第26回 ベルギーで今が旬!ポロねぎとチャービルで作るお料理いろいろ
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
日本の今年の桜はいかがでしたか? S N Sで拝見する限り、いつもながらうっとりする桜景色でした。世界のあちこちで楽しめるようになった桜ですが、やはり日本が世界一だと思います。風情がありますよね。
ベルギーは税金が高くて、基本的に何でも日本より高いです。食関連もそうですが、日本にいた頃、手に入れにくかった高めの野菜が、お安く手に入る場合もあります。原産のもの、ヨーロッパの野菜は、当然ながら日本より安いです。
今回はそれに該当し、旬を迎えた香味野菜2つをテーマにします。1つ目はポロねぎ。リーキ、ポワロー、オランダ語ではPreiと呼ばれる西洋ねぎです。
2つ目はチャービル、セルフィーユ、オランダ語でKervelと呼ばれるハーブです。最初はポロねぎをテーマにと考えていたのですが、調べていくと一緒に使う料理も多く、旬も一緒なので、同時に紹介します。
ポロねぎの料理というと、何を思い浮かべますか? ポトフなどに入れて、たっぷりスープを吸ったとろとろのポロねぎも好きですが、バターでじっくり炒めてクリーム仕立てにしたり、グラタンにするのもおいしいですね。
私はこれらの中間版のような炒め煮を、ポロねぎの時期になると作り置きしています。バターでじっくり炒めたあと、スープ煮にして、仕上げに砂糖入りの酢を加えてひと煮立ちさせます。これで日持ちもよくなります。
このままサラダやつけ合わせとして食べてもよし、アレンジも効くので便利です。日本にいた頃は薄切り肉で巻いて焼くのが定番でした。最近気に入っているのがチーズ焼き。ポロねぎは薄く味がついているので、チーズをのせてオーブンで焼くだけで味も決まります。チーズは西フランダース地方で作られている、穴の空いたパッセンダーレチーズが気に入っています。
スペインはカタルーニャ地方の「カルソッツ」をご存じでしょうか? ねぎを丸ごと炭火でじっくり焼き上げて、黒く焦げた外皮を剥いて、甘味の増した内側をいただく料理。現地ではねぎを丸ごと1本手で持って、ロメスコソースにつけていただきます。
記憶が定かではないのですが、私は日本のスペイン料理屋でいただいたのが最初だと思うのです。そこでは焼けたねぎを皿にのせ、縦に包丁を入れ、外皮を開いて中のねぎを食べやすく切って供されました。以来、私にとっての「カルソッツ」はそれが基本になりました。
この料理、ベルギーの太い立派なポロねぎで作るとおいしい。といっても、七輪も炭火もないのでオーブン焼き。ソースも自家製のナッツソースを愛用しています。
以前はホームパーティなどで作ると、あっという間になくなりましたが、今はコロナでパーティーも控えています。食べきれない分は、ほぐして保存容器に。そして後日、パスタの具にするとおいしい。追いナッツソースでいただきます。
さらにパスタといえば、ポロねぎを使った大好きな料理を紹介します。主材料はこちら。
たっぷりのポロねぎをじっくり炒め煮にして、ゴルゴンゾーラチーズを加えた、少し特別なパスタ料理です。甘くなったポロねぎに、ゴルゴンゾーラの塩けがベストマッチ。チャービルも仕上げに加えて全体を引き立てさせる、この時期のごちそうパスタです。
さて、最後にチャービルの料理を紹介します。上記でお伝えした通り、ポロねぎとセットで使うことも多い。また、日本同様に料理の飾りとして、味のアクセントと使われることが多いです。ただ、驚いたのがその売られ方。店頭で売られている1単位の量が多いのです。
日本で撮影の仕事をしていた時、チャービルは飾りとして用意するのが主でした。手のひらサイズの小さなパックに入ったものが、250〜300円ぐらいだったと思います。
ベルギーのスーパーでは1パックが大きく、冒頭の写真が袋から出したものですが、たっぷり入っています。マーケットでもひと束が大きい。しかし、値段はほとんど一緒です。
驚いたことはもう1つ。こんなに大量に何に使うのかと言うと、スープにします。ベルギーの代表的なスープの1つ“Kervel Soep”。ペースト状にして水を加えて仕上げる冷凍のスープの素があるくらい、メジャーなスープです。
作り方も簡単。ポロねぎやじゃがいもでスープベースを作ってから、チャービルを加えます。
チャービルは、火通りが早いので長時間煮る必要がない。色鮮やかに仕上げるためにも、加熱時間は短めにします。苦みが薄くクセもないので、他の葉野菜と同じように使えます。
最後の写真は、新緑を迎える、アントワープ郊外の植物園arboretum KALMTHOUTです。春から夏に向かって、晴天が増えることを願って。
*写真の無断転載はご遠慮ください*
Profile
栗山真由美
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/
Instagram: mamicastanha
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。