心地よい目覚めで始まる、元気な一日に「ありがとう」

丹生谷真美さん『暮らしを磨く美しい言葉』
2020.07.07

コロナブルーに効く、心を元気にしてくれる一冊
『暮らしを磨く美しい言葉』vol.2


こんにちは、暮らしとおしゃれ編集部の隣にある「主婦と生活別冊編集部」の佐藤です。今週は、私が担当した新刊から素敵な言葉の数々をご紹介させていただきたく、「暮らしとおしゃれの編集室」におじゃましております。

女性ならだれしも「素敵な女性」になりたいし、「エレガントな女性」に憧れます。でも、いったいどこから手をつければいいの? そんな「初めの一歩」を、東京・田園調布でおとなの教養を磨くサロン教室を主宰している丹生谷真美さんの新著『暮らしを磨く美しい言葉』より、お届けしたいと思います。今週6日間にわたり1日1つずつ、「美を磨く」「心を磨く」「言葉を磨く」「表現を磨く」「日々を磨く」「人生を磨く」の6つの章に散りばめられた言葉をご紹介。暮らしを磨き、満ち足りた時間を過ごすヒントにしてくださいね。

第2回の今日は「第2章 心を磨く」からの言葉です。

心地よい目覚めで始まる
元気な一日に「ありがとう」。

 思えばかれこれ二十数年来、目覚めてまず感謝する、感謝できる朝を迎えてまいりました。ありがたいことです。
 四半世紀の昔のこと。先の見えない病を得て、病院通いをしておりました。
 ある日、大学病院で、ひたすら診察を待つ長い長い時間に、隣に座られたご年配のご婦人おふたりの会話を、聞くともなく聞いておりました。
 膝の痛みで通院中の初対面同士の、何げない、待合室での会話でした。それぞれの病状、家庭のこと、日々の暮らしのことなど語り合う内に、おひとりが
「朝目が覚めると、ああ、まだ生きていたんだ、とがっかりするんですよ」とおっしゃったのです。
 言葉が鋭く心に刺さりました。
 するともうおひとりも「あなたもですか。私もなんです」とため息をつかれたのです。
 おふたりともきちんとした身なりで、会話の内容からも生活にご不自由があるようには見えません。
 その頃の私は病のせいでいつもの元気を失い、かなりのパワー不足で、一日が終わるとぐったりと疲れて、寝床に倒れこんでおりました。
 それでも朝、眠りから覚めると、やがて東の窓から陽の光が射しこみ、また一日頑張れるだけの勇気と元気が生まれます。眠り、そして目覚めれば、光にあふれた新しい一日が始まるのです。
「死」とは朝がこないこと。朝がきても眠りから覚めないこと。
 やがていつの日か目覚めない朝がやってきます。明日かもしれないし、何十年も後かもしれない。その朝がくるまで、一日一日の命に感謝することを忘れずにいたい。ふと耳にしたご年配のおふたりの会話から、そう思ったのです。
 光あふれる朝が訪れ、日々生かされている幸せに感謝できるのは、ありがたいことですね。

photo:白井綾


●担当編集・佐藤が、この言葉から学んだこと●
「ありがとう」で一日を始められたら、どんなに素敵なことでしょう。時間もお金もかからず、気持ち一つでかなうこと。私(46歳・三児の母)は、すぐに忘れて「ああ、また目が覚めてしまった(もっと寝ていたい)」で始まる残念な朝を迎えてしまいます。声に出して読めば勇気と元気がわいてくる、折に触れて読み返したい言葉です。

※次回は「第3章 言葉を磨く」の言葉を紹介します。

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Profile

丹生谷真美

Mami Niunoya

1950年、東京生まれ。1986年、日本で最初のフィニッシングスクール校長に就任。1992年独立、東京・田園調布で真のエレガンスとおとなの教養を磨くサロン教室を主宰する。オンライン講座も開催中。2020年、NHKよるドラ「いいね!光源氏くん」(原作:えすとえむ)劇中和歌を担当し話題に。著書に『あなたが花になる美しい日本語』『美しい人の美しい手紙』『母から学んだきちんと、きれいな暮らしかた』『手紙の作法』他。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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