第23回 まもなくバレンタインデー。ムースにサラミ風!?ポルトガルで人気のチョコレート菓子について

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2022.02.04


こんにちは、料理家の栗山真由美です。
今年もバレンタインの時期がやってきますね。

昨年お伝えした通り、ベルギーのバレンタインは、チョコレートに特化した日ではありません。意外でしたが、それもそのはず、ベルギーでは普段からチョコレートを贈ったり贈られたりします。手土産の一環なのです。

2月14日のバレンタインデーは愛情を伝える「恋人たちの日」。チョコレートはバレンタイン用にラッピングされたものも出回るので、もちろんシンボリックな存在ではあります。が、プレゼントはチョコレートとは限らないのです。日本と違って、男性から女性に愛を伝えるので、お花を送る男性も多いです。

さて、ベルギーに暮らすようになって、おいしいチョコレートが常に溢れているので、チョコレート風味のものですら、自分で作らなくなりました。

以前はそれなりに作っていました。ご存知の方も多いですが、私はポルトガル料理が大好きです。書籍や雑誌で紹介したり、料理教室もしていました。

今回は教室でも人気があった、ポルトガルのチョコレート菓子を紹介します。

写真は、Salame de Chocolate(サラミ・デ・ショコラーテ)というポルトガルのチョコレート菓子で、だいたい通年、お菓子屋さんの店頭に並んでいます。
一見、チョコレートだと思わない人も多いと思います。名前のSalame de Chocolateは、チョコレートのサラミの意味。断面が少し、サラミに見えませんか?

作ってみて、その工程を知ると納得していただけます。とはいえ、工程の写真があまり残っていませんでした。あまり美しくないので、省いてしまったのだと思います。


材料は卵、プレーンビスケット、無塩バター・ココアパウダー・砂糖だけ。断面の白い部分は、砕いたビスケットです。混ぜ合わせたら、縦長に成形して、ラップとホイルで包みます。この状態がサラミそのものですよね。そして冷蔵庫で冷やしたら、包丁で切ります。そうです、サラミのように。


ティータイムに。お皿の奥に見えるのが、切っていない塊のSalame de Chocolateです。

おもしろいことに、ベルギーでもこのお菓子を見ることがあります。ショコラトリーではなく、ベーカリーで。老舗と言われる歴史あるベーカリーでは、伝統菓子を数多く揃えていますが、その中の1種類として見ることがあります。ヨーロッパ全体で食べられているのだと思います。

私のSalame de Chocolateとの違いは、直径が広く、太いです。ポルトガルでもお店によって、太さに違いはあります。ポルトガルに行きはじめの頃は、太いものはサラミに見えないと思っていました。が、細めのサラミを想像するのは日本人だから。

ポルトガルやヨーロッパでは、サラミの太さはいろいろです。とはいえ、細めで小さいほうが食べやすいので、私は細めに作っています。好みの容器に入れて、プレゼントにも。


ポルトガルのチョコレート系のお菓子で最もポピュラーなものは、Mousse de Chocolate(チョコレートムース)になると思います。これはお菓子屋さんはもちろん、レストランやカフェでも定番メニューです。


簡単なので手作りする人も多く、私も教室のみならず、イベントでもよく作りました。それに、ポルトガル語を習っていた時に、先生が作ってふるまってくださった思い出もあります。

ポルトガルスイーツというと、エッグタルトをはじめとする卵菓子がやはり主流です。チョコレートは後発で、卵菓子に比べると歴史も浅い。けれど、おいしいお店も増えてきました。地味ながらデザインも頑張っていて、ポルトガルらしい、いわしの形のチョコレートはお土産にも大人気です。

最後に、私がポルトガルでいちばん好きなショコラティエを紹介します。
FEITORIA DO CACAOは、ポルトガル旧植民地・サントメ島への旅をきっかけに、2015年にポルトガル人のスザーナと日本人のトモコが立ち上げた、ポルトガル最初のビーン・トゥ・バーブランドです。


カカオの生産者とそれぞれのポテンシャルをリスペクトし、ディティールにこだわって丁寧に作り上げたチョコレートは、2017年以降、インターナショナル・チョコレート・アワードなど、国際コンクールで毎年数多くの賞を受賞しています。

チョコレートもパッケージも、ポルトガルをイメージさせるアズレージョ(タイル)のデザインです。ポルトガル好きの心をくすぐりますね。

 

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Profile

栗山真由美

MAYUMI KURIYAMA

料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ 
Instagram: mamicastanha

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