『異国のおやつ』
2020年4月の初旬、まさに外出自粛期間中に、私たち料理編集のInstagramから始まった「#料理本リレー」は瞬く間に広まって、たくさんの人たちがご自身のおすすめの料理本を、熱い推薦文とともに投稿してくれたのでした。
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当社の本のみならず、「料理本」という存在が改めて認知される機会になればよいなと願い、編集部の3人で始めたことでした。こんなにも拡散されて、多くの人に楽しんでいただき、「やってよかったなぁ」とつくづく思うのであります。
その延長戦というかなんというか、ささやかながら編集部員3人の、今年の私的「勝手に料理の本大賞」を、3回に分けてご紹介したいと思います。もちろん選考対象から当社の本は除いております。その代わりと言ってはなんですが、最後に自身の担当本の中から1冊、手前みそ枠として紹介させていただいております。まずは「編集長(お)」こと小田より。
もともとがインドア派な私は、「外出自粛」と言われましても、正直なところそんなに不満はありませんでした。むしろ「みんなが外でバリバリ仕事したり、キャッキャウフフと余暇を楽しんでいたりするのに、家にいる自分はなんて駄目なんだろう…消えたい」などという無駄な劣等感を抱かずに済んだので、むしろ普段よりも気は楽だったと言えます。
そんな中で唯一のストレスだったのが、レストランやお菓子屋さんに行けないことでした。徐々に緩和はされましたが、それでも仕事が在宅になり、打ち合わせもGoogleMeetになり、外に出る機会そのものが減りますと、ついでにお店へ立ち寄るといったようなことができなくなります。そんなときに眺めて気を紛らわせていたのが、岸田麻矢さんの『異国のおやつ』(エクスナレッジ)でした。世界各国のお菓子を美しい写真とともに紹介しながら、それらを実際に食べることができるお店もガイドしてくれる、一石二鳥の本であります。
私が大好きな神保町のポルトガル菓子店「ドース・イスピーガ」をはじめ、大半のお店のお菓子はすでに食べたことがありましたが、中には存在そのものを知らなかったところもあり、非常に興味深く拝読いたしました。カンノーロがおいしいという南青山の「ニーノカフェ」や、ペルー料理の「荒井商店」、インドの生菓子「ミタイ」が食べられる「トウキョウ ミタイワラ」あたりは、隙あらば伺おうと思っております。
コロナ禍の中、お菓子屋さんも大変に苦労しています。郷土菓子を扱うお店でも、たとえば表参道にあったハンガリー菓子の「ジェルボー」は、この9月に閉店してしまいました。できるだけ早くこの厄災が過ぎ去って、飲食店のみなさんがまた以前のように働けることを、影ながら願ってやみません。
さて、手前みそ枠でご紹介するのは、齋藤菜々子さんの『基本調味料で作る体にいいスープ』です。10月の発売直後からよく売れまして、すでに3刷となっております。
齋藤さんは実はこの本が初めての著作。にも関わらず、レシピも撮影もすべて滞りなく、バッチリこなしてくださいました。本書のタイトルの「体にいい」という文言は、齋藤さんが「国際中医薬膳師」の資格をお持ちだからこそ入れられたものです。おいしさと健康要素の鼎立は、そんな齋藤さんの最大の特長と言えましょう。2021年の期待の料理家さんですので、どうぞそのお名前を覚えておいてください。それではみなさん、よいお年を!
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