使ってみたからこそ分かる‟よさ”を「bollard」が7月の「今日のひとしな」に登場です
「梅雨空はどこへ行った?!」と思わず叫んでしまうようなあっという間の梅雨明けとなり、暑~い毎日が続く今日この頃ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか? 本日は、7月の「今日のひとしな」を担当してくれるお店をご紹介します。
岡山・宇野港にあるセレクトショップ「bollard(ボラード)」です。
大きなガラス窓から光がたっぷり入る、明るい店内。毎日の暮らしに彩りを添えてくれる生活用品をはじめ、衣料品から服飾小物、雑貨まで幅広いアイテムが心地よさそうに並んでいます。ちょっとした贈り物にぴったりな品もそろっていますよ。
もともと東京でプロダクトデザイナーとして活躍していた五十嵐勝成さん・麻美さん夫妻。2011年の東日本大震災を機に「都内ではなくても仕事ができるのでは?」と考え、土地と人柄に魅せられた岡山へ移住したのちに始めたのが、「bollard」でした。
「移住したばかりの頃は東京とも行き来していたのですが、ここでちゃんと根を張りたいねと話していて。岡山はもともと個人商店が多くて、当時から面白いお店が沢山あったんです。直島にも近く、港町だからひらけていたのもあって、『自分たちも何かしよう!』と思ったら、お店を始めることができちゃったという感じなんです」と笑います。
ただその時に考えたのは、プロダクトデザイナーをしていた時にも実感していた“情報”の大切さ。
「たとえ素敵なモノがあっても、その情報が買い手に届かないと見てもらえないし、触れてももらえない。それはもったいないことだなと思っていたんです。友人・知人に作り手が多いのでモノのできる背景をよく知っていたこともあるし、自分達が作っていたプロダクトも、その商品ができるまでの背景、いわゆる“裏側”までお伝えすると反響が大きかったこともあって。お店を開くなら、商品を販売するだけにはしたくないな、と」
なので、お店に並ぶのは五十嵐さん夫妻が「実際に使ってみて、良さを実感できたもの」。普段の生活を少し豊かにしてくれる、長く愛用できるアイテムばかりです。
「見栄えはいいけどすぐに壊れちゃう、というものではなくて、ずっと生活に寄り添ってもらえるものを。私達はいつも、商品の‟価値″を見つけたいなと思っていて。作り手さん自身では表現しにくかったり、なかなか気が付くことができない‟良さ″を、商品を使ってみたからこそ分かる良さや制作背景の物語まで含めてお届けできたら。ただそうなると、『いいな』と思うものに出会っても、すぐにはお店に置けないので、『なかなか新しい商品が増えない』という悩みもあるんですけどね」と麻美さん。
コロナ生活になってから、以前よりも「明るい色」のアイテムを選ぶ方が増えたと感じるそう。
以前は大きな問屋さんとの取引もありましたが、最近は「個人の作り手さんとのやり取りがどんどん面白くなったのと、応援したいなという気持ちが強くなって」と、この土地ならではのものや、作り手との出会いや結びつきを大切にして商品をセレクトしています。
また、お店から徒歩6分のところにある港沿いの古いビルには、姉妹店「BOLLARD COFFEE」が。海が一望でき、素晴らしい眺めを楽しめるこの場所に店をオープンできたのは、ビルのオーナーさんが「移住者の皆さんにぜひ活用していただきたい」と、快く貸してくれたご縁から。左隣にはニュージーランドでハンバーガー作りを学んだオーナーシェフが営むハンバーガーショップが、そして上階はDIYでリノベーションされた雰囲気のいいホテルが入っています。
それにしても、なぜコーヒースタンドまで?
「そもそものきっかけは、『bollard』の開店当初、移住者でもある私達やお店のことを知ってもらえたらな、とお店の片隅で始めたコーヒースタンドです。当時、サッと気軽にコーヒーが飲めるお店がなかったこともあって、近所の方が沢山来てくださって。コーヒーを淹れながら色んな話もさせてもらいました」
こちらは、毎年暑~い夏に人気の「リッチクラフトコーヒー」です!
コーヒーお目当てのお客さんが増えたこともあり、開店から約3年後、「いわば『bollard』のスピンオフで(笑)」始めたというから驚きです。『bollard』内のコーヒースタンドでは麻美さんの弟さんがコーヒーを淹れてくれていましたが、東京・中野で「DAILY COFFEE STAND」という店をオープンするために帰京。その後、コーヒースタンドの店長を任せた人がカレーに凝っていたので、途中「コーヒースタンドというよりは、カレー屋さん状態」の時期もありましたが、そんな流れもお客さまには楽しんでもらえたそう。
その店長の独立後はコーヒースタンドに戻りましたが、当時の評判のよさもあって、2年ほど前から「全感覚スパイス」というカレーの通信販売も始めました。「コロナもあって、お取り寄せ需要が高まったのもあり、全国から注文を頂いています。リピーターの方が多いのが嬉しいですね」というスパイスカレー、こちらもぜひご賞味下さいね。
店名の「bollard」とは、日本語で船を係留する『くい』のこと。港などでよく目にする地面から突き出した低い鉄柱ですが、「bollard」は、まるでその『くい』のように、作り手と買い手を“物語”でつないでくれているようです。
緊急事態宣言が明けた時、多くの方が「コロナでなかなか来られなくてごめんね」と、お店を気にかけて訪ねてきてくれたことがとても嬉しかったという麻美さん。「小さなお店ですが、みなさんの中でも大切なお店だと思っていてもらえたことにとても励まされました。コロナが少し落ち着いてきて、人出が戻ってきた半面、人々の暮らし方もずいぶん変化してきたなと感じています。まだまだ手探りな状態は続きますが、これからも岡山から、ものづくりの良さを発信できたら」と力強く話す姿が印象的でした。
明日からの連載も、五十嵐さん夫妻が岡山で出会ったとっておきの「ひとしな」を沢山紹介してくれます。先日リニューアルしたオンラインショップからも購入できますので、ぜひ毎朝の記事を楽しみにしていてくださいね!
オンラインショップはこちらから
文/門谷 優
岡山県玉野市築港1-10-6
TEL:0863-33-3286
営業時間:日・月・火 13:00~17:00
https://bollard.jp/
Instagram :「@bollardjp」
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