第14回 ベルギーでもおなじみの夏野菜・パプリカで作るポルトガル料理あれこれ

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2021.08.04

こんにちは、料理家の栗山真由美です。
私の住むアントワープ、及び北西に位置するフランダース地区は、今年は冷夏だと思われます。中部からドイツ国境に近いエリアでは、豪雨による甚大な被害が出ました。新型コロナウイルス もそうですが、地球環境の歪みがどんどん大きくなっている気がしてなりません。地球にやさしい生活を心がけたいです。

さて、おなじみの野菜や果物でも、日本とベルギーでは旬の時期が違うことが多いです。その中でほぼ同時期といえる夏野菜、パプリカを今回のテーマにしたいと思います。


私は長年、ポルトガル料理を追いかけてきました。ポルトガルにとってパプリカは特別な野菜で、その実はもちろん、粉末にしたパプリカパウダーは、こしょうのように使います。そして、塩漬けにしたパプリカをペーストにしたMassa de Pimentão(マッサ・デ・ピメンタォン)は愛してやまない調味料になり、本を出版させていただくほどでした。
手作りするきっかけは、昔はMassa de Pimentãoが日本に輸入されておらず、ポルトガルに渡るたびに買うものの、無くなると困っていました。農家の市場で手作りに出会い、自分で作ってみたいと思い、いろいろな人の協力でそれを実現した…という流れでした。

実はアントワープには、ポルトガルのコミュニティがあり、食材店もあります。つまり、簡単にMassa de Pimentãoは入手できるのですが、手作りのおいしいさは格別で、今も手作りしています。

パプリカは、自分がポルトガルに行く機会が多かったせいか南欧のイメージがあったのですが、ベルギーでもおなじみ野菜です。ポテトチップスの定番は、塩味とパプリカ味です。

日本でのパプリカは輸入品が多かったですが、お隣のオランダ産もよく見ました。パプリカはハンガリー料理やペーストでも有名、中欧から東欧と広く使われ、グラーシュ料理には欠かせない野菜です。

Massa de Pimentãoはとにかく万能で、日本の調味料で例えると、しょうゆやみそのように使えます。でも、ポルトガル料理で何に使うかというと、Carne de Porco à Alentejana(カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ)が代表的な料理になります。日本語で表現すると、“豚とあさりのアレンテージョ風”です。

パプリカは抗酸化ビタミンA・C・Eが全て入っていて、さらにそのビタミンCは加熱調理にも強く、損失が少ないのが特徴です。

こちらの料理は、えびにMassa de Pimentãoをまぶして焼いただけ。パプリカを塩漬けしている間に微発酵するので、だしのようなうまみがパプリカから出るのです。簡単で味も決まります。

次に、私もベルギーに来て知ったパプリカを紹介します。Ramiroという種類の長細いものです。


スーパーの袋には「SWEET PALERMO RODE PUNTPAPRIKA」とも書かれていました。別名イタリアンパプリカ、PALERMOとも呼ぶそうです。原産地はイタリア、形は赤唐辛子に似ていて細長いのですが、全長が20㎝近くあります。形状と色から辛い気がしてしまいますが、甘いのが特徴。ピーマン類の特徴である苦みがほとんどなく、生食でも甘くてフルーツのようです。

RODE PUNTPAPRIKAは、オランダ語で「赤く尖ったパプリカ」という意味です。同じ形の黄色や白もあるそうです。

こちらでハンガリー風パプリカのトルトット(Töltött paprika)に挑戦しました。パプリカの肉詰めなのですが、バスマティ米という細くて小粒な種類の米を加えます。

香味野菜たっぷりのスープでじっくり煮ます。下ごしらえさえすれば、放っておけるので楽チンでした。トルコのピーマンの肉詰め、ドルマを想像していましたが、だいぶ違いました。このとがったパプリカは果肉がとても薄いので、最終的にとろけて、スープと一体化するイメージ。なんともやさしく、体にいいのが食べているそばから伝わってくるような料理でした。
知らない素材、料理、どんどん挑戦していきたいです。


ベルギー国内で海というと、北海(North sea)になります。ベルギーを旅行しただけでは知らなかった場所が多々ありますが、以前は海や海岸というイメージもなかったです。

オステンド、クノッカなどが有名どころですが、私たちはニューポートに拠点があるので、度々訪れています。日本の海岸とも違うイメージですが、美しいサンセットや空模様が見られます。

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Profile

栗山真由美

MAYUMI KURIYAMA

料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ 
Instagram : mamicastanha

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