「ふんわり」…おすすめ帖vol.55

『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる「季節のおすすめ帖」連載コラムです。季節ごとのおすすめの品を月に２回、ご紹介しています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　

photo：川本浩太　text：伊佐洋平　model：伊佐奈々

 

「実はこのパンツを試着してみようと思って今日は来たんです。」そんなふうに言っていただけることが増えてきたように感じます。ご紹介を始めてから３年目の今、嬉しいお声がけです。

 

 

「blue in green(ブルーイングリーン)」のふんわりパンツです。実はふんわりパンツという名前は、僕が勝手につけた名前です。メーカーさんのタグには「裾ギャザーパンツ」と書いてあります。

 

 

このパンツをご紹介するようになった３年前、その前年にご紹介をして人気を集めていた同ブランドのパンツが存在しました。その名前が「ぶかぶかパンツ」でした。これはメーカーの正式名称で。タグにもそのように記載されていました。

 

 

それがすごく僕には好印象でしたので、「次に新作です」とご紹介されたこのパンツに、少し真面目に「裾ギャザーパンツ」って書いてあるのが味気なく感じてしまって…販売する際に勝手に「ふんわりパンツ」と言い始めました。

 

 

今シーズンは、そのふんわりパンツとぶかぶかパンツを同時に同素材で販売しています。しかも、２年ぶりのリネン素材です。上の写真はグレイッシュなキナリです。

 

 

こんなふうに、丈の長いトップスと合わせても可愛らしいのです。しかもリネンでワイドですので真夏も涼しい。

 

 

続いてはチャコールです。当初は生地屋さんの見本帳でもブラックという記載でしたのでブラックと呼んでいましたが、サンプルが届いた段階で、「黒じゃないかな？」と思うようになり、最近になって色名はチャコールに変更いたしました。

 

 

スミクロでもいいのですが、印象としてグレーっぽさが残る色なので、チャコールといたしました。いずれにしても３年目で初めての黒系ですので、ちょっと嬉しい新色です。

 

 

こちらも丈の長いトップスに合わせて。

 

 

最後はインディゴです。インディゴはブランドの象徴的な色であり、アナベルでこのブランドを扱うことになったきっかけでもある色なのです。

 

 

以前にもご紹介はいたしましたが、彼らは岡山の児島にある老舗の染工所なのです。現在４代目で創業は100年以上にもなります。暖簾や座布団のインディゴ、藍染を手染めで手がける彼らの染色は本当に美しく、そのインディゴで染めた料理屋の女将さんのエプロンを見た時は、衝撃的でした。

 

 

何より、相当な時間をかけて手で染め返すことで、「色落ちはするが、色移りはしない」染色を行っていることには驚きました。彼らからすると当たり前なことのようですが、アパレル業界ではインディゴは色移りをすることが当たり前ですから。

 

 

インディゴもワンピースに合わせて。

「色移りしない？本当かな？」そんな気持ちで洗濯機に子どもの体育着と一緒に放り込み洗濯を始めると、すぐに水は青みを帯びていきました。がしかし、体育着を取り出してみると、全く色は移っていません。僕も児島に行って見学させていただきましたが、この解説を始めると少し長くなりますので、それはまたの機会に。

 

今回こちらでは「ふんわりパンツ」だけのご紹介になりましたが、同素材でぶかぶかパンツもご用意しております。インディゴがあれだけ手がかかっているのにお値段が一緒というのもお得な気分です。これ、実はこういった軽い素材にしかない特典みたいなものなのです。生地がしっかりとなればなるほど染料を使う量が増えてくるので、僕らが特注でお願いしていたコットンでは、インディゴの方が3000円高価です。とは言っても、3000円。彼らの染色の原価にも満たないお値段ですから、それでもお得なんです。デザインも素敵ですが、彼らの染色にも少し注目してみていただけると楽しいかもしれません。岡山には彼らのお店もありますので、行く機会があればぜひ立ち寄ってみてください。

 

ふんわりパンツ：blue in green（高城染工）￥25,300

※その他も全てアナベルでの販売商品です。

 

 

 

発売中の『ナチュリラ』春号vol.53でが伊佐さんがこの春気になるアイテムをご紹介していますよ。本誌のほうもぜひご覧になってみてくださいね！　

←その他の「アナベル」の着こなしはこちらから

 

• 
• 
• 
• 
•