第13回 ボルシチだけじゃない!サラダに、ソースに、おそばにだって!ビーツの食べ方いろいろ
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
日本の夏は厳しいだろうな〜と思いを馳せる今日この頃、ベルギーの夏はどうかというと…やはり厳しいです。湿気がない夏は楽ではありますが、別の意味で。ベルギーには、基本的にクーラーがないのです。猛暑は1週間程度とはいえ、これが想像以上に厳しい。
私たち日本人は、暑さに慣れていると同時に、クーラーは当たり前にあります。暑さを感じたら、スイッチを押せば冷気を得られ、外出先でもお店に駆け込めば、緊急避難できます。
私は日本にいた頃は、冷房が苦手でしたが、避難回避ができないって辛いですよ。デパートに入っても、トラムに乗っても暑い。夜間は防犯のため窓を閉めきるので、蓄熱に強い建物内は灼熱です。
さて、今回はビーツをテーマにしたいと思います。
ベルギーのビーツの旬は2回。6、7月と11月くらいとされています。時期になると、こんなに大きな茎と葉のついたビーツが出回ります。オランダ語ではBietと言います。
ビーツの下ごしらえ、私はオーブンを使っています。ビーツの食感、風味を十二分に生かしたい方にはおすすめです。丸ごとホイルで包んで、180℃のオーブンで40〜50分焼き、粗熱がとれたら皮をむきます。写真は半分に切ったもの。鮮やかなピンク色が美しいです。
数日中に使わない分は、7〜8mm幅に切ってラップで包んで冷凍室で保存しています。
20年ぐらい前の日本では缶詰の水煮が主流で、正直、印象がよくありませんでした。こちらで買えば少しいいのかも?と思いつつ、試していません。
そのほか現地の人がよく使っているのが、水煮が真空パックになったもの。これは経験済みで、まあまあでした。こちらでは頻繁に使うので、気軽で重宝している様子です。
下ごしらえをしたビーツを使ったサラダを紹介します。まずは、いろいろ試すもこれがいちばん好き!と思っている、シンプルサラダ。食べやすく切って、レモン汁をまぶし、塩、こしょうとオリーブオイルをふっただけ。丁寧に下ごしらえができていれば、これだけでおいしい。ビーツそのものの味が楽しめます。
こちらのソースは、クリームチーズを凍らせてから半解凍し、生クリームと混ぜます。私は大好きで多用しています。他の野菜でも使いますが、ビーツがとても合います。くるみのトッピングもおすすめ。
ビーツは生食もできます。薄切りやせん切りを葉野菜と混ぜたサラダも、人気があります。
下ごしらえ後、じゃがいもを加えたスープ。温冷どちらでもおいしいです。トッピングにのせたのは、ビーツのベビーリーフです。
根の部分の栄養は、ビタミンC、葉酸、カリウムが豊富です。カロリーは低いのですが、糖分が高め。葉の部分は鉄分が豊富です。
ビーツの主役は、もちろん赤い根の部分。それ以外を整理してみた写真がこちらです。日本でもビーツは買えましたが、葉つきの大きなものはベルギーに来て初めて見ました。
葉も茎もおいしくいただけますので、使用例をご紹介します。もし機会があったら試してみてくださいね。
ビーツの茎は蒸すかゆでて、おひたしやあえものに使えます。初体験の時、食感と味が山菜のぜんまいに似ていると感じました。山菜そばならぬビーツ茎そば(?)は、私の定番になりました。見た目は鮮やかですが、味は滋味深く、山菜っぽいのです。ごまあえもおすすめです。
ビーツの株元につく小さな葉は、ベビーリーフで生食できます。大きな葉は部位によって、質が違います。薄い部分はレタスのようで、厚い部分は日本のつるむらさきに似ています。炒め調理がおすすめです。写真は、干しえびと白きくらげを加えた炒めものです。
ビーツを使った代表的な料理といえば、ボルシチですよね。寒い国の料理、冬野菜のイメージを持っていましたが、ベルギーの場合は夏野菜でもあります。
私は10年ほど前にロシアに行きました。モスクワでは縁が巡ってきて、レストランの厨房でボルシチを習いました。最後の写真は、その時の料理ノートと、ツッコミどころ満載の現地で買ったロシア料理の本です。今度は冬に、ノートを見ながらボルシチを作ろうと思います。
*写真の無断転載はご遠慮ください*
【栗山さんのベルギーおいしいもの通信⑫】はこちら
Profile
栗山真由美
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
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Instagram : mamicastanha
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