ブレーキのおへそ ― 整理収納アドバイザー、「OURHOME」主宰・Emiさん vol.2
出産後に会社に復帰し、時短勤務に。
みんなはバリバリ仕事をしていることへの
申し訳なさと焦り。
そんななかで、私らしい働き方を
模索するようになりました。
通販会社で商品企画の仕事をしたあとに独立。会社を立ち上げ、収納プランニング、各種セミナー、商品開発など、多岐にわたって活躍しているEmiさん。小学4年生になる双子のお母さんでもあります。そんなEmiさんが、大学時代は自分に自信がなかったと聞いて驚きました。
「21歳のとき、友達と一緒にタイへ、バックパックで旅をしました。自分のスケジュールが見えていないと不安になっていた私が、宿も決めずに行ったんです。その旅行で『予定を決めなくても楽しめる』ことを知りました。そこから、『自分で決めなくちゃ』と意気込むより、『起こることを楽しむ』ほうへとスイッチが切り替わったかな」
就職後は、商品企画をまかされ、充実した日々だったそう。オリジナルの収納用品も数多く作り、整理収納アドバイザーの資格も取得。出産して1年半後に復帰しました。ところが……。
「当時はまだ残業が多い時代で、私は時短勤務をさせていただいたのですが、双子の病気で休むことも多く、力をなかなか発揮できませんでした。子どもはまだ夜泣きするし、もういっぱいいっぱいになって。悩んだ末に退社することにしました」
実は、会社員時代からご自身の生活のことをブログで綴っていたそうです。
「会社では、新しいものをどんどん作って売るということが使命でした。でも実際の生活では、いかにひとつのものをあれこれ使いまわすかという工夫をしていたんですよね。そういうことを自分の言葉で伝えていきたいと思って、退社の道を選んだんです」
その後すぐにブログを読んでくれた人たちから整理収納の仕事の依頼が入るようになったのだといいます。
今は毎日17時半には仕事を終えて帰宅。夕飯の準備を始めます。家ではパソコンは開かず、土日は完全休業。
人は、「できないこと」を「できる」にひっくり返すために頑張ります。でも、仕事も暮らしも子育ても「自分ができないことまではやらない」というのがEmiさんの基本姿勢でした。
それは、「何のために」とつながっています。片づけるのは、家族が心地よく暮らすため。仕事をするのは、「自分が見つけたこと」を誰かに伝えて役立ててもらうため。目的が明確になれば、それ以外は頑張らなくていい……。「やりたいことをやる」というアクセルを踏むために、「できないことはやらない」と決める。それが、Emiさんの「ブレーキのおへそ」でした。
ほどほどにまわる家事の仕組みをつくる
完璧を求めて、できないと落ち込むより
ハードルを下げて
笑顔で毎日を過ごしたい。
洗濯物は人別に干す
洗濯物は、手前から夫、子どもたち、Emiさんの順に干し、乾いたらハンガーごとファミリークロゼットの所定の位置へ運べば、片づけもあっという間。
野菜のまとめパックを作る
平日になるべく包丁とまな板を使わなくてもいいように、日曜日に野菜のまとめ切り。1食分ずつ保存袋に入れて冷凍。野菜炒めなどにすぐ使える。
ついでに掃除をする
「掃除がいちばん苦手」というEmiさん。洗面所には、マイクロファイバークロスを吊るしておき、手を洗ったついでに、水がはねたらすぐに拭く習慣に。
使う場所の近くに置き場所をつくる
洗濯機の横、廊下の脇などの壁にフックをつけておき、「マキタ」の掃除機で掃除をしたら、わざわざもとの場所に戻さず、使った場所にかけておく。
「暮らしのおへそ Vol.28」より
photo:岡田久仁子 text:一田憲子
Profile
Emiさん
整理収納アドバイザー、「OURHOME」主宰。2008年ブログ「OURHOME」を開始。2009年生まれの双子の母。家族を巻き込み、気持ちがラクになる片づけが得意。大手通販会社での商品企画の経験を生かし、オリジナルのもの作りも行っている。
http://ourhome305.com
Instagram:@ourhome305
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