～「blank+」より vol.19 ～

‟花火の街”として全国的に知られる秋田県大仙市で工房を構え、彫金・鍛金の伝統技法を用いて装飾品や暮らしの日用品をつくる金工家・坂本喜子さん。

無駄を削ぎ落した美しいデザインと、ありそうでない発想の視点から生み出される衣食住にまつわるアイテムが魅力です。

数ある作品の中から、今日は「いもさし」をご紹介します。

お料理の途中に、かぼちゃなどの根菜やお肉の火の通り具合を確かめたい時、竹串や楊枝を使う方がほとんどではないでしょうか？　蒸籠で野菜を蒸すことが多い我が家でも、その度に竹串や楊枝を使い捨てのように捨ててしまうことに抵抗を感じていました。

こちらの「いもさし」は食材の火の通り加減を確かめるための料理道具。真鍮や洋白の鎚目模様が美しく、お料理途中の一瞬の工程にも金工の手仕事の技を感じていただけます。

こちらは「いもさし」から派生して生まれた「楊枝」。果物やオリーブ、チーズなどを食する時にどうぞ。

手にするたびに気持ちよく使えて、美しく、永く愛用したくなる日用品を揃えることで、何気ない日々の暮らしがより豊かな時間となっていくのではないでしょうか。

暮らしの中でありそうでない日用品や道具に気づき、かたちに出来るのは、女性として年月を重ねながら真摯にものづくりと向き合ってきたからこそ。秋田の地でものづくりに携わる、これからの活躍が楽しみな作家さんのおひとりです。坂本喜子さんの制作しているその他の作品は、こちらをご覧ください。

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