服部みれいさんインタビュー【前編】9年ぶりの『冷えとりスタイルブック』
2010年に、暮らしとおしゃれ編集部から出版された本『冷えとりガールのスタイルブック』をご存じでしょうか? 冷えとりガールの間では通称「黄色い本」と呼ばれ、今でも大切に読んでくださっている方も多いとか。
あれから9年、満を持して昨年、続編となる『冷えとりスタイルブック』が発売されました! そこで、前回に続き企画・編集した服部みれいさんに、この本に込めた思いや見どころ、ご自身の冷えとりファッションのことなどをインタビューさせていただきました。
冷えとり歴12年の
経験、知識、楽しさを結集!
――前回と比べると、ページ数がかなり増えてぶ厚くなりましたね! 前回の本との一番の違いはなんでしょうか?
『冷えとりガールのスタイルブック』をつくっているとき、私自身は冷えとりをはじめて3年ぐらいでした。今回は12年経っています。その間、半身浴や靴下の重ねばきを欠かしたことはないですし、それなりに“めんげん(好転反応)”も経験して、完全とはいえないかもしれないのですが、冷えとり生活のそれなりの結果が誌面にも出ているかな、と思います。カメラマンやスタイリストさんなどスタッフさん方も冷えとりを続けている方が多く、そういうメンバーで本を作れたというのも大きかったですね。それがそのまま本の内容とボリュームになっていると思います。
――9年の間で、ご自身はどう変化されたでしょうか?
パートナーが現れ、岐阜に移住して、編集長を務める『マーマーマガジン』は、詩とインタビューの雑誌『まぁまぁマガジン』にリニューアルして……と、かなり大きく変わりましたね。こういった活動のベースに、冷えとりがあるのは間違いないです。冷えとりって、本来の自分に戻してくれるものだと思うんですね。だから続けていると、より本質的な場所、仲間、仕事へと、自然と導かれていく気がします。
スタイリストさんのアイデア満載!
リアルな冷えとりスタイル
――本書に出てくるファッション、ご自身のファッションも変わりましたか?
ファッションも、12年続けてきたからできることが反映されているなと思います。スタイリストさん自身、冷えとりをされている方が多いので、以前よりもっと本質的なアイデアを出していただいて、さらに自由さと楽しさがかさ増しされている感じ。スタイリングもさまざまで、コンサバあり、エッジーなものあり、古着や私服、メンズアイテムでのコーディネートもあり……。冷えとりスタイルのリアルが反映されていて、工夫の度合いが深まったし、考え尽くされているなあと思います。スタイリストさんたちのファッションにかける思いの深さ、愛情もしっかりあらわれているのを感じます。
私自身のファッションとしては、天然素材を使ったアイテムがとにかく増えていることもあり、よりすぐれた素材のものを自由に楽しめるようになった気がします。「コズミックワンダー」「えみおわす」「ザ ヒノキ」「イアイ」、あとはシューズブランドの「ダンスコ」などイチオシのブランドページもこの本に掲載しました。よりスタイリッシュな天然素材の服が増えていて、時代の変化を感じています。サスティナブルでスタイリッシュで、体にも心にもいいなんて最高に最先端だなと思っています。
――スタイリストさんの私服によるコーディネートは新鮮でした!
私たちが見たいのは、スタイリストさんが今一番かわいいと思っているスタイルなんですよね。だからスタイリストさんたちには、冷えとり以外の縛りがない状態で本当に自由にコーディネートを組んでもらったんです。その楽しさが出ているんじゃないかなあ。私自身は雑誌『オリーブ』育ちだから、1枚1枚の写真そのものからおしゃれの刺激を受けたいというのもあって、スタイリストさん、カメラマンさん、そのほかのスタッフさんたちと心を合わせて誌面づくりをさせていただきました。
――手持ちの服や小物でも試せそうなアイデアがたくさんありますね。
はい、ぜひ、試していただきたいです! 私自身は最近断捨離をして、残ったのが古着でした。1910〜20年代のフランスの古いペインターワンピースは、何度断捨離しても残っているアイテム。生地がいいし、丁寧な刺繍が施されていて、込められているものが全然違うんです。今の私にはこういったていねいなものづくりをしていた時代のもの、1点1点表現が違う1点ものにすごく心惹かれます。
先ほどもお話しましたが、私が愛するブランドをご紹介する企画があって、「イアイ」というブランドをご紹介しました。ここの服はすべて一点物です。ほかにご紹介したブランドも、手仕事が多かったり、受注生産だったりと、半オーダーメイドという感じなので、一点物に近い感覚で大切に着ています。世界でひとつ、というものがみんな大好きですよね。それは、自分が世界にひとりしかいないからなのだと思います。冷えとりをして心と体が整ってくると、「世界にひとりしかいない自分を大切にする」という感覚を味わえるようになります。しかもその感覚が高まるほど「自分本位」とか自我への執着がなくなっていく。今回の本が、自分らしいスタイル、また本来の自分へ戻り、同時に軽やかになっていく、そんな生き方のヒントを見つけるきっかけになればうれしいです!
text:アマミヤアンナ
Profile
服部みれい
岐阜県生まれ。文筆家、『マーマーマガジン』編集長、詩人。2015年春、岐阜・美濃市に編集部ごと移住し、8月にショップ「エムエム・ブックス みの」をオープン。近著に『わたしと霊性』(平凡社)、『わたしのきんいろ手帖2020』、『ラブ2020カレンダー』(共にエムエム・ブックス)など。毎日新聞の「日曜くらぶ」にて「好きに食べたい」連載中。メルマガとして配信するラジオ「声のメルマガ 服部みれいのすきにいわせてッ」を月3回配信、特設サイトをnoteにてオープン。
ウェブ版冷えとりスタイルブック
https://note.com/hietoristylebook
服部みれい公式HP
http://hattorimirei.com
エムエム・ブックス
http://murmurmagazine.com
声のメルマガ 服部みれいのすきにいわせてッ
http://murmur-books-socks.com/?mode=f4
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