“Stay Home” 中に変わった「おへそ」について聞いてみました Vol.3
今まで当たり前だった生活が、当たり前でなくなったとき、きっと新たなおへそが生まれているはず。6人の方に、この状況を体験して考えたこと、感じたことをうかがってみました。
休むことに
罪悪感を抱かなくなった
中臣美香さん
カフェも洋服のショップもクローズし、スタッフと2人でテイクアウト営業だけをしていたという中臣さん。いちばん大きく変わったのは、「休むことに罪悪感を抱かなくなったこと」なのだとか。一番のお楽しみは、夫とのオセロ。
「映画やドラマは、その内容に感情が引っ張られてしまうけれど、白と黒の陣地ゲームに没頭している時間は、主婦でも店主でもない、何者でもない自分の時間のような気がして」
変わらなかったのは、シャツを着る生活と、毎日お茶を飲むこと。そして幼い頃から好きだったという手紙を書くことでした。
「『コロモチャヤの中臣美香さん』というページを開かなくても、お店をやっていく方法を見つけたいなと思うようになりました。店主以外の顔でお客さまとつながってもいいんじゃないかなとか……。自分の声に正直に生きてもいいのかも、と思えるようになりました」
「作ること」の楽しさを
もっと上手に伝えられたら
島田由美子さん
4月からお店を休業し、宅配サービスを始めたという島田さん。ワイン2本とパテなどのおつまみ、そして旬の野菜をセットにした「おうちでローゼンタール」便には、島田さんが手書きでていねいに説明した、野菜の調理法が書かれたメモが添えられていました。
「仕事のスタイルは確かにガラリと変わったけれど、『おいしい』や『楽しい』をお届けするという、仕事の核となる部分は変わらないと思っています。むしろ新たに選択肢が増えたという感覚でしょうか? これからは、食べること、飲むことに加えて『作ること』の楽しさを伝えられたらいいなと思います」
以前は夜遅くまでお店に立っていましたが、朝型への仕事に変わったので、ステイホーム中は自然に早寝早起きに。
「仕事前にスイッチを入れるために、自己流でブレンドしたハーブティーを飲み、これまた自己流でピラティスをやっていました。体の調子はよかったですね」
島田さんがステイホームで得たものは、本当に大切なものは変わらない、という事実だったようです。
『暮らしのおへそ Vol.30』より
text:一田憲子
Profile
島田由美子
東京・銀座で、ドイツワインと自家菜園野菜を使った料理を楽しめる「ワインセラーローゼンタール」を営む。http://winecellar-rosenthal.link
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