食で「からだにいい」を少しずつ取り入れるvol.1

からだ修行
2020.09.15

今月の先生:三原寛子さん(南風食堂)

私たちの体は、日々口にするものでできています。今日食べたもので、明日の体が何だか軽くなったり、ちょっとした不調がなくなったり。そんな「食と健康」の関係について考えられつつ、おいしいものにも出会える場が、人気ライフスタイルショップの中にオープンしました。

photo:砂原 文 text:田中のり子

 


アフリカの布に和の古道具、作家ものの器、インテリアグリーンなどが自在にレイアウトされ、居心地のいい空間を作り上げているライフスタイルショップ「CASICA(カシカ)」。約3年前に東京・新木場に現れた同店は、瞬く間に人気店の仲間入りを果たしました。友人たちとの間でも「食堂のランチも美味しいよね~」と話題になっていましたが、この夏から「Arkhē apothecary&kitchen(アルケー・アポセカリー&キッチン)」として、新しい食の試みを始められると噂を聞き、そのレシピ監修を行っている「南風食堂」の三原寛子さんにお話を伺ってきました。


「アルケー」とは、古代ギリシャの自然哲学で、「世界の原理、始原」を表す言葉だそう。人は食べたものでつくられます。ブランド全体のディレクションは「CIRCUS」の鈴木善雄さん・引田舞さんが行っており、「食べること」は、私たち人間を生み出す、ひとつの原理であるという考えから、このネーミングにしたのだそう。


それまでも「CASICA」の食堂のレシピ監修は行っていましたが、今回新たにスタートしたのは乾物部門。「調剤薬局」をイメージしたという棚には、味わい深い古道具類とともに、ドライフルーツやナッツ、スパイスなど乾物類が収まった瓶がずらり。圧巻です。


こちらのメインアイテムであるグラノーラは全部で7種類。プレーン、チョコレート、ジンジャーの3つのベースに、ドライいちじく、クコの実、陳皮(みかんの皮)、ゆず、しょうがなど、体にいいさまざまな乾物をミックス。処方箋のようなパッケージには、配合された素材が一目でわかるようになっていって、今後はさらにお客さまのご要望によって、お好みの乾物をさらにミックスするようなサービスも、検討しているのだとか。


お茶類は全部で5種類。神奈川県・大船にある「杉本薬局」の杉本格朗さんと相談しながら、美容に効果があると言われているものを集めた「柿の葉とローズのグリーンルイボス茶」、暑くてだるい時期にぴったりな「薄荷と陳皮の文山包種茶」、カフェイン少なめで妊婦さんや授乳中の方にもおすすめの「ホーリーバジルと棗の三年番茶」、体を温めてくれる「生姜と桂皮の焙じ茶」、デトックス効果が期待できる「かきどおしと秋ウコンの杜仲茶」。


取材時には「三年番茶」をいただきましたが、ホーリーバジルの風味が加わることで、おなじみの三年番茶が華やかで奥行のある味わいに。暑い日でしたが、すっと体になじみました。


そして毎日の生活に取り入れられる出汁は3種類。味噌汁から煮物まであう「鰹と鯖の和風出汁」、野菜のうまみがしっかり感じられる「雪中キャベツと椎茸の野菜出汁」、ベジタリアンの方でも活用できるやさしい味わいの「大豆と昆布の精進出汁」。グラノーラ、お茶、出汁のレシピはすべて、三原さんが監修されています。


「これらは『食養』の入門編的なアイテムとして考えました。グラノーラは朝食などに気軽に食べられますし、お茶や出汁も、ちょっぴり豊かな気分になりつつ、日常的にすっと取り入れやすいですよね。こういう入り口から、食が体に与える影響や役割を、自然に意識してもらいたいなと思ったんです」

もともと、北京中医薬大学日本校に通って中医学と薬膳をしっかりと学び、マクロビオティックの講座に通ったこともあるという三原さん。ご自身はアーユルヴェーダの先生に「鋼鉄の胃袋(!)」と評されるほどの健康体でしたが、5年ほど前にお母さまが病を得られたのをきっかけに、さらに「食と健康」の関係について、深く学ぶようになったそうです。


ここ近年、特に力を入れているのがアーユルヴェーダ。カウンセラー&セラピストである池田早紀さんとともに、アーユルヴェーダと料理の教室「マハト・チューニング」を5年主宰しつつ(現在は新型コロナウィルスの影響で、延期中)、今年2月にはインド・ケララにある学校で、さらにアーユルヴェーダの理論を学んできたばかりなのだとか。

「中医学の薬膳ももちろん素晴らしくて、私もその知恵を料理によく活用していますが、中心にある『五行』の考えなどは、それぞれの細かい特徴や関係が少し複雑な分、一般の方が日常生活に取り入れるのには、やや難しい部分もあるんですよね。その点アーユルヴェーダは、どちらかというと『おばあちゃんの知恵袋』的な感じで分かりやすく、教室の生徒さんたちの飲みこみも早く感じられたんです」


→vol.2に続きます


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Arkhē apothecary&kitchen(アルケー・アポセカリー&キッチン)

東京都江東区新木場1-4-6 CASICA内
TEL:アポセカリー03-6457-0826 キッチン03-6457-0827
営業時間:11:00~18:00(ラストオーダー17:30)
定休日:月曜
https://arkhe.jp

Profile

三原寛子

Hiroko Mihara

料理ユニット「南風食堂」主宰。雑誌やWEBでの料理制作、アーユルヴェーダの料理教室「マハト・チューニング」の料理講師、店舗の料理監修や商品開発など幅広く活躍。共著に『わたしのとっておき麺』(家の光協会)など。
https://www.nanpushokudo.com/

 

田中のり子

Noriko Tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』『こころとからだを整える』(ともにエクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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