【60代の大人暮らし 小暮涼子さん】60代の初体験・小さなご縁から始まった本づくりのこと
昨年の『ナチュリラ』2022春夏号「母娘で受け継ぐ“古いもの”を慈しむ心」にて、SDGsなおしゃれと暮らしをご紹介した小暮涼子さん。その飾らない等身大の様子にはたちまちの反響があり、2022年5月よりコラム連載をスタート。
最近のSNSは素敵な投稿が溢れていて楽しい反面、「あまりにキラキラしすぎていて、そうでない自分に苦しくなる」という声を聞くことも。「無理しない、背伸びしない、でも心地いい」そんな小暮さんの暮らしぶりを月一連載でお届けしています。
「夢にも思わなかったことが起きている」それが私の実感です。有難いことに11月10日に私の初めての著書「60代大人暮らしの衣食住」(主婦と生活社)が出版されました。今回は「初めての本作りを体験して」感じたことや、ご縁をいただいた経緯などをお話しようと思います。
始まりは2016年4月に始めたインスタグラム。次男から「新婚旅行中にアップした写真がインスタグラムで見れるよ!」と勧められ、さっそく娘に教えてもらいアカウントを開設しました。美しいローマの写真はお嫁さんの投稿です。
ある日、インスタグラムで素敵な写真を見つけフォローするとフォローを返してくださったのが雑誌「日々」編集長だった高橋良枝さんでした。普通なら出会うことのない方との交流が、私をインスタグラムに夢中にさせました。でも、そんなことが続いた翌年4月、悲しいことに高橋さんは亡くなり、闘病のなかで遺された本は私の大切な思い出となりました。
「ナチュリラ」掲載のきっかけもインスタグラムでした。次男の店「usual(ユージュアル)」の記事がナチュリラに載り、私が表紙の写真(写真・右)を投稿したのを見た編集部の方が、SDGsの企画で声をかけてくださったのです。ナチュリラは創刊号をとってあるほど好きな雑誌なので、そのときの感激といったら!
娘と取材を受けたナチュリラが発売されたあと、Webでコラムを書きませんか? とのお誘いがあり、勇気を振り絞ってお受けしました。その時「反響があれば書籍化も…」と伺ってはいたものの、まさか本当になるとは! こちらは、書籍の中でご紹介している朝ごはん(30日間撮り続けました・汗)の写真で未掲載の1枚です。
先ほどの朝ごはん写真の梅干しは自家製です。今年は去年の梅干しが少し残っていたので1kgだけ漬けましたが、いい塩梅です。
こちらも未掲載写真。撮り下ろし部分も含め、書籍用に新たにキャプションを書くことになったのですが、文字数を揃えて書くのが思いのほか難しく「遠い目になりました……」と編集担当の大塚さんにこぼしました(笑)。
全くの素人の私が、丁寧なサポートを受け時間をかけてできあがった本です。朝目覚めて空が綺麗だと写真を撮ってみたり(そして、また寝たり)している私に似たような誰かが、この本を手にとってくださったら嬉しいです。
街を歩いて素敵なウィンドーを見て立ち止まり、ため息をついたり。
ロフトの梯子に干した、ブラウスの様子が可愛いなと感じたり。
夫がお取り寄せしてくれた松茸で、お昼ごはんは松茸ごはんの残りのおにぎりです。なんて、日常の小さなあれこれをお伝えしていけたらと思います。
ブックデザインを担当してくださった天野美保子さんは、初めましての打ち合わせでいただいた名刺の裏が可愛いらしい小屋の写真で。好きな本や写真に「いいですよね!」と共感できる方。提案してくださった今回の表紙は私の思い描いていたイメージそのものでした。
私のこれからの道がこんな風だったらいいな、との願いも込めて最後は上高地の写真にしました。皆さんのこれからも明るいものでありますように。本のあとがきにかえて、お届けさせていただきました。
60代以上の女性の本が活況だそうで、新聞にその特徴は「高齢で無名の主婦」によるものとありました(笑)。書店で「60代大人暮らしの衣食住」を見かけましたら、どうぞ手にとってご覧くださいね。それではまた、12月に。
写真と文/小暮涼子
小暮さんの著書『60代大人暮らしの衣食住』
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