「柔軟な思考を持つ職人」…おすすめ帖vol.19

おしゃれさんコーディネート
2019.10.12


『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる「季節のおすすめ帖」連載コラムです。季節ごとのおすすめの品を月に2回、ご紹介しています。

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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々

 

お店を始める前からモノを見ること自体が大好きで、いろいろなものを目にしてきて、お店を始めてからは、バイイングという少しシビアな目線でモノを見るようになって、正直に申し上げて、こういったシンプルなデザインの革製品にここまで心をつかまれるとは思っていませんでした。

 

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safuji(サフジ)」のミニバッグをご紹介したいと思います。イタリアの天然なめしで油分の多いレザーを用いています。コーティングなども施してはいませんので、レザーの色はみるみる変化します。使い方で変化の具合には個人差が多少はありますが、それも楽しんでお使いいただけると嬉しい限りです。

 

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3年前から妻も愛用しているグリージオ。今は金茶のようなムラのあるブラウンに変化しています。

 

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とにかく、一目見て気になって仕方なかったこちらのバッグ。いったい何がそこまで気になったのかは、私自身もわかりません。ただ、はっきり言えるのは、「ありそうで見たことがないモノだった。」ということと「手に持った時のモノとしての質感がよかった。」ということ。

 

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きれいなハンドバッグのようで、近くで見ると持ち手に見返しが付いていて、しっかりとハンドステッチで抑えている重厚さも持ち合わせ、ハンドバッグらしからぬ一重である。

 

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聞くと、実は出発点がハンドバッグではないという。今でも「safuji(サフジ)」さんの商品ラインナップに存在する、このバッグがグーっと縦に長くなったデザインのバッグ。それは、レコード屋さんや本屋さんのビニール袋を見ていて作ってみたという形状です。そして、それを短くしたら? という発想で生まれたのがこのミニバッグ。とくにすごく小さいというわけではないのに「ミニバッグ」というネーミングである理由も納得がいきます。実際に見ていただくとわかりますが、ミニというわりには、意外な収納力を感じます。財布に化粧ポーチ、ペンケースにカードケース、文庫本に小さめのペットボトル。少し出歩く時や、大きなカバンを持ち歩きたくない時には本当によく使う。

 

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ネイビーはしばらくはブラックとの差がはっきりとありますが、1年ほど使うと、室内ではちょっと見分けがつかないくらいに近似色になってきます。

 

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どんどんツヤを増してくるのもこの革の特徴の一つでしょう。オイル混じりで白っぽいムラのある表面は、ツヤっとムラのない表情へと変化します。今回は10月に当店で開催するsafuji展にむけて、annabelleのスペシャルもご用意いたしました。

 

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ゴールドとシルバー。一見、「safuji(サフジ)」さんのイメージと異なる印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、最初にこの革を出していたのは彼の方です。2年ほど前、それをちらっと見た私は気になって気になって。しかし当時は、タンナーから供給される品質が日本で出すには安定せず、商品化は難しいという話をされて実現に至りませんでした。いい時もあるけど、作っている最中に金箔も銀箔も剥がれてなくなってしまうようなものもあったそうです。

 

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今回ご用意したものは、箔である以上そのままの金や銀を保つことはなく、少しずつ下地と入り混じり、色合いが鈍くなる傾向があります。それがまた素敵なのです。まるでアンティークの商品を眺めているような心地のいい雰囲気です。

 

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普段使いはもちろんですが、式典にも大活躍。

 

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ワンピース姿にも、コート姿にも素敵です。

 

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こちらのスペシャルは、中身も少しおねだりしています。ピッグスキンを用いて、馴染みのいいように内ポケットを付けていただいています。革のお財布に傷をつけやすいカギの束や、携帯電話を入れるのにちょうどいい。

 

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近くで見た時の箔独特のムラ感もかっこいいのです。

 

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シルバーも素敵ですよ。

 

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ハレの日や素敵な装いでの楽しいお出かけに、シルバーやゴールドはとっても気分が上がります。

 

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デザイナー・沢藤さんの革に対する愛情は「safuji(サフジ)」のホームページでの自己紹介でも一目瞭然。素材に対する深い愛情を持ちながら、「個性むき出しのデザイナー」とも違う、「隙を見せない作家」とも異なる「頑固一徹の職人」でもない、彼特有の空気を持っている。それは、あらゆることをいったん素直に受け止める柔軟さや、気にかかったことに深い思考で食らいつく執念深さからくるのか。「柔軟な思考を持つ職人」というのが僕の彼に対する印象です。ぜひ、皆様も商品から彼の人柄を感じ取っていただけますと嬉しく思います。

 

safuji ミニバッグ ¥20,000+tax

   ミニバッグ for annabelle(ゴールド・シルバー)¥22,000+tax

1012日からの展示では、ミニバッグのほか、信じられないほど使いやすいミニ長財布や様々な小物をご用意してお待ちいたします。

 

 

*編集部より 伊佐さんのこの秋のシャツの着こなしは、現在発売中の『ナチュリラ』2019秋号vol.48でも特集していますよー。本誌のほうもぜひご覧になってみてくださいね!

 

 

 

 

 

アナベル

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東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩5分
℡:045-482-4026
営業時間:11:00~20:00 水曜定休
http://www.f6products.com/
https://www.instagram.com/annabelle_104/

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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