【後藤さん連載】スマホで素敵な写真を撮りたい【前編】

後藤由紀子さん 専門家の力をお借りします
2022.01.28

50代になった後藤由紀子さん。二人の子どもたちも社会人となり、長らく手放していた「自分の時間」が戻ってきました。家族中心の生活を送ってきましたが、これからは自分をもっと慈しみ、広げ、豊かで健やかな毎日を送りたい! そんな後藤さんの思いを実現するべく、いままで気になっていたこと、悩んでいたことについて、その道のプロにアドバイスをいただく連載を不定期でお届けしまーす!

text:鈴木麻子



さて、後藤さん、最近「もっとこうしたい」「プロに教えてほしい」と思っていることありますか?
「はい、スバリ、スマホ写真をもっと上手に撮りたい! です。インスタグラムはもちろん、雑誌の企画用に自分で撮影した写真を使うこともあり、スマホで写真を撮る機会は結構多いほう。でも、ただただ撮っているだけだから、仕上がりに自信が無くて……。もうちょっと雰囲気のある写真を撮れるようになりたいんです」

後藤さんに限らず、ごはんをパシャリ、お友達をパチリと、スマホで写真撮影すること、すごく多いですもんね。ということで、今回のテーマは「スマホで素敵な写真を撮るコツ」。フォトグラファーの柳原久子さんに教えていただきます~。


ライフスタイル系の雑誌などで活躍中の柳原さん。後藤さんも何度か撮影してもらったことがあり、久しぶりの再会となりました。



今回の撮影は、柳原さんのスタジオにて。自然光がたっぷり入るこちらは月に2回、「なたね写真館」として一般のお客様を撮影するフォトスタジオに変身。七五三や成人式の写真はもちろん、「婚活用」の写真(成功率抜群だそう!)や、元気なうちに遺影を残す「メモリアルフォト」の需要も多いのだとか。いわゆる「記念写真」ではない、自然な表情のポートレートを撮ってもらえるのは嬉しいですよね。


後藤さん(以下、後):今日はよろしくお願いします!
柳原さん(以下、柳):こちらこそ、よろしくお願いします。スマホの撮影でお困りなのは、どんなことですか?
後:それがいくつかありまして……。

そうして挙がった質問が、こちらの4つ。
① 器や雑貨、料理を素敵に撮るコツは?
② 室内の光で雰囲気のある写真を撮るには?
③ コーディネート提案のセルフポートレートを撮るときのポイントは?
④ 月をきれいに撮影するテクニックは?


これらの4つは、いずれも後藤さんが撮影する機会の多いシーン。実際に後藤さんが撮影した写真が並ぶインスタグラムを、柳原さんに見てもらいます。

後:いつも、見たまんまを、「いいな」と思ったときに撮っているんです。

柳:はい! その素直な感じが写真に表れていて、とてもいいと思います。作為がないというか、後藤さんが、「きれいだな、おいしいそうだな」と感じて、反射的に撮っているんだなと、伝わってきます。その感覚、すごく大事なことですよね。「感じた気持ち」がダイレクトに伝わってくる写真がいいと思うので。
それから、後藤さんのインスタグラムを見ると、多くの写真で対象物が中央に置かれ、大きく写っていますよね。ときには、もう少し引いて余白をとってみる、光の方向を意識してみる、撮る角度をほんの少し変えてみる……などを試してみると見え方が変化して、写真の幅が広がってくると思います。

お悩み①
素敵な写真が撮れない

撮影するときは、大抵1枚のみ。目の前にある対象物を素直に正面から撮影しているという後藤さん。「素直でいい」と柳原さんは誉めてくれますが、それは「素っ気ない」とも紙一重で……。


柳:
モノがきれいに見える角度、料理がおいしそうに見える向きなどは、よく観察しないと見えてこないんです。プロのカメラマンでも、一発目で思い通りの写真を撮るのって難しいんですよ。まずは1枚撮ってみて、「ちょっと影が強いな」とか「平面的に見えてしまったな」とか、改善点を見つけます。それで、カメラや自分自身も動いたり光の方向を変えたりして、少しずつイメージどおりの写真に近づけていく作業を繰り返しています。スマホ撮影も同じ。1回でキメようと思わず、いろいろな角度から何枚か撮ってみるだけでも「素敵!」と感じるアングルが見つかる確率が高くなりますよ

後:なるほど! じゃあまずは正面から、上から、斜めから、と3枚くらいずつ撮るところから始めてみようかな。料理を撮るときはできるだけ冷めないうちに……と焦ってしまいそうですが(笑)。


後:
ちなみにプロのカメラマンさんは、どんなふうに撮るポイントを見つけているんですか?
柳:被写体がどの角度から、どのような画角や光で撮ると素敵に写るかを探します。その中で私がいちばん大事にしているのは、光です。光を読むことが、いい写真を撮るためのポイントだと思います。被写体に対し、正面から当たる光は「順光」、横方向から当たる光を「サイド光」、背後から当たる光を「逆光」、斜め後ろから当たる光を「反逆光」といいます。光の当たり方によって、同じものを撮影してもイメージがかなり変わるんですよ。

では、実際に撮影しながら、レクチャーを受けることにいたしましょう!



まずは、サイド光で撮影してみます。被写体に影が強く出やすいので、明暗がはっきりして、メリハリのある仕上がりになりやすいのだそう。料理やお菓子がおいしそうに見えるのは、このサイド光や反逆光。お菓子に立体感が出ていますね。



お次は窓を背にして、順光で撮影。カメラ側から被写体全体に光が当たるので、陰影がなくフラットな写真になります。お菓子全体に光がまわって、ややのっぺりした印象!?



最後は、逆光で撮影。被写体の背後から当たる光で、お菓子やカップの輪郭がくっきり見えますね。手前に白い板などを立てて光を反射させ影を薄くすると、やわらかな雰囲気も出せるのだそう。

柳:自然光が入る室内の場合、窓(光)に対してどの位置から撮るかを考え、サイド光、順光、逆光から好みの光を見つけてみてください。さらに、正面から撮るのか、横からか、斜めからか……と、モノが素敵に見える角度も探してみましょう。

それからもうひとつ、ちょっとしたことで、写真に差が出るポイントを伺いました。それは、スマホのズーム機能を使って撮影することです。

柳:スマホのカメラレンズは、テーブルの上の料理など小さめのものを撮るには広角すぎてしまうんです。そのまま撮ると、見た目とは違う不自然な歪みが出てしまう。それをズームで撮影すると解消できる場合が多いんです。


こちらが、通常モード(広角)で撮影した写真。お皿のリムの手前側が、奥側に比べて広くなっているのでここが強調されているように見え、お菓子よりも手前のリムに目が行ってしまいます。


ズームにして撮影すると、お皿のリム幅はほぼ均等になるので、ちゃんとお菓子に目が行きますね。ズームの場合は、その分後ろに下がって撮る必要があるので、後ろのスペースに余裕があるときにしか使えないテクニックではありますが……。


後:
通常モードが広角になっているなんて知りませんでした。これからはズーム必須ですね! アングルについても、1枚撮って終わりではなく、より素敵に見える角度を「動いて探す」ようにしてみようと思います。でも、ごはんは「食べたい」気持ちのほうが勝って、あれこれ撮らずにすぐ食べちゃうかもしれません(笑)。

お悩み②
室内で雰囲気よく撮れない

日中はお店で接客をしていて、家でゆっくり過ごせるのは大抵が夜。だから、後藤さんのインスタグラムには夜の写真が結構多いのです。晩酌の写真、夕飯の写真、室内灯の光でうまく撮れないのがお悩みのようです。


取材時は昼間だったので、柳原さんが室内照明のシーンを撮影するためのセットを用意してくれました。


柳:
天井からの照明で撮影すると、光が全体に当たり、どうしてものっぺりとした写真になってしまうんですよね。サイド光になるようなテーブルライトなどあったら、その光を生かすと立体感が出ますよ。
後:そういうものがない場合はどうしたらいいですか?


柳:
テーブル全体や周りの椅子、背景までをあえて入れてみると、そのときの情景がさりげなく伝わるような、雰囲気のある写真が撮れることも。室内照明の黄色っぽい光を生かすようなつもりで撮るといいと思います。

最近のテクニックだと、ポートレートモードの活用も。被写体の奥をぼかすのが定番ですが、柳原さんは「前ボケ」もおすすめなのだとか。スマホのレンズのすぐ前にグリーンやキラキラしたガラスのものを入れ込み、奥の被写体をタップしてピントを合わせてから撮影すると、手前に入れ込んだグリーンやガラスがボケて映り込みます。前ボケの写真は奥行き感が出て、より雰囲気のある写真になるそう。ただしレンズにくっつけすぎてキズがつかないよう注意しましょう。


柳:
あと、ご自宅での撮影なら、椅子にのって真上から広範囲で撮影してみるのも面白いと思います。


後:
本当ですね! これまでとはまったく違う写真が撮れました。

「夕飯後のおやつ」、はたまた「深夜の動画鑑賞会」!? 構図を広くとることで、その場の空気感も現れ、さまざまなストーリーを想起させる写真になります。


後:
白熱灯の光も、少し引いて撮ると優しい雰囲気になりますね。真上から、横からと、自分が動いて素敵な角度や距離を見つけることはあまりしてこなかったので、これからはいろいろ探ってみたいです。
柳:室内での撮影は光をコントロールできないので難しいんですよね……。考え方を切り替え、あえていろいろ映り込ませて「暮らしのひとコマ」な感じを出したほうが、楽しい写真になりますよ。

「スマホで素敵な写真を撮りたい」講座、これで【前編】はおしまい。【後編】ではセルフポートレートの撮り方、月をきれいに写す裏ワザをご紹介します。

 

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Profile

柳原久子

Hisako Yanagihara

フォトグラファー。もの・人・料理・旅などをテーマに、女性誌や書籍などを中心に活躍。月に2回、都内にある自身のスタジオを「なたね写真館」としてオープン。プロのヘアメイクつきのナチュラルなポートレートを撮影している。
https://water-fish.co.jp/

 

後藤由紀子

Yukiko Goto

静岡県・沼津で器と雑貨の店「ハル」を営む。最近は「出張hal」として日本各地で期間限定の出店も。二人の子供は社会人となり、子育てもひと段落。暮らしの工夫や気づきを綴った飾らないエッセイも好評。近著に『気持ちを伝える贈りもの』(大和書房)。
Instagram「@gotoyukikodesu
YouTube「後藤由紀子と申します

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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