大人のおしゃれアーカイブ 岡本敬子さん 服飾ディレクター vol.1
スタイリストを経て、アパレルブランドのプレスに。9年前には、ご自身のブランド「KO」を立ち上げた岡本さん。インスタグラムにほぼ毎日アップされる日々の装いからは洋服を着ること、組み合わせること、小物を足し算すること、そのすべてを心から楽しんでいるワクワク感があふれ出しているよう。そんな岡本さんに、おしゃれのルールって何ですか? とうかがってみました。
自分の直感で、
「これがいい」と思ったものを
着ればいい。
おしゃれに正解は
ないと思います。
ある日は、真っ赤なワンピースにかごを持ち、頭にはターバンを巻いて。ある日には、白いパンツとTシャツの上から、アイスブルーのガウンを重ねて。岡本さんと会う約束をすると「今日は一体どんなコーディネートだろう?」とワクワクしてきます。さぞかし、あれこれ計画を立て、準備されるのかと思いきや……。
「何を着ていくかは、お天気次第。太陽が出ているか、曇っているか、気温がどれぐらいかで、決めるんです」と聞いて驚きました。
「自分が好きなものを着る」というのがおしゃれの基本。「人の目なんて気にしません」と笑います。
もし、手に入れた服が似合わないなと感じたら、丈を変えたり、ボタンを取り替えたり、ひっくり返して着てみたりと、納得するまで自分で工夫してみるそう。鏡の前のそんな姿を想像すると、洋服に対する深い愛情が伝わってくるよう。
それにしても、どうやって自分が選ぶものに「これでよし」と自信を持てるようになったのでしょう?
「幼いころから、母が仕立ててくれた洋服を着ていました。本の中から好きなデザインを選び、一緒に生地屋さんに行って好きな生地やボタンを選ばせてもらいましたね」
なるほど、そんな小さなころから、訓練をされていたのなら、「自分で選ぶ」ということが、体の中に自然に組み込まれたのかもしれません。
中学時代はトラッドが大好きで、高校生になるとニューウェーブのエッジの効いたファッションを。「見つける」「組み合わせる」というプロセスが何より好きで、文化服装学院のスタイリスト科へ進学しました。
卒業後は、スタイリストを経て、アパレル会社にプレスとして入社。
そのころ、雑誌のタイアップの撮影で、知り合った編集者が、後に結婚することになった岡本仁さんです。
旅好きで知られるお二人。結婚して初めて行ったのはフランスでした。
「カフェに座ってマンウォッチングするのが好きなんです。あ、あの人のあそこが格好いいな、と思うと真似してみる。きっとかぶれやすいんだと思います」と笑います。
初めて触れるファッションや文化や音楽を、全身の毛穴から吸収する。岡本さんにとって、それが旅することの意味のよう。ただし、常に荷物は少なめが鉄則なのだとか。
「洋服は、旅先で現地調達します。東京でイケているスタイルをそのまま持ち込むと、その街で浮いてしまうんですよね。現地の空気に自分を合わせていく、というのが楽しくて」
photo:和田直美 text:一田憲子
どこの洋服? など、もっと詳しい内容は、ただいま発売中の
『大人になったら、着たい服 2019春夏』でご紹介しています。
ご覧になってみてくださいね。
Profile
岡本敬子
文化服装学院スタイリスト科卒業後、スタイリストオフィスに入社。その後アパレル会社のPR部門へ。独立し、アタッシェ・ ド・プレスとして複数のブランドを担当。2010年に自身のブランド「KO」を立ち上げる。現在はオーガニックコットンブランド「ナナデェコール」にて「KOライン」を、東京・千駄ヶ谷のショップ「Pili」のディレクションも手がける。著書に『好きな服を自由に着る』(光文社)。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。