【料理教室の季節の人気メニューから/12月】いつものおせちに飽きたら…干し柿とゆり根を使ったニューおせち2品

料理教室「さときっちん」の台所便り
2021.12.21

こんにちは、料理家の柚木さとみです。

2021年もあと少しとなりました。毎年12月は本当に駆け足で過ぎてゆきますが、そろそろおせち料理作りのための買い出しを始める方もいらっしゃる頃でしょうか。

教室では毎年12月におせち料理を作りますが、今回はさときっちんのレシピから、2品をご紹介したいと思います。いつものおせち料理をちょっと変化させたい方、あるいはたくさん作るのは大変だけれど、ひとつふたつくらいなら作ってみようかな…という方、よかったら参考になさってください。


大根と干し柿のなます
定番の大根とにんじんのなますも大好きですが、こちらは干し柿を使ったなますです。干し柿の甘さを生かして、酢と塩だけですっきりと仕上げるレシピです。

【材料(作りやすい分量)】
大根…10cm(約400g)
干し柿…1〜2個(約100g)
酢…大さじ3〜4
塩…小さじ1

【作り方】
  干し柿は種を除き、細切りにしてボウルに入れる。鍋に酢を入れて火にかけ、ひと煮立ちしたらボウルに加える。
  大根は皮をむき、繊維にそって細切りにする。ボウルに大根と塩を入れざっと混ぜ、10分ほど置く。水分が出たら大根をもむようにしてから水けを絞り、❶に加えて和える。

【メモ】
・大根は水分が出たあとよくもんでから絞ることで、塩味がしっかりと入ります。長くおいて塩けが強くなってしまった時には、水でさっとすすいで塩抜きをしてから絞ります。
・保存は冷蔵室で4〜5日です。
・より甘く仕上げたければ、はちみつや砂糖を加えます。


ゆり根の白いきんとん

ほくほくねっとりとした、やさしい味わいのきんとんです。料理上手な従姉のお姉さん“よりこちゃん”が作ってくれたのがとてもおいしくて、真似して作ってみたのが始まりです。

【材料(作りやすい分量)】
ゆり根…1個(約200g)
里芋…小4〜5個(約200g)
・はちみつ…大さじ3〜4
 ・白だし…小さじ1
 ・塩…ひとつまみ
酢…少々

【作り方】
  里芋はよく洗い、せいろで皮ごとやわらかく蒸す。
  ゆり根は鱗茎(りんけい)を1枚ずつはがして洗い、変色している部分は包丁でそぎ取る。鍋に湯をわかし、酢を加えてやわらかくゆで、ざるに上げる。形のきれいな小さめのものを全体の1/3量ほど取り分け、残りは温かいうちにボウルに入れてマッシャーでつぶす。
  里芋の皮をむき、とともに❷のボウルに加えてマッシャーでつぶす。味をみてはちみつ、塩で調え、取り分けておいたゆり根を加えてさっくりと混ぜる。

【メモ】
・ゆり根は、ゆで過ぎるとぼろぼろと崩れてしまうので注意して。串をさしてすっと入るくらいを目安にします。


おせち料理にはそれぞれ様々な意味が込められていますが、今回ご紹介した2品にももちろん意味があります。ご存知の方も多いと思いますが、せっかくなのでこちらでもご紹介を。

なますは紅白の水引をイメージし、平和を願うお料理です。今回のレシピでは、にんじんの代わりに干し柿で“紅”を表現しました。また、大根(にんじんもですね)は地中に根をはる根菜なので、「家や家業の安定」を願う意味も込められています。

きんとんに使ったゆり根は、花のように鱗茎(りんけい)が重なり合う形をしていることから、「年を重ねる」といった意味や「和合」に通じるとされ、吉祥の象徴とも言われるお正月にぴったりの食材です。
また、古くから百合の花には霊的な意味があると信じられていたことから、「無病息災」や「子孫繁栄」などの願いを天に祈る気持ちも込められています。そして里芋は子芋をたくさんつけることから、「子宝に恵まれますように」との願いが込められています。

おせち料理は、料理自体を味わうのも楽しみですが、こうした意味合いを知って、改めて日本の食文化に触れられることも楽しみのひとつだなと思います。たくさんの種類を作るのはそれなりに大仕事ですが、頑張りすぎず、1品2品だけでも手作りできたら、あとは市販のお料理と組み合わせるのでも上出来なのではないかと思います。よかったらぜひ、作ってみてください。

以下は、いつかのお正月や、教室で作ったおせち料理です。

数年前、自宅にて。リノベーションした古家のお披露目も兼ねて、夫家族を招いてのお正月でした。二段重に詰めたおせち料理は、年末に生徒さんと一緒に作って詰めたものです。ある程度品数を作る(あるいは買う)のであれば、お重に詰めるとテーブルが華やぎますし、なによりふたを開けてそのまま置くだけでいいので、当日の支度はとても楽ちんです。

少人数の場合は、1人分ずつプレートに盛るのもおすすめ。こちらは黒と朱色のリバーシブルの漆の和盆なのですが、普段使いの洋風のプレートやウッドプレートなどでも、小さなお皿を組み合わせたり、葉をあしらうだけですてきに仕上がります。


こちらは、実家のお正月の様子。母の作るおせち料理は、やっぱりどれも大好きです。写真にはありませんが、特に好きなのは手綱こんにゃく。筍や里芋の煮物も好き。

5人姉妹の5女として生まれ育った私と、3人兄妹の真ん中の夫。どちらも姪や甥がいて、家族の集まりなどがあると、とてもにぎやかになります。毎年お正月には、それぞれの実家に家族みんなが集まっていましたが、今年のお正月は控えました。2022年は、家族でそろって新年の挨拶ができたらいいな。

2021年、こちらのエッセイをご覧くださったみなさま、ありがとうございました。なにか少しでも参考になることがあれば、うれしく思います。どうぞよいお年をお迎えください。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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Profile

柚木さとみ

SATOMI YUGI

料理家・フードコーディネーター ・カフェプランナー。1973年東京生まれ。5人姉妹の5女。ご主人とサビ猫姉妹(くう、ねる)との2人+2匹暮らし。大学卒業後、吉祥寺のカフェで店長を務めたのち独立。カフェのプランニングやプロデュース、メニュー開発、料理教室講師、ドラマの料理制作など、食と食空間に関わる仕事に携わる。2012年から、築65年の古い一軒家をリノベーションしたアトリエで料理教室「さときっちん」を主宰。旬の食材を生かした暮らしになじむレシピが人気。著書に『からだがよころぶ!菌活レシピ』(幻冬舎ルネッサンス)、『美人をつくる発酵食レシピ』(じゃこめてい出版)など。
https://yugisatomi.com
Instagram:yugisatomi

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