【広々と心地いい家づくりvol.4】引き戸と吹き抜けで、開放感のある住まい

大人の住まい替え
2019.12.27

連載「大人の住まい替え」では、これからの暮らしを見つめ直した先輩方の住まいをご紹介します。今週お届けするテーマは「広々と心地いい家づくり」。家族のライフスタイルに合わせた間取りや使い勝手のいい収納ですっきり部屋を叶えた住まい、広く感じられる設計デザインの家など。どの住まいにも共通していたのは、 “住む人の利便性をとことん考えた”というポイントでした。

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建築家・吉田祐介さんの場合

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今回ご紹介するのは、建築家の吉田祐介さんが自宅兼事務所として建てた、「引き戸と吹き抜けで、開放感のある住まい」。実際の面積以上に広く感じさせる、建築家ならではの工夫がたくさん詰まっています。目を引く外観は、1階と2階のそれぞれに、まるで小さなお家がちょこんとくっついているような個性的なデザインで、三角の切妻屋根が特徴的。実は、これも空間に広がりをつくり出す仕掛けの一つなのです。

広々と開放的に感じられる仕掛け
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自宅と建築事務所を兼ねているため、常に来客が多いという吉田さん邸。1階はお客さんがゆっくり過ごせる、すっきりとした広い玄関土間やLDK、和室に加えて、水回りが集められました。木を多用したリビングは、天井の一部にボードを張らず仕上げることで、開放的な印象となり、デザインにリズムが生まれます。

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家全体で共通しているのは、ほぼ全ての間仕切りに引き戸が使われていること。1階のリビングは吹き抜けとなっており、引き戸を開けると家中が一体感のある大空間に。各所の窓から入る気持ちのいい風と明るい光が、部屋の隅々まで行きわたります。この一体感こそが「広く感じられる住まい」のポイントです。

一つの場所に複数の機能性を
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広がりを更に生み出すために、一つの場所に複数の機能をもたせ、スペースを有効活用しています。例えば、広い玄関土間は趣味であるDIYを楽しむための場所として使うだけではなく、奥の窓際にベンチをつくり、ちょっと腰かけて話ができる応接スペースにも。

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和室は床を一段高くし、下に引き出し式の収納スペースを設けました。引き戸を閉めることで個室にもなります。


三角屋根のモチーフを取り入れたデザインに隠された秘密
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2階は設計業務を行う仕事スペースと寝室、クローゼットが集められたプライベートな空間。左のドアを開けると大容量のウォークスルークローゼット、奥のドアの先には仕事スペースが広がります。

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壁も木材でつくられたこちらの仕事部屋は、外観の「くっついているように見える小さな家」の内部。どことなく秘密基地のようで、大人もワクワクする雰囲気です。

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寝室も床を一段高くし、収納スペースを設けました。2階にはあまり間仕切りがないので、ほどよく開放的な印象とおこもり感のバランスが絶妙で、落ち着く空間に。

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外観のモチーフである「三角屋根のお家」を、部屋の内部にも取り入れることで、とても楽しい雰囲気に。実は、遊び心満載のデザインとしてだけではなく、しっかりとした機能性も備わっています。

「これも空間を広く感じる工夫の1つです。各スペースの天井部を斜めにカットして山形にすると、カットされた部分に空間のアキができて視線が抜け、広く感じられます。窓から入る自然光が遮断されないというメリットもあります」


様々な素材を使いつつ、まとまりのある空間に
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自宅兼事務所だけではなく、モデルルームとしても大活躍の吉田さん邸。設計の相談に来たお客様に、色々な使用例を見てもらうため、普通の住宅以上に種類豊富なテイストの素材が用いられています。

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例えばLDKでは、和室の引き戸は薄いグレーの和紙、中央のベージュの引き戸は上部をガラス張りにして、視線が抜けるように。ダークグレーの壁はセメントボードで、キッチンとの統一感も抜群。床はカラマツの木材……といったように、多彩な素材を使いながらも、ちぐはぐな印象は全くなく、むしろ落ち着きのある空間に仕上がっています。

全体のまとまりをだすコツについて、「色はある程度統一させ、重くならないように明るさを加えて、バランスを整えます」と吉田さん。中々真似をすることは難しい、ぬくもりや洒落た雰囲気を併せ持つ素材と色づかいには、独自のセンスが光ります。

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2階にある吹抜け上部の窓から見えるのは、向かいにある竹林。光を家中に行き渡らせるだけではなく、外の景色を絵画のように楽しめるピクチャーウインドーとしての役割も果たしています。こうした実用性と素敵な雰囲気を醸し出すデザインのバランスが絶妙な吉田さん邸は、訪れる多くの人を魅了していました。




■間取り図
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1F


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2F

居住者構成:夫婦
敷地面積:約160㎡
延床面積:約92㎡

建築事務所:ユウ建築設計室 一級建築士事務所 


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出典:KLASIC

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