気ままなおへそ ― 「APOC(アポック)」大川雅子さん vol.2

暮らしのおへそ
2020.02.11

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計画性や目的はいっさいなし。
でも、いつも人知れず助走して。
流れに身をゆだねていれば
きっとふわりと飛び立てる。

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ほぼ毎日「アポック」のキッチンでケーキやクッキーを焼いている。スタッフまかせにせず、すべてを自分の手で作るのが、変わらぬおいしさの秘密。黄色のワンピースは、友人でもある山瀬公子さんが手がけるブランド「マトリョーシカ」のもの。

 

青山の「岡本太郎記念館」内にカフェ「ア・ピース・オブ・ケーク」をオープンしたのは21年前のことです。

「たまたま知り合った岡本太郎さんのパートナー(戸籍上は養女)、敏子さんは、大家であり、親のような存在でもありましたね」

いろいろなことを教わっただけでなく、敏子さんのマネージャーのように、サポートをしたことも。縁あって知り合った人のためなら、力を出し惜しみしない……。それを、当たり前のようにするりとやってしまうのがすごいところ。だからこそ、人生の節目に、自然に周囲の人が手を差し伸べてくれたのかもしれません。

そんな大川さんの歩みを聞いていると、いたって順風満帆に思えます。でも、実際には子育てと仕事の両立に悩んだり、お父さまの介護に走り回ったり。けれど、どんな日にも、たんたんと手を動かしお菓子を焼いてきました。「いつ食べてもおいしい」という安定感こそ、プロの仕事です。

「父は晩年『人生はケセラセラ(なるようになる)だ』とよく言っていました。そして、会いに行った帰り際、必ず『シーアゲイン』と手を振るんです。もちろん『See you again』のつもり。笑っちゃいますよね。でも、そんな歳のとり方を見習いたいなと思うんです」

仕事を終えて家に帰ると、ワインやチーズ、グラスやお皿をかごに詰めて、夫と一緒にマンションの屋上へ上がります。そして、夕暮れの空を見つめながら乾杯!

私たちは、仕事や家事や育児にとらわれると、頭の上に空があることさえ忘れがちです。ちょっと空を見上げれば、大変なことがあっても「ケセラセラ」と言えるのかも。少し視点を変えれば笑顔になれる。そんな気ままなおへそが、大川さんの優しさと強さを支えているようでした。

食のルーティンをつくる

毎日食べるものだから
大好きな食材の組み合わせで。
一度決めればいつも同じでいい。


りんごは皮ごと食べる

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朝は必ずフルーツを食べる。お店で使うものを兼ねて、無農薬のりんごを取り寄せている。皮つきのままカットして食卓へ。

 

ヨーグルトはトッピングが大事

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発酵食品のヨーグルトは食前に食べる。クルミやカシューナッツ、レーズンやきな粉など、好きなものをトッピングして。

 

食卓に器をスタンバイさせる

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飯碗や茶碗、小皿など、毎日必ず使う器は、食卓にかごを用意してひとまとめに。わざわざ配膳しなくてもすぐ食べはじめられる。

 

お茶は空き瓶で保存

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家族みんながよくお茶を飲むので、カフェインレスのルイボスティーを大量に作り、専用ピッチャーではなく、空き瓶で冷蔵庫に保存。

 

お米はその都度精米する

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熊本から取り寄せているお米は、玄米の状態でストック。食べる直前に精米する。精米したてなので、お米は洗わずに炊くそう。

 

疲れているときこそ片づける

片づけはクリエイティブ。
引き出し1個を整えれば
元気になれる。

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「洗いものや、片づけってすごくクリエイティブな仕事だと思うの」と大川さん。疲れているときに、引き出しや棚のものをすべて出し、整理して並べ替えるだけで、気分がスッキリ! 

 

好きな香りをまとう

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お気に入りは「コム デ ギャルソン」の「ホワイト」や「ディプティック」の「サン・ジェルマン34」など。持ち歩き用には、試供品を。

 

「シックスパッド」で疲れた足をケア

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一日じゅう立ち仕事なので、「シックスパッド」の「フットフィット」を購入。足をのせると足裏から通電し、疲れやむくみがとれる。

 

早めに「キューピーコーワゴールド」を飲む

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疲れたなと思ったら、コンビニで小分けで販売されている「キュピーコーワゴールド」を飲み、疲れをため込まないようにしている。

 

「暮らしのおへそ Vol.28」より
photo:有賀 傑 text:一田憲子

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Profile

大川雅子

Masako Okawa

1960年生まれ。ショップインカフェの先駆け「デポー39」や「ディーズ」、「フォブ・コープ」などでメニュー開発を手がける。焼き菓子を得意とし、東京・南青山で教室「焼菓子工房サッセ」を主宰。98年に岡本太郎記念館内にカフェ「ア・ピース・オブ・ケーク」を、2011年にパンケーキハウス「APOC(アポック)」をオープン。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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