「今日のひとしな」9月担当は「futana(フタナ)」

今日のひとしな
2020.09.01

今日から9月。今年は色々と大変な夏だったこともあり、秋の涼風が待ち遠しい方も多いのではないでしょうか。上旬はまだ暑さが続くとはいえ、色や素材、小物で季節を先取りし、おしゃれや日々の暮らしを楽しみたいですね。

9月の「今日のひとしな」を担当してくださるのは、京都のセレクトショップ「futana(フタナ)」です。実はこのお店、週末連載「地元のおしゃれさんが案内する小さな旅」の京都編に登場していたんです! その素敵さに当時も話題沸騰でしたが、今回は1カ月まるまる「futana」の魅力を堪能できちゃいますよ。


お店は、地下鉄烏丸線の今出川駅から徒歩7分ほど。白い外観が目印です。近くには、一年を通して美しい自然を楽しむことができる人気観光スポットの京都御苑があり、秋が深まれば紅葉も楽しめます。



「こんにちは~」とやさしく出迎えてくださるのは、店主の土井菜子(さいこ)さんです。土井さんの素敵な笑顔とチャーミングな人柄も店の魅力の一つ。


自分自身も娘に受け継ぎたい、長く愛用できる良いものを紹介したいという想いから、3年前にオープンした「futana」。店名にもその想いが込められています。「娘の名前にも私の名前と同じ『菜』が入っていて、二つの『菜』を合わせて、『futana』となりました。どんなお店にするかより先に、店名だけはすっと決まりましたね」


「futana」で紹介するアイテムには3つのコンセプトがあります。
それは、
・ていねいに作られた長く使える良いもの
・ハレとケ、どんな毎日にも寄り添ってくれるもの
・そのものを大切に使い続けるためのメンテナンス


「“流行っているものだから”という理由だけで選んでしまうと、結果1~2年しか使えなかった……なんてこともあるかと思います。そこから一歩抜け出して、自分主体で洋服を選び、年を重ねてもその一枚を大事にすることができる、そんなふうにおしゃれを楽しむお手伝いがしたいなと思います」

そうした想いでセレクトされたアイテムは、飽きのこないシンプルなデザインで上質な作りのものが中心。さらに、洋服の直し、靴の修理、靴磨きといったメンテナンスやアフターケアのサービスまで揃っているのです!



職人を店に呼んだ洋服のお直し相談会は、2~3カ月に一度行われています。破れ、ほつれの修理、サイズ直しの他にも、ワンピースをブラウスにするなどデザインやシルエットを変更する相談もできるそう。「着られなくなったお気に入りの洋服を蘇らせることができると、好評です。当店で購入したものはもちろん、それ以外も受け付けていますので、気軽に相談してくださいね」


靴の修理や靴磨きも「futana」が窓口となり職人にお願いすることができます。その技術力の高さは、土井さんのお墨付き。詳しくは連載の中で紹介がありますよ。また、土井さんの習慣となっているシューケアについての話もあるので、そちらも必見です。


ていねいに作られた長く使える良いもの、ハレとケのどんな毎日にも寄り添ってくれるもの、大切に使い続けるためのメンテナンス。「futana」が大事にする3つの軸は、「私がお店を始めるまでの流れから必然的に生まれたものですね」と、土井さんは振り返って話します。


大学卒業後、縁あって自身も客として通っていたセレクトショップで販売員として働くことになった土井さん。大好きな洋服に囲まれ、お客さんとの会話を楽しみながら一緒に考え、提案する接客の面白さに夢中になり、娘さんを出産するまで6年間勤めました。

出産後はアパレル会社に就職し、企画や販売を担当。洋服の作られ方から店頭に並ぶまでの一連の流れに携わることになりました。その仕事を7年間続けましたが、シーズンごとに新商品を発表し、販売する……といった新しいものをどんどん生み出すアパレル業界ならではのスピードに、自分の考え方がついていけないと感じたそう。


土井さんがそんなふうに悩んでいるとき、周りの友人たちが会社を辞めたり、旅に出たりなど、続々と新しい人生を歩み出しました。その様子に感化され、ぼんやりと自分のお店を持つことを考え始めたといいます。

「元々は環境を大きく変化させることが苦手なタイプなので、“自分のお店を持つ”なんて今まで全く考えたことがありませんでした。お店を開くなら洋服に関することかな、とうっすら考えているとき、私にとって運命の出会いがあったんです」


それは、岡山のアトリエで一枚ずつていねいに作られている「Rai-atelier(ライアトリエ)」のワンピースとの出会いでした。ゆったりしたラインだけど、軽やかな印象を与える独特の佇まいに、土井さんの心は高鳴ったそう。


「展示会で一目見た瞬間、体温が思わず一度上がったかのような高揚感は今でも忘れられませんね。『このワンピースを着てお出かけしたい』『○○さんに会いに行きたい』など、ワクワクする想像が、どんどんあふれ出てきて! アパレルの流れの速さに疲れていた時期は、新しい服を欲しいと感じることも少なくなっていたのですが、久しぶりに『この服が欲しい』と思ったんです」。この運命の出会いが、お店の準備を始める最後の一押しになりました。


2018年1月にお店をオープンしてから「あっという間でした~」と笑って話す土井さん。今の気持ちを伺ってみると……。
「あの時、一歩踏み出してお店を始めて本当によかったです! 色々なお客様が来てくださり、他愛もない話をしたり、どちらが似合うかなど一緒に考えたりする時間が本当に幸せだなと感じています。しっかりお客様に向き合っていると、次第に親密になることもでき、『その方の人生にほんの少し関与できている』とふと思う瞬間があって。毎日、満ち足りています!」

とっても嬉しそうに、やさしい笑顔で話してくださる様子が印象的でした。


最後に、土井さんからお知らせです。
「当店では一人一人のお客様とのやり取りを大事にしたいという想いから、オンラインショップを設けておりません。連載で紹介した商品に関する問い合わせは、メール(info@futana.shop)でご連絡いただけますように、お願いします。お気軽にご連絡いただけると、嬉しいです!」

本日からの連載をどうぞお楽しみに。

futana(フタナ)

京都市上京区中小川町241-6
TEL:075-406-5337
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
https://www.futana.shop/
Instagram「@futana_kyoto

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