【フランスのパンと粉もののお話⑥】〜フランスといえばやはりこれ!パリのクロワッサンとパンオショコラ事情

池田愛実さんのフランス滞在記
2022.03.30

こんにちは。湘南でパン教室・クラムを主宰しています、池田愛実です。

フランスのパンと粉ものをご紹介するコラム、第6回はフランスと聞いて思い浮かべるパン、バゲットと同率1位ではないでしょうか。「クロワッサン」と、同じ生地で作る「パンオショコラ」のお話です。

皆さま、Netflixで配信している「エミリー、パリへ行く」はご覧になりましたか。アメリカ人のエミリーが転勤でパリに住むことになり、仕事に恋に友情に奔走するという、重くないストーリーで、パリの美しい景色を堪能できるドラマです。

その中でエミリーが近所のブーランジュリーでパンオショコラを買い、お店を出てすぐにかじって、そのおいしさに目を見開く…というシーンがあります。それを見てテレビの前で頷く私…。「わかる、焼きたてのパンオショコラ、おいしいよね…」


パン屋さんのヴィエノワズリー(菓子パン)の棚。下段にあるクロワッサンオーディネールとは、マーガリンを使用したクロワッサン。バター使用のものと見分けがつくように三日月の形になっている。

フランスにいた時の私は、今より太っていました。その原因は、クロワッサンやパンオショコラと、カフェオレの組み合わせのおいしさに気づいてしまったことです。

フランスには日本のコンビニくらいの感覚で、歩けばすぐにパン屋がありますから、いつでも気軽にクロワッサンを買うことができます。値段も6年前の当時で1€~1.2€が多く、200円もしないので、外食は日本よりも高いパリですが、国民の生活を担うパンのお値段は比較的お安めです。

お店を出て公園やベンチで焼きたてをかじっていると、「ボナペティ!」とパリジャンが声をかけてくれることも(こんな温かい声かけが、フランスの好きなところでもあります)。

そしてパン屋に勤めていた私は、出勤すれば、端っこ生地をカリカリに焼いたものもつまみ放題(笑)。カフェオレとともに食べると、バターをたくさん使った生地でもいくらでも食べられてしまいます。この誘惑には抗えませでした。

ただ、「フランス人は、いつも朝ごはんにクロワッサンを食べている」「フランスのクロワッサンは、どのお店で買ってもおいしい」といったイメージを持たれる方も多いかと思いますが、それはちょっと違います。

ホテルやお店で食べるクラシックな朝ごはんでは、クロワッサンやパンオショコラが提供されますが、一般家庭にホームステイした際はスーパーでスライスして売られているパンや、ちょっと硬くなった前日のバゲットを温め直して、ジャムやヌテラを塗って食べている人が多く、朝からクロワッサンを買いに行くフランス人に、私は会ったことがなかったです(もちろん、フランスのどこかにそういう方もいらっしゃるのでしょうが…)。

そして、粉やバターなどの素材が素晴らしいフランス、ちょっと雑に作ってもおいしくなる魔法もかかっているように思いますが、実は日本よりもお店の技術にバラつきがあるので要注意。おいしいお店では見た目も美しいパンが並んでいるので、よく観察して買ってくださいね。お昼時は、お客さんの行列もおいしいパン屋さんの目印になります。

私がパリで好きだったクロワッサンは「Blé Sucré(ブレ シュクレ)」のもの。実はちょっとしんなりしたやわらかいクロワッサンが多いフランスで、こちらのクロワッサンは外側がパリッとしていて、中のバターと生地の層は美しく繊細、まさに職人技。

こちらのシェフは「プラザアテネ」「ル ブリストル パリ」といったホテルのパティスリーを経て独立されたと聞いて、納得です。パリの東側12区にあり、観光地から少し歩きますが、ぜひ訪れてみてくださいね。


Blé Sucréの外観。外のテラスで食べることもできます。


大好きなBlé Sucréのクロワッサン(ぶれていてすみません!)

ちなみにエミリーがパンオショコラを買ったパン屋さんも、パリに実在します。パンテオンの近く「La boulangerie moderne」です。コロナが明けたら、きっと観光客で溢れることになるんだろうなあと思いつつ、あのおいしそうなパンオショコラの層を見ると、やっぱり私も訪れてみたいです。


パリに行くと毎回訪れるラデュレの朝ごはん。クロワッサンやパンオショコラにカフェオレ、フルーツサラダ、フルーツジュースと、フランスのクラシックな朝ごはんが味わえます。

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【Blé Sucré】
7 Rue Antoine Vollon, 75012 Paris

【La Boulangerie Moderne】
16 Rue des Fossés Saint-Jacques, 75005 Paris

 

フランスのパンと粉もののお話⑤〜美食の都・リヨンのパンは真っ赤っ赤?】はこちら

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Profile

池田愛実

MANAMI IKEDA

1988年、神奈川県藤沢市生まれ。5歳と3歳の子ども2人のママ。 慶應義塾大学文学部で食育をテーマに学び、大学在学中にル・コルドン・ブルー代官山校パン科に通い始め、卒業後は同校のアシスタントを務める。26歳の時に渡仏し、現地のM.O.F.(フランス国家最優秀職人賞)のブーランジェリー2軒で経験を積み、帰国後は都内レストランのパンのレシピ監修・製造・販売に携わる。2017年から地元・湘南でフランスパンと暮らす教室「crumb-クラム」を主宰。初心者から学べるフランスパンとフレンチ惣菜を教えている。著書に『こねずにできる ふんわりもちもちフォカッチャ』(家の光協会)、『レーズン酵母で作るプチパンとお菓子』(文化出版局)、『ストウブでパンを焼く』(誠文堂新光社)。新刊『こねずに作れるベーカリーパン』(主婦と生活社)は4月15日発売。
https://www.ikeda-manami.com/
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