シューズケアは、‟基礎化粧”
今日のひとしな
2020.09.02
~ 「futana」より vol.2 ~
皆さまおはようございます。「futana」の土井です。
昨日の「ブラシだけシューズケア」はいかがだったでしょうか。「ブラシでシュツシュッ……の先が知りたい」とのお声が沢山聞こえてきそうなので、今日はその続きのシューズケアを。
今回は特にスムースレザーのお手入れについての流れをご紹介します。
スムースレザーの定義もいろいろとありますが、今日は「起毛が無く凸凹していない、適度な光沢感のある革」という位置づけで進めていきたいと思います。スエードやヌバックヌメ革や型押しではなく、また、オイルドコーテイングなどの施しの無いいわゆる一般的な、「革靴」です。
今日お話しする工程は、毎日やるのではなく「靴の曇りが気になり始めたら」。きっちり一週間ごと、とか10日毎、と決められたら良いのだけれど、そこはお得意のズボラが顔を出し、「気に、なったら」を目安にしています。
「靴も肌も同じ動物のかわ。靴のお手入れは人の肌と全く同じ」。
これは、シューズケアの講習の中で気持ち良いぐらいに合点がいった先生のお言葉なのですが、革靴のお手入れはまさに私が毎日行っている基礎化粧と同じ考え方。
汚れを落とし、栄養を入れ、保湿する。
新しい事を何か覚えると思うと少し大変だけれど、既に知っている工程を、扱う化粧品を変えるだけと思えば手順も使う物もさほど難しくなくて嬉しいもの。きっと皆さんの中にも既にしみ込んでいる流れではないかしら。
「M.MOWBRAY」ステインリムーバー ¥2,000+tax
昨日のブラッシングの工程が終わったという前提で、今日最初に使うのは「M.MOWBRAY(エム・モウブレイ)」のステインリムーバーです。
これは人間の肌で例えると‟毎日の化粧落とし”。「肌に日焼け止めやファンデーション、粉がのったままだと後から上に馴染ませる補革クリームがちゃんと浸透していかないので、まずは汚れをきれいに取り除きましょう」、の拭き取りクリームです。スムースレザーのケアには欠かせない存在。
液体の汚れ落とし剤で表面の汚れと革に入り込んだ古いクリームやワックスを落としていきます。汚れ落とし用の布は使わなくなった古い布や洋服などで大丈夫ですが、その時は目の細かい綿布が◎。
シューズケアの職人の皆さんが器用にクルクルと指先に布を巻きつけておられるのに憧れるのですが、家では特に気にせず、「汚れをキャッチする面にしわが寄らなければ良し」で拭き取っていきます。
汚れ落とし剤は沢山使う必要はなく、布が湿る程度で十分OK。
こうして汚れを取りきると、艶がない、革(肌)本来の状態に戻りました。通気性が良くなり、呼吸もしやすくなって、靴も気持ちよさそう。
化粧を綺麗に落とせたら、次はしっかりと保湿と栄養補給に移ります。
「M.MOWBRAY」シュークリームジャー ¥900+tax
「TAPIR」レーダーフレーゲクリーム(参考商品)
「futana」では「M.MOWBRAY」のシュークリームジャーか、靴のお直し屋「凛靴」(こちらについてはまた後日改めてご紹介させていただく予定です)のオーナーに教えていただいた「TAPIR(タピール)」のクリームを使っています。どちらも乳化性のクリームで、皮革に栄養と潤いを与えてくれます。
「化粧を落としたらこちらも必ず」、のセットケア。もちもちとした柔らかで滑らかな明日の為の肌を作るべく水分と油分をバランス良く補います。革の柔軟性と耐久性を高め、更に自然な光沢感を引き出してくれる、まさに経年変化を生み出すワンステップ。
「R&D」ペネトレイトブラシ ¥400+tax
このクリームを塗る時は、私はペネトレイトブラシという小さな専用のブラシで塗っています。クリームを布で塗る事も出来るのですが、布がクリームを吸収してしまい均一に薄くのばしていくという事が難しいのに対し、ペネトレイトブラシは無理なく均一にクリームを延ばしてゆけるのでこの工程でとても心強い味方となってくれます。
カタチも何だかかわいくて嬉しい。
ペネトレイトブラシで靴のかかと部分から、クリームを馴染ませながらまんべんなく薄く塗り広げていきます。クリームの量の目安は片方の靴に対してお米2~3粒ほど。靴の乾燥具合によって少し増やす事もありますが、クリームが革に浸透する量は限られている為、沢山塗らなくても大丈夫です。
また、コバといって靴底と甲を縫い合わせて段差がある場所やメダリオン(飾り穴)が施されているものであれば、細部までクリームがいきわたるようにします。
「R&D」 プロ・ホワイトブラシ ¥1,000+tax
クリームを塗ったら、すぐにブラッシングをして靴全体にクリームを均一になじませていくと共に、余分なクリームを落としていきます。クリームを塗った後に時間を空けてしまうと表面に残ったクリームが乾燥して伸びにくくなり、艶が出なくなるのでここは間を空けず、がポイント。大きくブラシを動かす事で全体にクリームを行きわたらせてゆきます。
ここでのブラシは豚毛や化繊毛など、ある程度コシを持つ硬めの気質のブラシが適していますが、私は「R&D」のプロ・ホワイトブラシを使っています。
ブラシを動かしていると、日によって何か考え事をしていたり、逆に頭の中が空っぽになったり、その日の自分の様子がフィードバッグ出来るのでとても面白いです。私の場合ここに一番時間をかけているかも。ブラシが前へ後ろへと動く度、少し遠くのどこかへ行く気分。
さて、そんな癒しのブラッシングが終わったらいよいよシューケアも終盤です。
続きは、また、明日。
「もうお手入れのお話飽きた~」と皆さんのお声が聞こえてこないかしらと不安ですが、ここまできたら、もうあと少し。また、明日、同じ時間に皆さまにお会い出来るのを楽しみにしております。
今日も良き一日となりますように。
穏やかな時間となりますように。
穏やかな時間となりますように。
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