気ままなおへそ ― 「APOC(アポック)」大川雅子さん vol.1

暮らしのおへそ
2020.02.10

どんなに大変なことがあっても
ふと上を見れば
大空が「ま、いいか」と教えてくれる。

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少しずつ改良は加えているものの、36年前から焼き続けているバナナブレッド。バナナ2本を完熟させて使い、小麦粉やバターは控えめ。トーストしてバターをのせて食べてもおいしい。

 

朝食をすませ、洗濯機をまわしながら朝ドラを見たら、10時過ぎにはお店へ。定休日も仕込みをするので、大川さんはほぼ毎日お店のキッチンでバナナブレッドを焼いたり、アップルパイを作ったり。つまり、ほとんどお休みはないということ。

「とりかかる前は『イヤだな〜』と思ったりもするけれど、手を動かしはじめるとギュッと集中するんです。私には体内時計があるようで、のんびりしているように見えるけれど、人知れず助走していて、時計を見なくても、ちゃんとオープン時間には間に合うの」

そう語る大川さんが作るお菓子は、素朴でどこにでもありそうなのに、ここでしか食べられない味……。そのクオリティの高さは、多くの人が20年、30年とファンであり続けていることからもわかります。

普通の会社員だった大川さんが、大きくギアチェンジをしたのは24歳の頃。ふと「ここで何かを変えなくちゃ」と思ったのだといいます。

そこで、当時よく通っていたアンティークショップ、東京・田園調布の「デポー39」でアルバイトを始めました。併設されたカフェで、「あなたこれ作って」と渡されたのが、バナナブレッドのレシピ。これが大川さんの焼き菓子デビュー作となったわけです。

その後、青山「ディーズ」の土器典美さん、広尾「フォブ・コープ」の益永みつ枝さんなど、大物オーナーから次々に声をかけられお菓子作りを担当。やがて雑誌の撮影のためにお菓子を作ったり、自身の著書も出版するようになりました。

「自分が何者かもわからなかったし、先のことは全然見えませんでした。ただ目の前のことをやっていただけ」

と大川さん。結婚、出産で、仕事から遠のいていた時期もありましたが、すぐに「ちょっと手伝って」と声がかかり、コーヒーマシンの間に、息子さんを座らせて仕事をしたことも。

空を見る

先に帰ってきたほうが用意して
チーズとワインを持って屋上へ。
お楽しみの時間は自分でつくる。

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ワインやおつまみをバスケットに入れて、屋上でトワイライトタイムを過ごす。紙皿を使うと風で飛んでしまうので、家で使うグラスや器を運ぶのがいつもの方法。ナッツやチーズなど手軽なもので、手間をかけすぎないのがコツ。ネイビーのワンピースは、大橋利枝子さんのブランド「フルーツ オブ ライフ」のもの。

 

夫婦の話し合いは外で

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言いたいことがあるときには、家ではなく近所のカフェへ出かけてから。日常を一歩出ることで、冷静になって、互いに思いを伝えやすく、解決策を話し合うことができるそう。

 

窓辺でおやつを食べる

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食後には、必ず甘いものを。近所のコンビニでソフトクリームを買ってきたり、饅頭やあんみつなどの和菓子も大好き。窓辺に並べたテーブルで、外の風景を眺めながらいただく。

 

→vol.2につづく


「暮らしのおへそ Vol.28」より
photo:有賀 傑 text:一田憲子


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Profile

大川雅子

Masako Okawa

1960年生まれ。ショップインカフェの先駆け「デポー39」や「ディーズ」、「フォブ・コープ」などでメニュー開発を手がける。焼き菓子を得意とし、東京・南青山で教室「焼菓子工房サッセ」を主宰。98年に岡本太郎記念館内にカフェ「ア・ピース・オブ・ケーク」を、2011年にパンケーキハウス「APOC(アポック)」をオープン。

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