い印象のスペースなので、照明をあえて球体にすることでいいアクセントになりました。実は外から我が家を見上げると、窓に映るこの照明が満月のように見えるのです(笑)」


目指したのは、長く住むことで味が出るシンプルな家
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Sさん夫妻の理想は、長く住むことで味が出て成長していくような住まい。イメージは、家族みんなが愛着を持って大切に住んできた、奥さんの実家である築100年の日本家屋でした。今回のリノベーションはマンションですが、「どこか懐かしく、肩の力が抜けたラフさがあり、日々愛着がわいてくる部屋にしたい」という希望を持っていたそう。

「打ち合わせの中では、これからの暮らし方によって部屋の使い方を変えることもできるようにしたいと伝えました。ベースを白にしているので、趣味が変わった時には、部屋のテイストも変えたいですね」

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例えばキッチン横の小上がりのスペースは、ゴロっと寝転ぶ以外にも用途が広がると思いつくられました。将来的には畳を敷いたり、ダイニングテーブルを移動させたりなど、部屋の印象をガラッと変えることができるたくさんの可能性を秘めています。

「和の要素も取り入れたかったので、キッチンとリビングダイニングスペースを一段下げて、土間のような雰囲気になるようにしました。バランスをとるために、LDKの床材はモルタルのようなニュアンスのあるフレキシブルボードを張りました」

シンプルな造りのキッチンとこだわりのもの選び
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キッチンは理想のラフな雰囲気にマッチし、コストも抑えることができるため、業務用のものに。レンジフードは既製品ではなく、ステンレス板でつくられました。壁は白のサブウェイタイルでシンプルな印象。キッチンの作業台は、脚部下の木の部分を取り外すと、ダイニングテーブルと高さが揃うので、お客さんが来た時はくっつけて大きなテーブルとしても使えるという嬉しい機能もあります。


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食器棚に重ねているお皿は、骨董品や旅先で買ったものなど、Sさん夫妻のアイテム選びのセンスが光ります。壁にかかっている珍しい雰囲気の布は、東京・新木場にある「CASICA(カシカ)」で購入しました。左の細長いベージュの布二つは、お醤油を作る時に大豆を絞る布として使われていたもの。右の織物は、中央アフリカ・クバ族が作る伝統的な布で、草ビロードというそう。


コンクリート仕上げのかっこいいバスルーム
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Sさん夫妻が細部までこだわり完成した、お気に入りのバスルーム。オーバーヘッドシャワーがつけられ、照明は船舶用の調光式のものが使われています。薄暗い明りが浴室の雰囲気とよく合っています。

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洗面室と浴室の床の柄入りモザイクタイルは、コンクリート仕上げと合わせることでかわいくなりすぎず、落ち着いた雰囲気に。

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床のタイルも含めて細かい部分まで美しく、Sさん夫妻のこだわりと愛情を感じられます。その秘密は、新婚旅行先のニューヨークのホームセンターで購入したパーツの数々。

「ちょうどこの家の解体をしている時に、新婚旅行でニューヨークへ行っていました。その時にホテルで見かけたパーツやディテールに影響を受けた部分は結構ありますね。トイレットペーパーホルダーやスイッチプレートなど、ニューヨークのホームセンターに6時間くらいこもり色々たくさん買いました(笑)」


光と風が気持ちいいメゾネット
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リビングダイニングにある階段を上った先の部屋は寝室となっています。三面採光で一日中たっぷり日差しが入り、光と風がよく通り抜けます。

「午前中が特に気持ちよく過ごせるので、寝ているのがもったいないと思うようになり、以前より早起きになりました(笑)」

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吹き抜け側につくられたデスクは、パソコンを開いて仕事や作業をするスペースに。

「玄関からLDK、メゾネットまで、縦にも横にも仕切りがなくひと続きになっているので、お互いの気配は感じながらも、それぞれの時間の邪魔にならないことが、心地いい空間になっている秘密なのだと思います」

リノベーションを終え、実際に住み始めてみて……
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リノベーションを終えて、Sさん夫妻の新たな生活が始まりました。家の中では開放的なリビングダイニングにいる時間が一番多いそう。平日は何かと忙しく、中々ゆっくりと過ごすことができないぶん、週末は音楽を聞きながらのんびりと二人でブランチをしたり、お互いに趣味の時間を過ごしたりしています。

「今後はもっとこの家ならではの楽しみ方を満喫したいです。例えば、今は手付かずになっているルーフバルコニーにウッドデッキを敷いて快適な空間にしたいですね。お天気のいい日は椅子とテーブルを運び、 のんびりお酒やコーヒーを片手に本を読んだり、昼寝をしたり。あとはシマトネリコが大きく成長したので、もうすぐ植え替えをしたいなと思っています」

マンションの一室とは思えないほど、植物が生き生きと育つとても心地いい空間。まるで本当に森の中にいるような清々しさを感じる住まいが完成しました。5年、10年と愛情を持って住み続けることで、どのように磨かれ育っていくのか、Sさん夫妻も楽しみに感じているようでした。


■ 間取り図
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居住者構成:ふたり暮らし
面積:約85㎡


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