夕暮れのおへそ vol.1 ― 「かえる食堂」松本朱希子さん

暮らしのおへそ
2020.04.06

夕飯は一皿だけでいい、と割りきりました


この日の晩ご飯はトマトのパスタ一皿だけ。たっぷりのパルミジャーノをすりおろして食べる。橙ちゃんもチーズが大好き。「イライラしながら作るより、家族で楽しく食べられたほうがいい」と夫も理解してくれているそう。


今年4歳になる橙(ゆず)ちゃんを産んでから、料理家の仕事をセーブしていた松本さん。小さなうちは一緒に過ごしたいと、保育園は週に一度だけ。最近少しずつ仕事を再開しています。

松本さんが作る料理は、丁寧で滋味深い味が特徴。手間と時間を惜しまない一品一品からは、作り手の思いが伝わってくるようでした。でも……。

「子どもがいると、こんなに何にもできなくなることを初めて知りました」と松本さん。そこで、無理せず、できないことはできない、と手放すことに。「夕飯はそのときに作れる一皿でいい、と割りきることにしました。楽しい気分で作って食べたいですから」


ギョーザの日には、食卓にホットプレートを置いて。すべてここで仕上げられるので、手間がかからず簡単。


ただし、一皿でも具がたっぷり入ったパスタや、キャベツやしいたけなど、野菜をぎっしり詰め込んだギョーザなど、栄養のバランスがとれるメニューを考えます。品数を減らして、心にゆとりができた分、橙ちゃんのお手伝いをゆっくり待つこともできるようになりました。毎晩の一皿のまわりには、親子の楽しい会話が広がります。


しめじを裂いたり、子ども用包丁でトマトを切ったりと、お手伝いが大好きな橙ちゃん。いつもふたりでキッチンに立つ。

 


橙ちゃんが食べやすいよう、野菜を細かく切ってどっさり入れる。玉ねぎ、にんじんのみじん切り、しめじを炒めて、ミニトマトとトマト缶を加える。以前はトマトソースも手作りしていたが、出産後、オーガニックのトマト缶を利用するように。

 


エビが大好きという橙ちゃんのために、エビ入りに。堅くならないように最後に投入。

 


ギョーザは肉と野菜がバランスよく入っているので、よく作るメニューのひとつ。豚ひき肉に、キャベツ、しいたけ、長ねぎ、にら、しょうがを加えて、しょうゆ、オイスターソース、ごま油で調味。ひき肉を混ぜるときに、水少々を加えると柔らかくなる。ホットプレートに油をひき、ギョーザを並べて熱湯を加えてふたをして、水分が飛んだらごま油をまわしかける。

 


橙ちゃんはギョーザを包むお手伝いを。おしゃべりしながら手を動かせば、夕飯準備も楽しいひとときに。

 


最近では、卵も上手に割れるようになった。

 


以前はスープストックも手作りしていたが、最近では鶏ガラスープの素も使うように。しめじと刻んだわかめを煮たあと、溶き卵をまわし入れてスープが完成。

 

→vol.2につづく


『暮らしのおへそ Vol.29』より
photo:近藤沙菜 text:一田憲子


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Profile

松本朱希子

Akiko Matsumoto

料理家。京都の大学在学中に料理家、平山由香さんに師事し、アシスタントを務めながら、グラフィック工芸家、井上由季子さんのもとでもの作りに関わる。井上さんの主宰する「モーネ工房」内で「かえる食堂」を始める。広島の実家から届く野菜や食材を使い、季節を感じる料理を提案している。産休を経て、娘さんが幼稚園に通う今年から、セーブしていた仕事を広げる予定。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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