第17回 ベジタリアンやヴィーガンが多いベルギーでも大注目の食材〜ジロール茸、黒トランペット茸ほかとれたてきのこ事情

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2021.10.13

こんにちは、料理家の栗山真由美です。
私はアントワープで、3度目の秋を迎えます。季節の変わりめに関して、日本とベルギーの違いをまた考えさせられました。

日本は冬以外のどの季節もはじまりが早く、変わりはじめたら、割とスムーズに次の季節に移行するイメージ。今年も酷暑で辛いと聞いていましたが、あっという間に秋に移行、すぐさまウェブ上は秋色の投稿でうめ尽くされました。

対するベルギーは、秋冬以外ははじまりが遅く、変わりめがはっきりしない。今年は夏日はほんの数日だけのような冷夏でした。夏が来ないままに終わる?とすら予感させましたが、8月末〜9月初旬に夏らしい日が続き、その後秋の気配を感じるようになりました。
しかしそこから、行きつ戻りつをくり返しています。ベルギーの秋の期間は例年とても短いのですが、果たして今年はどうなるでしょう。

共通項は、日本もベルギーも秋はおいしいものの季節。秋の味覚はいろいろありますが、私自身の好物でもある、きのこを取り上げたいと思います。

ベルギーでも通年買えるきのこは多いのですが、売り場面積がぐっと広くなって、とりたての多種類のきのこが並ぶのは8月末ごろからです。


ヨーロッパらしいきのこをいくつかご紹介します。上の写真の左下がジロール茸(Girolle)。右下はPied de mouton、訳すと“羊の足”という、ヨーロッパらしいきのこ。左上は黄色の平茸(Pleurote jaune)。
そして右上が黒トランペット茸、ラッパ茸とも言われるきのこの黒ヴァージョン(Trompettes de la Mort)です。これ、直訳すると“死者のトランペット”なんです。その黒々とした色からついた名前かもしれませんが、見た目に反してとってもおいしいのです。


まずは、大好きなジロール茸と黒トランペットをたっぷり加えてパスタにしました。普段からよく使うマッシュルームも入れています。定番メニューですが、旬のきのこのおいしさがストレートに味わえて大好きです。にんにくと赤唐辛子をきかせて。ほかにクリーム系、チーズ系のソースに加えてもおいしいですが、個人的にはペペロンチーニが好きです。ジロールも黒トランペットも、香りと歯応えが最高でした。

次のターゲットはポルチーニ茸とも呼ばれるセップ(Cèpes)、そして日本名でアミガサ茸というモリーユ(Morilles)です。これらはお店でいただいたことしかないので、自分で調理してみたい。あと有名なトリュフ(Truffes)も、もちろん忘れていません。でも、トリュフはお店で食べたい派です。

日本のしいたけが、外国でも“Shiitake”という名前で売られていることはよく知られていますが、まいたけやなめこも、日本名そのままで売られていました。これはBio Marketでの写真です。

健康ブームに加え、ベルギーではベジタリアンやヴィーガンの人口がとても多いので、きのこは注目される食材です。きのこは全般に低カロリーで、成人病予防に効果があることは広く知られるようになりました。日本(アジア)由来のきのこも、作り手はまだまだ少ないですが、需要は増えてきていると思われます。

私は日本のきのこでは、まいたけがいちばん好きです。松茸より、断然まいたけ派。白まいたけもいいですね。箱に入った天然ものを見つけると、無視できませんでした。なめこも軸つきの1株売り、ブラウンえのきもおいしいですよね。生きくらげも好物ですが、こちらではもっぱら乾燥ものです。日本のきのこも恋しいです。


さて、うちで最もよく作るきのこの料理を紹介します。ずばり、マッシュルームスープです。主材料はマッシュルームとじゃがいも。


バターで玉ねぎやポロねぎをしんなり炒めたら、じゃがいも、マッシュルームの順に加えて炒めていきます。全体に油が回ったら水を加えて煮て、ミキサーでピューレ状にします。スープの素と牛乳を加えて温め直し、味見をして塩、こしょうで調えます。

マッシュルームの成分の影響ですが、でき上がりの色がいつもこんな感じです。ちょっとそそられない色ですが、味はとってもおいしいです。一般的にこのスープには牛乳を加えることが多いですが、最近、私は豆乳で代用しています。健康のために試してみたら、味もおいしい。今はむしろ豆乳のほうが好きなぐらいです。


最後の写真は、レストランでのきのこの記憶。そろそろジビエの時期も始まりますが、鹿肉ときのこの共演、すばらしかったです。レッドカラント(赤すぐり)もいい仕事をしていました。

 

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Profile

栗山真由美

MAYUMI KURIYAMA

料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ 
Instagram: mamicastanha

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