小さなアトリエから生まれる服【iai(イアイ)】

ナチュリラ
2021.03.22

素材の調達からデザイン、縫製、販売も自ら手がけ、愛情込めて服を作る──。そんなブランドが少しずつ増えています。地方の小さなアトリエで生まれる服には、作り手が大切に紡いだ物語がありました。



里山で暮らしながら
夫婦の手で生み出す服

生地の買いつけ、ミシン、染色は夫の居相大輝さんが、手縫いや刺しゅうを施すなど細部の装飾を妻の愛さんが担当。自然と暮らし、その時々の心象を形にする服はすべて一点物。

植物が持つ色のコントラストが美しい


白い厚手のカディコットンのワンピースに、同じ生地を木五倍子(きぶし)と柿渋で染めたベストを重ねて。袖口のリブは奈良の靴下工場から出る廃棄布を染めたもの。

服も、住まいも、アトリエも自らの手で


自宅は築約100年の古民家で、その一室をアトリエに。自分たちで改装し、修復しながら住まう。作った服は自作のラックに吊るして。

布と真摯に向き合い手を動かす


決まったパターンやデザイン画はなく、頭に浮かんだイメージを手に移すようにしながら体に布を沿わせ、立体裁断を行う。「何枚作ってもひとつとして同じデザインはありません」


布を染めるのは、家の周辺に生えている植物で。綿や麻など天然素材の布地は茶葉で下地染めを。

捨てられるものにも光をあてる


近所の工場の倉庫で眠っていた京丹後の絹に間伐材を原料とする原木染めを施した生地で作ったもの。ワンピースとベストを組み合わせたデザインは定番の形。


遠州綿を藍で染めたワンピースにスモッキングを施して愛らしさを。

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居相大輝さん・愛さん一家が暮らすのは、棚田の田園風景が美しい京都府福知山市大江町の集落。東京で消防士として働いていた大輝さんは、7年前、故郷にほど近いこの地に移り住みました。

「東京でも仕事の合間に服を作ったり、知人のアパレルを手伝ったりしていました。そんな中、東日本大震災が起き、現地に応援要請で派遣されたことで、改めて生死について深く考えさせられて。『地に足をつけて本当にやりたいことをしよう』と地元に戻り、夫婦で服づくりを始めたんです」

山がそびえ、小川が流れる場所で野菜を育て、家を手直しする。そんな毎日の中で「どんな服を作ろう?」と思いをめぐらせます。

「娘たちと散歩中に見る、雄大な自然の中の四季折々の美しさ。そんな景色と心に宿ったイメージが服づくりにつながっています」


photo:iai text:増田綾子

 

→「atelier Rough atour」に続きます

 


『ナチュリラ vol.53』より

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Profile

iai

イアイ

居相大輝さんが独学で服づくりを習得し2014年に「イアイ」をスタート。年に数回展示会を催し、一度に100〜150着の服を販売。6 月には東京の国立新美術館で開催予定の展示に参加。
http://iaihanaiten.com

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