受験シーズン到来! 頑張る受験生&ご家族へ #1

【特集】 「Z会進学教室」長野正毅先生の励ます力
2017.01.09

年が明け、いよいよ本格的な受験シーズンがやってきました。受験生を抱えるご家庭では、「勉強は進んでいるの?」「風邪を引いたりしないかしら?」「万一、志望校に届かなかったら……」と、自分のことではないからこそ、余計にやきもきする……そんなケースも多いようです。そこで今日からの5日間は、「Z会進学教室」の長野正毅先生の応援メッセージを特集します。「Z会」といえば通信添削が有名ですが、生徒を直接指導する「教室」ができて、30年以上もの歴史があり、「暮らしとおしゃれの編集室」では、長野先生のメッセージをまとめた書籍『励ます力』を2015年に発売しました。子育てに迷ったとき、自信が持てなくなったとき、ぜひ長野先生のメッセージに耳を傾けてみてください。

 

勉強の最終目標は人間を鍛えること

s-20141020_1

 

 

 三十数年間、小学生中学生高校生の勉強(とくに受験勉強)を見てきました。そして何よりも強く感じたのが、勉強を通して個々人がどこまで人間そのものを鍛えていけるかがいちばん大切であるという事実です。勉強の最終目標は人間を鍛えることにあり、本当の勝負はそこでつきます。
 第一志望校に合格する子もいますし、そうではなかった生徒もいます。大切なのは単純に合格できたかどうかではなく、勉強を進めていく過程で何を得たか、どれだけ大きな人間になれたかということです。

 

 第一志望校に合格できたのに失速していく生徒もいました。芯の部分まで鍛えられていなかったために合格という事実だけで満足してしまったのです。あるいは合格した時点でへとへとにくたびれてしまった子もいました。燃え尽きてしまった。そういう例は少なからず目撃しています。
 逆に第一志望校に合格できなかったことを大きなばねにして飛躍した子もいます。挫折の経験が自分を強くしたというセリフは何度聞いたことかわかりません。

 

 大人はすぐに単純化して考えようとします。現代生活が数字ばかりになっているので、子育ても何となく同じような気持ちになってしまうのです。点数さえとれていればそれだけで勝ち、偏差値が低ければそれだけで負けと決めつけてしまう。短絡的な見方を子どもたちに押しつけてしまうと、彼らもまた自由にあれこれと精神を成長させることができなくなってしまいます。
 受験や勉強を通して、わが子をどこまでしっかりした大人にできるかということを強く意識なさってください。

 

まずは身の回りの整理から

 しっかりした大人として勉強するのであれば、まず生活を整える必要があります。身の回りをきちんと整理させてください。点数のためにそうするのではなく、勉強に真剣に打ちこむ人間の環境としてそうならざるをえないからするのです。
 道具類もそうです。筆記用具やノート類、あるいはテキストやプリントの整理、できていなければ日々点検してあげてください。「日々」点検するのがあたりまえなのだというところを行動で見せるのです。現実問題として、忘れ物ばかりしているようでは成績がよくなるわけがありません。

 

 いい加減になっているようでしたら、最終的にはいい加減になってきたのと同じぐらいの歳月をかけるつもりで導いてください。だいたいにおいて成績のふるわない生徒は頭が悪いのではなく、単にだらしがないのです。
 勉強するときは魂をこめないといけません。おひとりでは真剣になれないというのであれば、キッチンやリビングで勉強しましょう。その際、周囲の方のご協力はもちろん必要です。周囲の方が、ご自身が早く遊びたいから子ども部屋にこもらせようというふわふわしたお気持ちでは、うまくいきません。文化的な環境が必要です。

 

いいコーチは褒め上手

 少しでもいいところを着実に褒める気持ちはとても大切です。「いつもよりきれいな字だね」「計算だけはできたじゃないか」「半分とれていれば何とかなるよ」「前回より上がってきたのはよかった」・・・どんなときでも褒められる部分を見つけるのは優秀なコーチの務めです。ふだんはどんなに厳しいことを言っても、場面場面でここは褒めるところだということに気づけないのはコーチとして失格です。

 

1日1点アップの心持ちで

 受験生の方はここから入試まで着実に一日1点ずつ上げていってください。まだまだ上がります。1点であれば必ず上がります。それだけで何十点になりますね。そのために丁寧な勉強を心がけましょう。丁寧にきちんと作業を積み重ねていける生徒を志望校は望んでいるはずです。
 まだ受験生ではない方がやるべきことは二つあります。お手伝いと読書、この二つはやればやるほど勉強もできるようになります。「人間力」をつけるためにお手伝いと読書は非常に効果的です。

 

 人間は過去をどうすることもできません。未来はまた何がどうなるか不確定です。すると全員が何とかできるのは「いま」と「ここ」しかありません。あとはすべて直接触れることのできない想像でしかありません。ですから過去がどうであれ、ここからしっかりやってくださればいいですし、残された方法はそれしかありません。広い意味での勉強を積み重ねてご自身、周囲、はては世の中全体を幸せにしてください。勉強する人は世の中に光と温かみをもたらします。子どもたちを私は世界を救う何よりの財産だと考えています。

 

s-20141020_1-1

授業中は決して座らないという長野先生。授業の最初に漢字テストを行い、生徒が課題を解いている間に採点。その日のうちに生徒に返します。採点も立ったまま。

 

 

photo:キッチンミノル

 

『励ます力』  長野正毅著 (主婦と生活社刊) 定価:1200円+税

Z-Cover-A-オビあり
東大・京大など、難関大学への高い合格率を誇る、通信教育大手の「Z会」。現在は学習進学塾の分野でも高い実績を上げており、その渋谷教室長である長野正毅先生が綴る子育て論&学習法。

Profile

長野正毅

MASAKI NAGANO

Z会進学教室渋谷教室長。80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒からはもちろん、保護者からの信頼も厚い。「長野先生の幸せに生きるヒント」http://www.zkaiblog.com/akarui

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ