第6回 家時間が増える冬にぴったり!ベルギー版「ビーフシチュー」
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
日本の冬、今年は雪が多いのでしょうか? こちらにいますと、日本については事件や事故の映像をニュースで見ることが主になってしまっていて、大雪関連のニュースを数回目にしています。
日本とベルギーの冬、違いはたくさんありますが、そのひとつは日照時間です。特に、朝の暗さにはじめは驚きました。朝8時だと真っ暗、9時でも薄ら明るい程度です。夜は17時半には真っ暗になります。そんな家時間が増える冬は、やはり煮込み料理が多くなります。
そこで今回は、ベルギーの定番料理のひとつで比較的簡単なStoofvlees(ストゥフリース)を紹介します。フランス語圏ではCarbonnade(カルボナード)というベルギー版ビーフシチューで、名産品のひとつ、ベルギービールを使います。
お肉屋さんはもちろん、スーパーに行くとStoofvlees用にカットされた牛肉があります。それぐらい定番の料理ということです。日本にも“カレー・シチュー用”という表示のお肉がありますよね。
食べやすく切ったら、小麦粉をまぶします。
バターを溶かしたフライパンで肉を焼きつけていきます。じっくりとすべての面に焼き色をつけるのがポイントです。
一度肉を取り出し、肉汁のうまみを吸わせるように、同じフライパンで玉ねぎを茶褐色になるまで炒めます。
ビールは黒、およびブラウンビールを使うのが通例です。これは、外食した時に見ていただくとわかるのですが、仕上がりが黒いことに起因します。今回はKASTEELの黒ビールを使いました。
ベルギービールには各社、白っぽい色のピルスナータイプと黒めのものがありますので、好みのブルワリーがあったらそこから選んでも。ラベルの下のほうにある“DONKER”の文字は、オランダ語で「暗い」という意味です。KASTEELのほかに、Westmalle Double、Grimbergen、Maredsousのビールもこの料理に合うそうです。ビールの味が料理の味に直結しているので、好みのビールを使うのがいちばんだと私は思います。
ビールのアルコールは煮込みの間に飛んでしまいますが、お酒が苦手という方は、アルコール度数の低いものでも良いと思います。ピルスナー系を使うと色が薄い仕上がりになりますが、料理としては成立しますので大丈夫です。
こちら、特別な材料は必要がないという証になるでしょうか? ハーブもローリエとタイムだけ、黒胡椒とハチミツを使いました。味つけは塩とビールになります。
鍋に肉と玉ねぎを移したら、ハーブ、スパイスとハチミツを加え、ビールを注いで煮ていきます。
煮る時間は90分と少し長めですが、ホロホロのお肉ができ上がります。このツヤも黒ビールならではです。
オプションとしてレバーなどの内臓を加えて煮たり、ジンジャーブレッドを加えてとろみを強くする場合もあるそうです。食べる時には好みでマスタードを添えたり、ワインビネガーをひとふりすると味が引きしまります。そうそう、フリッツ(ポテトフライ)も忘れずに。気軽に食べたい時は、フリッツショップでも食べられるメニューでもあります。
今回の料理、見た目も内容も無骨だったかしら? 可愛げないな…と思い、お花を添えたくなりました。
ベルギーに越してきて、お花はぐっと身近になりました。最後の写真は、アントワープのサンデーマーケットのお花屋さん。Theaterpleinという広場で、毎週日曜日に開催されます。通常はベルギー各地でこのようなマーケットが開かれ、びっくりするほど安くお花が入手できたりします。
また、アントワープはベルギーの北部にあたり、オランダもとても近い。オランダはチューリップはじめ、日本でもお花の国として認識されていますよね。
ベルギーに近いデルフトでは花市が毎週開かれ、行けることを楽しみにしていました。新型コロナウイルスが収束して、気兼ねなく行ける日を心待ちにしています。
*写真の無断転載はご遠慮ください*
Profile
栗山真由美
Mayumi Kuriyama
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ Instagram mamicastanha
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。