素敵な器を使った朝ごはんコラム、5月担当は「黄色い鳥器店」の高橋千恵さん
素敵な器店の店主さんに、普段の朝の食卓風景をご紹介いただく週末連載「ある日の朝ごはん」。5月は、「黄色い鳥器店」の高橋千恵さんに担当していただくことになりました。コラムスタートの一足先に、お店の様子をご紹介します~。
国立駅からJR中央線沿いをてくてく歩くこと3分、スポーツ用品店の脇の小さな階段をのぼった2階に「黄色い鳥器店」はあります。
思わず「わあ!」と声をあげてしまいそうな、素敵な店内。日常使いの器や道具がぎゅうぎゅうに並んでいて、これはもうワクワクせずにはいられません。
いまの時期、店内には素敵な形のかごがたくさん。まるでアートのようですね。かごは、農家の人たちが冬の農閑期に手仕事で製作していることが多いのもあり、毎年春になると各地方で編まれたかごが続々と入荷するのです。
天井近くの吊り棚にもズラリ。どれも使いやすさ抜群で、使えば使うほど味わいが出て格好よくなっていくかごは、お店でも人気のアイテム。ひとつひとつ表情が違うので、じっくり見比べてみてくださいね。
あちこち目移りしながら店内を歩きまわっていると、店主の高橋さんが「はい、どうぞ」と緑茶の入った湯のみを手渡してくれました。ほどよい温度で淹れられ、じんわりと甘みを感じる日本茶。お茶どころ静岡で生まれ育った高橋さんならではのおもてなしです。
「長年飲み続けてきているから、お茶をおいしく淹れるのにはちょっとだけ自信があるんです。ここに移転する前の店舗は駅から遠く、近くにカフェもないようなところだったので、『わざわざこんな遠くにまで来ていただきありがとうございます』という気持ちでお茶を出していて、それがいまでも続いている感じです」
だから器店なのに、店内に本格的なコンロや流し台が設置されているのですね。この“おうちの風景”という感じが、さらに店内を穏やかな雰囲気にしてくれているのかもしれません。
高橋さんがお店を始める前の経歴を伺うと、まるですべての経験が器店をオープンするためのものだったようにも思えます。高校生のときは「雰囲気が素敵!」と憧れていたカフェでアルバイト。大学は美術科、文房具メーカーで企画・デザインの仕事を経験したあと、愛知・瀬戸にある窯業職業訓練校に合格し、そこでみっちり陶芸を学びます。その後選んだ就職先は窯元ではなく、「器を洋服のように売っていた」という小さなメーカーでした。
「当時、デパートにもその会社の販売ブースがあったのですが、まわりに海外ブランドの器や大量生産の器が並ぶなか、その空間だけ圧倒的にセンスがよかった。商品のセレクトや見せ方次第で、受ける印象がまったく違うということを学びました」
販売員としてスタートしましたが、10年ほど経ったころには、窯元を訪ねて仕入れをしたり商品ラインナップの構成を考えたりと、企画にも関わるように。その経験を経て、いまから10年前、自分のお店をオープンする準備を始めます。そのころ流行っていたのは粉引きなど渋めの器でしたが、高橋さんが積極的に集めたのは、シンプルな器とも相性のいい絵皿でした。
独創的な絵柄の器が人気の作家・鹿児島睦さんも、開店当初からのお付き合い。店名の由来にもなった、黄色い鳥のオブジェも、鹿児島さんの作品です。
オープンしたときのDMとショップカードは、グラフィックデザイナー増田満さんとともにお店のイメージをかためながら作り上げたもの。この鳥のイラストは、デザインの仕事もしていた高橋さんが担当。ここにも前職の経験が生きています。
「わざわざ足を運んでもらうのだから、『あそこになら、きっと何か面白いものがある』と思ってもらえるような品揃えにしたいんです。ここでしか手に入らない作家さんの器や、見たことのないような民芸品が並んでいたら、『私、案外こういうものが好きだったんだ』とか『お目当てだった器の隣にある器のほうが気になる』なんていう新しい発見があるかもしれないですよね。それがお買い物のいちばんの楽しみなんじゃないかなと思って」
お店にはプレゼントを探しにくるお客さまも多いそう。黄色いテープやタグがポイントのシンプルでおしゃれなラッピングが、人気の秘密です。
「いいもの見つけた!」なアイテムが、いつもどこかに隠れている「黄色い鳥器店」。宝探しをするつもりで、ぜひお店をのぞいてみてくださいね。
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他のお店では見かけないような、知る人ぞ知る作家さんや窯元の器、日本各地の民芸品などがぎっしりと並ぶ店。「器店主の ある日の朝ごはん」コラム執筆は、店主の高橋千恵さん。
東京都国立市北1-12-2 2F
TEL&FAX:042-537-8502
営業時間:12:00~19:00
定休日:月、火曜
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