富山編vol.3 江戸時代から続く、伝統のやさしい甘さの麦芽水飴「島川あめ店」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2024.01.20

黒部峡谷や3,000メートル級の山々が連なる立山連峰、ダイナミックな山岳風景が魅力の富山県。日本海に生息する800種類の魚のうち500種類の魚がいるといわれる富山湾は「天然のいけす」と呼ばれ、新鮮で美味しい魚介類が味わえます。
今回の案内役は富山市で生花店を営んでいる「Atelier ANORM(アトリエアノーム)」の西淵吏英さん。富山市内を楽しく歩いて回れる選りすぐりのスポットをご紹介してくださいます。

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こんにちは。Atelier ANORMの西淵吏英(にしぶちりえ)です。

本日は旅行のお土産にぴったりのお店、島川あめ店さんをご紹介します。創業寛文3年、江戸時代初期から始まり、砂糖を使わず澱粉と麦芽を混ぜて炊き上げた「麦芽あめ」を造り続けてきた360年余りの歴史ある老舗です。

富山は「薬のまち」と言われていますが、実は水あめととても深い関係にあります。江戸時代富山では「丸薬作り」が主要産業となっており、水あめが丸薬のつなぎや薬の苦味を和らげるために使われたことで、あめ造りが盛んになっていきました。大正時代は7軒あった飴屋が昭和に入ったころから丸薬作りの技術者の衰退と砂糖の普及で徐々に衰退し、今は島川あめ店さんのみとなっています。

 


当時から製造方法を変えることなく作り続けられています。不純物を除きながら温度の高い釜へと度々移し替えながら炊き上げる作業を繰り返すことで、黄金色に輝く美しい水飴に仕上がります。

 


弾力と粘り気のある麦芽あめは口の中に入れるとあっという間に溶けていきます。あと口は甘ったるさがなく、爽やかです。ケース入りの他にスティックタイプもあり、登山される方に人気だそう。

「ご試食どうですか?」と言いながら手渡してくれたのは十四代目の奥さま。
「あめ屋のマーシュ」(麦芽水飴と卵白だけのメレンゲ。お砂糖に比べて歯にくっつかず、シュワ〜っと溶けていく。)の大ファンなんです!と伝えると、いろんな商品が生まれたストーリーを聞かせてくださいました。
「試行錯誤できるのは目が届く小さな会社だからかもしれないわね。スタッフの意見もよく取り入れるのよ。」と話す表情はたおやかで美しく、肩の力が抜けている雰囲気で、私もこんな風に優しい気持ちで過ごせる女性になっていきたい...と思えるような素敵な方です。

 


お料理に使うのにおすすめなのは「あまみ」という商品です。こちらは炊き上げの1回目の上澄みだけを汲んで瓶詰めされたもので、麦芽あめと比較すると緩めでとろみがあり甘さも軽やかな仕上がりになっています。カレーや煮物などに加えるとコクが出るので隠し味にもってこいです。こちらのパッケージは富山の和紙職人の川原隆邦さん(川原製作所)が制作しています。手刷りされているのでよく見ると一枚一枚の微妙な違いがお分かりいただけるかと思います。

 


2022年に誕生したのが麦芽と水飴を香ばしく焼き上げたグラノーラ。素朴な甘さでヨーグルトに入れたりアイスにかけたり、そのままつまんでも美味しいです。店頭では麦芽アイスも購入できるので一緒に食べるのもおすすめです。(店内での飲食不可のため、ご旅行の方は宿泊先などでお召し上がりいただくのも良いかと◎保冷バックも別途販売しておられますので多少の持ち運びは大丈夫そうです。)

 


赤いのれんが目印です。(白いのれんの時もあります。)スタッフの方がいつもにこやかに迎えてくださいます。向かって右隣にある喫茶店では島川あめ店の水あめがかかったホットケーキが人気です。ぜひそちらもご賞味あれ!

 

 

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「島川あめ店(しまかわあめてん)」

〒930-0058 富山県富山市古鍛冶町6-7
TEL / FAX: 076-425-5104
時間:10:00-18:00(3〜10月)・ 10:00-17:00(11〜2月)
https://shimakawanoame.jp
Instagram:@shimakawaame

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