第10回 春から初夏が旬の野菜「ルバーブ」で作る、アイルランド食い倒れツアーで習った思い出のジャム
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
ベルギーの4月は変わりやすい天気で、それを繰り返したあと、春らしい季節がやってくると聞いていました。その通り、天気も気温も激しく変化しています。
さて、今回は春から夏にかけてが旬の野菜を紹介します。今では日本でもよく見かけるようになった西洋ふき、ルバーブです。日本のふきも大好きですが、ルバーブも同じく春を、そして旅先の春を思い出す素材のひとつです。
日本にいた頃、直近10年は最低でも年に1度は欧州に旅していて、春は2番目に多く選んだ季節です。食いしん坊なので、まずは秋で検討することが多かった。そして、春の欧州旅行でいちばん印象に残っているのが、アイルランドへの食い倒れツアー(?)。現地在住のフォトグラファー&エッセイストで料理研究家の、松井ゆみ子さんを訪ねての旅でした。
そのアイルランドの旅の途中で習い、ベルギーでも人気のあるルバーブジャムを作りました。
ルバーブはこんな形。すごく長いので、30〜40㎝程度に切って売られています。アントワープの公用語、オランダ語ではRabarberですが、アイルランドで習ったから、Rhubarb Jamですね。
ルバーブは栄養的にはカリウム、カルシウム、食物繊維が豊富です。赤色の色素成分にはアントシアニンと呼ばれる成分があり、抗酸化作用があります。新陳代謝を高めて、目や肌に優しい…女性には特によさそうな内容です。
寒い国ベルギーでは貯蓄野菜も多いし、輸入野菜も多い。なので、正確に旬のものかどうか見極めも難しかったりしますが、ルバーブは素直に旬を感じられる素材です。下ごしらえして切ったら、砂糖をまぶします。
そのままひと晩置くと、砂糖がなじんで、水が出てきます。
ルバーブは、なるべく赤いものを選ぶとキレイな色に仕上がります。でも、みんな赤いルバーブを選んで買っていくので、お店ではしばしば緑っぽいものばかり残っている時があります。それでも赤いルバーブが混ざっていれば、その赤につられて煮ているうちに赤っぽくなります。緑が多いと茶色っぽく仕上がりますが、味には大差ありません。
煮る時のポイント。しょうがを加えると味がしまります。以前はおろししょうがにしていたのですが、ベルギーのしょうがは筋っぽくて、繊維が残ります。筋が多い場合は、しぼり汁だけを加えるほうがいいかもしれません。
ポイントその2は、オレンジを使うこと。ベルギーに越してきて、改めてルバーブジャムについて調べてみました。すると、レモンを使うのが一般的なのだと知りました。オレンジなのはアイルランド流?とも思いましたが、もしかしたらイタリア流かもしれません。習った料理の先生のご主人が、イタリア人だったのです。ポルトガルもそうですが、南欧ではレモンと並んでオレンジもよく使います。実も果汁も、皮も。
今回もおいしくできました。オレンジの皮はすりおろし、果汁は絞って加えています。作り方は簡単なので、市場に出てきたら、繰り返し作ってストックしておきたいジャムです。パイやタルトに加えてもおいしいのですが、毎日のヨーグルトに添えてだいたい終わってしまいます。また、鶏肉や鴨に添えてもおいしいそうですよ。
今回の最後の写真は私の財産(?)、料理のノートの一部です。数えたら27か国を旅していますが、そのほとんどの目的は料理でした。旅先では、可能な限り現地の料理を習いました。その記録を旅日記に残し、料理のレシピなども加えて、1旅ごとにノートを1冊作っていました。
この写真は、アイルランドの Ballyknocken Cookery School での1部です。この教室では、アイルランドの代表的な料理を習い、ルバーブジャムともう1つのメニューを個人的に質問してざっと教わったのでした。結局、レシピは日本の食材で作れるように再考は必須で、ルバーブジャムのレシピも、日本で試行錯誤しました。しかし、図らずも今はベルギーの材料で作ることになり…人生わからないものですね(笑)。
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Profile
栗山真由美
Mayumi Kuriyama
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ Instagram mamicastanha
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