一日ずつのおへそ ― 竹花いち子さん vol.1

暮らしのおへそ
2019.11.18

未来を不安がるのでなく
過去を後悔するでもなく
生きていくのは、一日ずつ。

s1
料理は肉体労働なので、自分で自分の体をケア。毎朝お風呂に入ったあとにストレッチ。雑誌などの情報の中から、自分に合うものだけを組み合わせている。肩や肩甲骨まわりを伸ばすと気持ちいい。

 

1993〜2011年の約18年間、東京の世田谷区代沢にあった「タケハーナ」という小さなレストランをご存でしょうか? ジャンルにとらわれないメニューと奥深い味わいで、多くの食通たちに愛されたお店です。この店を営んでいたのが竹花いち子さん。

超人気店だったにもかかわらず、閉店したのは「『あなたは今日、何を食べたい?』と、もう少し『個』を大切にした料理を作りたくなったから」だそう。今では、ケータリングや食事会、料理教室など、よりお客さまや生徒さんに近い場で腕を振るっています。

突如としてグイッと人生の舵(かじ)を切り、まったく違った方向へと走り出す。それが竹花さんのこれまでの進み方でした。そのきっかけはいつも「私は、本当に好きなことをしているだろうか?」という自分への問いかけだったのだと言います。

レストランを開く前は、コピーライター、作詞家として幅広く活躍。徳永英明さんや、山下久美子さんなど、数多くのミュージシャンに詞を提供していました。

徐々にキャリアを積み、大きな仕事をまかされて……。でも、だんだん「自分がいちばんいいと思うものが、プレゼンに通らない」ことに息苦しさを感じるようになりました。

「私の好きなものは、一般受けしないんだ、とちょっと卑屈になっていましたね」と笑います。

ちょうどそんなときに出会ったのが、メジャーデビューをする少し前のロックバンド「ザ・ブルーハーツ」の甲本ヒロトさんです。

「歌も、雑誌で語っていることも全部好き! と、とりこになりました。そして、彼らはあっという間にメジャーになって、一世を風靡(ふうび)したんです。どんな職業の、どんな価値観の人も、彼らのことを『すごい!』と言う……。私は、そこに衝撃を受けたんですよね。本当のことって、どんな人にも通じるんだって。マイナー志向だからわかってもらえなくて当たり前、と思い込んでいた自分が恥ずかしくなりました。そして私は、心から好きと思えることをやっていなかっただけなんだと気づいたんです」

朝のルーティンを決める

ストレッチも朝食も無意識の流れのなかでたんたんと。
朝は自分を立ち上げる準備時間。

s2
朝、目覚めたら起き上がる前にまずは足首を伸ばして。
アキレス腱をよく伸ばし、足首をぐるぐるとまわす。

s3
お風呂のお湯をためている間に、朝飲むコーヒーの豆をひく。
無心に手を動かしているうちに体が目覚めはじめる。

s4
朝も必ず湯船につかる。頭を洗ってシャワーを浴びるとスッキリ!
すぐに次の行動に移すことができる。

s5
体を充分に温めてからストレッチを。
少しでも体が張っていると、早めに自分でケアをするよう心がけている。

s6
ストレッチの合間にオーブントースターを温めに行く。
トーストは予熱で庫内を充分に温めてから焼くのが鉄則。

s7
にんじん1本、りんご半分をカットして水分をまったく入れずにジュースを作って飲む。
20年ほど前から続く習慣。

s8
血が薄いので、鉄分が多いドライプルーンを毎朝2粒食べる。
このおかげで、体調がぐんとよくなったそう。

s9
朝食はトーストを焼き、バターの代わりに亜麻仁油を垂らして、
ブルーベリージャムとメープルシロップを。


→vol.2につづきます

「暮らしのおへそ Vol.28」より
photo:興村憲彦 text :一田憲子

→その他の「暮らしのおへそ」の記事はこちら

Profile

竹花いち子

Ichiko Takehana

料理人。料理教室「キッチンボルベール」主宰。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店でコピーライターとして活躍。作詞家として数々のミュージシャンに詞を提供。1993年に、東京世田谷にレストラン「タケハーナ」をオープン。2011年に閉店。今は、食べてくれる人のより近くでと、ケータリングや食事会で料理を作る。http://takehanaichiko.com

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ