パティシェ・長田佳子さんインタビュー 「自分の体をリカバーする方法を知る」
ローズマリーとレモンピールのクッキー、アニスなど香辛料が効いたパン・ディピス。長田さんが作るお菓子は、一口食べると優しい味の中にハーブやスパイスが香りたち、その組み合わせの妙が忘れられなくなります。洋服のブランドからスタートした「ヤエカ」のフード部門で働き昨年独立。自分のお菓子を作りはじめたばかり。これまでフランス菓子店やカフェなどさまざまな場所で働いてきたそう。
「修行時代は、フランス菓子を学んできましたが、お砂糖をどっさり使ったり、色鮮やかなマカロンを作る中で、少しずつ違和感を感じるようになったんです」。
さらに、ケーキのことを第一に考えて温度管理をしたアトリエ内では、体が冷えすぎて体調を崩しがちに。
「私は要領が悪くて、ずっと将来何がしたいかもわかりませんでした。ただ小さな頃からお菓子作りが好きだっただけ。製菓学校には行かず、現場でお菓子作りを覚えたいと働きはじめたはいいけれど、何をするにも時間がかかり、当時は厨房の裏でよく泣いていましたね」
そんな頃、行きつけのアロマのお店で教わったのが漢方オイルでした。体が冷えたら湯船に2〜3滴垂らしたり、だるいときはマッサージを。
「そのときそのときの気分や体の状態に素晴らしくフィットしてくれるので、手放せなくなりました」
そのほか、日々の肌のケアも野菜や果物などを使って。自分で試し、観察し、「これはいい」と実感すれば取り入れる。お菓子作りも、体の整え方も、そのプロセスは同じです。
実は長田さん、お酒も大好き。夜はおつまみを作りご主人と一緒に食卓を囲むのが楽しみだそうです。
こっちの方が体にいい、とわかっていても、生活の中でそれを守ることができない場合があります。体にはあまりよくないけれど「大好き!」という食べ物や飲み物だってきっとあるはず。すべてを、◯か×で判断するのではなく、シーソーの傾きを自分で補正すればいい……。「ねばならぬ」と無理をするより、ギッコンバッタンと揺れては戻る方が、しなかやに強く生きていけそうです。
暮らしのおへそ実用シリーズ『まずは、からだを整える』より photo:鍵岡龍門 text:一田憲子
Profile
長田佳子
フランス菓子店、オーガニックカフェなどを経て、友人と共にお菓子の店「tsuzuru」をオープンさせる。昨年より単独でお菓子の力で人を癒すfoodremediesを立ち上げる。http://foodremedies.info/
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