‟試せる道具店”「LADER」が8月の「今日のひとしな」に登場します!

今日のひとしな
2022.07.31

いよいよ明日から8月! 日に日に暑さが増していますが、みなさま体調など崩されていませんでしょうか? 引き続き、過ごし方が難しい夏となってしまいましたが、熱中症にも気を付けつつ、楽しい夏を過ごしたいですよね。


毎日使うものなのに、必要に迫られてじっくり考える間もなく慌ただしく選んでしまうことも多い台所用品。実際に使い始めてみて「使い勝手があまりよくないな」と思っても、なんせ丈夫な道具が多いですから、買い替える機会もそうそうありません。それゆえ、違和感があるまま「もう何年も同じものを使っている……」なんて方も多いのではないでしょうか? お洋服を試着するように、実際に試してから気に入ったものを買うことができたらどんなにいいでしょう! 実は、そんな願いをかなえてくれるお店が京都にあるんです。


それは、8月の「今日のひとしな」を担当してくれる「LADER(ラダー)」。

京都の観光名所・二条城のすぐ近く。お店が並ぶ通りから細い小径を入った先に佇む、小さなお店です。ズバリ、“試せる道具店”がコンセプト。


ガラス窓から柔らかな木漏れ日が差し込む店内には、カトラリーや食器、調理器具からスポンジなどの消耗品まで、シンプルながらも使い勝手の良い台所まわりの日用品がズラリ。どれも店主の橋本司さんが実際にご自宅で使ってみて、この先も長く使い続けたいと思ったものばかりです。

そんな「LADER」には、これから新生活を始める若者から、台所に何十年も経ち続けてきた80代のおばあちゃんまで、幅広い年代の方が訪れます。「先日は、20歳くらいと思わしき若い女性二人がガッツリ家事の話をしながら商品を選んでいて、若いのにしっかりしてるなぁ……と、なんだか嬉しかったですね。男性のお客様も多くて、お一人でじっくり見て回る年配の男性の方も」と橋本さん。


こちらが、実際に使い勝手を試してみることができるシンク。道具を洗ったり、すくったり、注いでみたり……。ひとつひとつ、道具と自分の相性を探ることができます。ドリップポットのお湯の細さ、チーズの削り具合(チーズは基本的にお店に常備されています)などを確認する方が多いそうですが、なんと、食材を持ち込んで料理することも可能なんです!

「果物や野菜の皮をむいてピーラーの使い勝手を試したり、テフロン加工と鉄のフライパンのお肉の焼き上がりの違いなど、『〇〇のほうがいいって聞くけど、実際にどうなの?』という疑問を、ここで試すことで解決していただけますよ」。過去には、「混ぜるときのボウルによって味に差が出る」と、何種類ものボウルで台湾スイーツの「豆花(トウファ)」を作り、味比べをした方もいたのだとか。

そもそもなぜ、こんな画期的な試みを始めたのでしょうか?

「もともとお店をやりたいというよりは、買い物の失敗がなくなるようになればいいのに、という想いが強くあったんです」と橋本さん。それは、インテリアショップやネット通販の会社で働いていた時の経験が大きかったと言います。

「世の中は沢山の商品で溢れています。中には、ヒット商品の類似品やとにかく売るためだけに作られたものも。それが欲しくて買う場合はもちろんいいのですが、実際には『何を選んだらいいかよく分からない』『ものの素材や選び方が分からない』ので、なんとなく選んでしまう、ということも多いような気がして。生活するうえでモノ選びは続けていかなくてはならないから、どういうポイントを見れば使い勝手のよい商品を選べるのか、失敗しない買い物ができるのか、という“情報”を伝えられたらと思ったんです。それに、真摯なものづくりをしている人を応援したいという想いもありました」

最初はオンラインショップからスタート。そして約一年後の2014年、「気になる商品を試して、いいと思ったらそのまま買えたらいいな」と、「いわばラボ的な位置けで」お店を始めました。

店内の商品には、「長く使えるキッチンスポンジ」「洗いたくなる醬油差し」「首の疲れない亀田縞のエプロン」……など、思わず目を留めてしまうキャッチコピーとともに、橋本さんのおすすめコメントが書かれたポップが添えられています。


あれ、よく見ると、どれもブランド名が書かれていませんが……?

「前職で商品を説明する時に、その半分くらいはデザイナーやブランドなどの話で、商品自体の説明は結構フワッとしてしまうことが多かったんです」と橋本さん。誰もが知る定番品やブランド名を信頼して選ぶのも一つの手ですが、「分かりやすい情報があると、どうしてもそれに頼ってしまいがちですが、そんな‟事前情報”がなかったらもっと自由に楽しく選べるんじゃないかなと思うんです。自分の暮らしと照らし合わせて必要かどうか、持っている道具との相性や家のインテリアとマッチするかどうかをジャッジする。そうやって考えて家に迎え入れたものは、有名無名問わず‟自分にとってのいいモノ”になってくれると思うんです。たとえそれで失敗しても、その後のモノ選びには絶対にプラスになるはず。なので、そんな経験にもなってもらえればいいなと思って、あえてブランド名などは出さないようにしています」


「LADER」が大切にしているのは使い心地だけではありません。毎日目にするものだからこそ、お店の中にあるどのアイテムと組み合わせても合うデザインのものを。そして、適正な価格を意識しています。

「例えば、保存容器など数が必要なものは、いくら使い勝手やデザイン、サイズがよくても単価が高すぎるといくつも揃えることができないので、現実的な価格のものを。対して、包丁やまな板など、ひとつを長く使うものは、少し値が張ってもよいものを置いています」

また、家族構成によって、おすすめするサイズ・重さが違う商品以外は、基本的に1カテゴリーにつき1アイテムをご紹介。オープン当初からずっと、「使い心地は悪くないけど、もう少しこうだったらいいのに」など、日々わいてくる“生活者としての不満”を解消してくれるアイテムを求めて、商品選びを続けています。

「刃の素材や切り口の断面のみずみずしさが素晴らしいピーラーなど、即決したアイテムもありましたが、基本的には日々使うことで選んでいく形です。『どちらを選ぶか、どうしても決まらない』なんて時も、二つを並べて自分が普段どちらを手にすることが多いかを試していくと、無意識ながらもどちらかに偏っていくんですよね。『この商品のどこがいいんですか?』と聞かれたときに、実感を持ってオススメできるものだけを置いています」

ただ、そんなこだわりゆえになかなか商品が決まらなかったこともあるそうで、「実は、最近ようやくメインの大きさの包丁を置くことができたんです」と笑います。お店のオープン当初から、なんと約10年越しの課題だったのだとか!


店名は、英語で「はしご」のスペルを少し変えたもの。「今、実際に使っている人はあまりいないと思いますが、変わらずに残っていて、認識されている。収納など別の用途にも使われている。その、“ものとしてのタフさ”がいいなと思って」

例えばカトラリーなら、実際に口に入れて使うもの。口当たりの違いで味に影響が出ることもありますし、何年何十年と使うことも珍しくありません。そんな、毎日使う日用品だからこそ、自分にとって何が本当に必要で心地いいと思えるものなのか……。そうやってひとつひとつ慎重に選んでいくことが、暮らしの豊かさにつながるのかもしれません。

明日からの連載でも、厳選した“ひとしな”とその使い心地をじっくり紹介してくれますので、毎朝の記事をどうぞ楽しみにしていてくださいね!

 

文/門谷 優


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LADER/ラダー(京都)

住所:京都市中京区西ノ京職司町67-38
電話:075-406-5230
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜+不定休
HP:https://lader.jp
instagram:@laderkyoto 

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