二本立てのおへそ ― ライター・村山京子さん vol.2
家事はお母さんの仕事じゃない。
子どもたちが自分を律する力と
自分で立つ力を育てるのが母親の役目。
仕事と暮らし、どちらもあきらめず「二本立て」でやっていくために、子どもたちにいつも言っている言葉があります。それが、「家事はお母さんの仕事じゃないよ」というひとこと。
「もちろん、ご飯を作ったり、掃除や洗濯はするけれど、これは、本来はお母さんの仕事ではなくて、みんなの仕事。でも、まだみんなが小さくてできないから代わりにやっているだけなんだよって言ってます」
そして、子どもたちができることは、みんなで分担。太一くんはお風呂掃除。次女の智花子ちゃんは掃除機かけ、長女の紗和子ちゃんは、毎朝妹の髪の毛を編んでくれます。さらに、塾や習い事のスケジュール管理も子どもたちで。「これはできない」と思ったら、代わりに誰かにお願いする段取りをすることまでまかせているとか。
「自立することはもちろんですが、自分を律する=自律する力を身につけて欲しいと思っています。したいことをするためにはするべきこともする、ということができる人になってほしい。家の仕事を分担しているのは、そのための練習だよと伝えています」
夕方5時、村山さんはプシュッとビールを開けてナッツをつまみます。夕飯前にひと休み。お母さんであることも大事だけれど、自分が自分であることも大事。好きなテレビドラマを見る時間も、本を読む時間も欠かせません。
自分の心にふたをしないこと。それが、村山さんの二本立てのおへその原点でした。毎日子どもはいろんな事件を引き起こし、思いのままにならないこともしょっちゅう。でも、現実に自分を乗っ取られないように。自分にうそをつかなければ、心の奥底に蒔いた小さな種は、必ず芽を出し、日々育っていくのだと教えられた気がします。
Go Go! 清水丸のお話
「清水丸」という一隻の船があります。
お父さんとお母さんの力だけでは足りなくて、
家族みんなで漕がないと沈んでしまいます。
紗和子ちゃん、智花子ちゃん、太一くん、
みんなを立派な水夫にするのが、
お父さんとお母さんの役目。
だから、みんなで力を合わせて清水丸を守ってね。
読書好きの智花子ちゃんは、このお話が大好き。村山さんにプレゼントしてくれた手紙の中にも、「みんなで清水丸をうごかします!」と綴られていた。
みんなの家仕事を決める
「これは私がやる」と自己申告した家事を毎日続けることが大事。朝できないときは夕方やるなど、自分で工夫を。
したいことの前にするべきことをする
タスクボードを作り、終わったらチェック。紗和子ちゃんは、部活や塾のスケジュールも自分で把握。今年からお金の管理も自分で。
洗濯物は各自でたたむ
ランドリーバスケットを家族5人分用意。取り込んだ洗濯物を分類して入れておき、自分のものは自分でたたんでしまう仕組み。
疲れがたまる前に休む
夜9時半に就寝。体を整えることが好きなことを続ける第一歩。
めまい体質なこともあり、睡眠は充分にとるよう心がけている。原稿の締め切りに追われているときは、いったん寝て夜中の2時頃起きて仕事にとりかかる。一度寝ることで疲れがとれて効率がアップする。
「暮らしのおへそ Vol.28」より
photo:有賀 傑 text:一田憲子
Profile
村山京子
独身時代は、インテリア誌のライターとして多忙な日々を過ごす。今は仕事を少しセーブしながら、育児雑誌などで執筆。さらに、週に2回実家の水産会社の東京営業所に通い、ホームページ制作などを担当している。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。